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2019年12月10日火曜日

名古屋スタディ関連の八重論文に対する名市大鈴木教授のレター第二弾の和訳

 いわゆる子宮頸癌ワクチン、ヒトパピローマウイルスワクチン(HPVV)の様々な副反応疑いに関連し、名古屋で実施された大規模な疫学調査である「名古屋スタディ」について、その解析結果として様々な副反応疑い症状とHPVV接種の間には関係がみられないことが明らかにされています。

 この論文は名古屋市立大学公衆衛生学教室の鈴木貞夫教授により執筆されて公刊されています(オープンアクセス)。

Fig.1 名古屋スタディの論文 オープンアクセス
 
 この論文では題名の通り、「日本人の若年女性における HPV ワクチン接種と接種後の症状とのあいだには関連性はなかった:名古屋スタディの結果」ということが示されています。

 さて、これに対して同じデータセットを用いたとして、HPVVで副反応のリスクが増えると主張する論文が聖路加国際大学の八重ゆかり氏によって JJNS日本看護科学会の雑誌)に投稿・公刊されました

 しかし、この八重論文については、不適切なデータの取り扱いをはじめいくつかの問題があるということが刊行直後から SNS 上でもとても話題になりました。
 (感染症のプロの岩田健太郎先生も批判文を書かれています
   ▶ 結論ありきのひん曲げ論文にご用心 ) 

 実はデータの取り扱い以外にも、著者が薬害オンブズパースン会議のメンバーであったなどの COI の問題などもあり、看護科学会はこれをうけて「日本看護科学学会における学術活動の利益相反マネジメント指針」を変えたりもしています
 
 さて、学術論文に異議があったり問題を指摘したり、議論をしたいときには、その雑誌の編集者(Editor)あてにレター(Letter)つまりお手紙を書き、それも刊行して公に議論をやりとりのなかでするというのが慣習になっています

 この八重論文について、複数の専門家がレターを書いていましたがリジェクト、つまり掲載拒否が続いていました。しかしながら、投稿から半年ほどして元の名古屋スタディ論文をかかれた名市大の鈴木先生が書いたレターは掲載されたのです。これに関して著者である八重氏たちからまた反論があったのですが、さらに、鈴木先生が第二弾のレターを寄せています。

 このレター第二弾は八重論文の問題点を非常にわかりやすく指摘しているもので、これの和訳を鈴木先生よりいただきましたのでここにPDFを置かせていただきます。


 当初これら原文はオープンアクセスではなかったようですが、今みたらオープンになっていますね。

 さて、今回の鈴木先生のレター、八重論文はいくつかの方法論に問題、端的に言うと間違いがあり、はっきりいうと妥当ではないことがしっかりと指摘されています。同雑誌に同時に、編集者八重氏の反論も掲載されているのですが、方法論の瑕疵については何ら触れていないどころか、開き直りの様相を呈しています(それどころか八重氏と編集者は事前にやり取りしていることがわかります)。

 この八重論文は、現在行われている「HPVV薬害訴訟」でも弁護団が証拠・論拠として推していますが、この論文は瑕疵も明らかで、問題が大きすぎ、一度撤回(リトラクトといいます)して、検討し直すのが妥当であると思います

 「薬害オンブズパースン会議」(NHKに圧力をかけたりもしている反HPVV活動をしている団体ですね)のホームページにもこの八重論文の日本語訳へのリンクが掲載されていたなど立場性も明らかな論文であり、科学的な問題以外にも問題がありますね(学会からの要望で現在はダイレクトリンク以外では掲載されていない様子…つまり削除はしていない)。

 今回の鈴木先生のレターとそれに対する回答までも含めて一連の流れと論文の内容をみていると、JJNS の問題も見えてきます。そもそも学問的に真っ当ななレビューをしているのか公開して真っ当に討論に臨む態度は妥当か不適と考えられた場合にどのように論文を取り扱うのが慣行であるか理解しているのか、つまり科学ジャーナルとして最低限の基準を満たせているのかということですね。

 いずれにせよ、学術論文を、なんらかの先にある結論を言いたいがために書いたり、政治的につかいたかったりして書いてしまう人はいます。そういう態度はもちろん倫理にもとりますが、公刊された場合にはそれもしっかり学術的に討論して決着をつけていかねばなりませんね。今後の動向にも注目が必要な事項と思います。

 繰り返しますが、学術的になにが正しいか、をまずはしっかりと示し、そして、科学的に正しい根拠に基づいて主張は行わないといけないですね。そうでないとそれは妄想ベースのイデオロギー闘争にしかなりませんね。

 この一連の問題について、名古屋スタディの解説も含めて、鈴木先生の論考が「論座」に掲載予定との情報を入手しました。広く皆さんに読んで考え、討論していただきたいと思います。






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2019年6月21日金曜日

国際調査でワクチンへの信用度が低い国として日本・フランスなどが目立つ

 昨日付で、ウェルカムトラストのグローバルモニター報告書 2018 が出ました。




 ウェルカムトラスト(Wiki)は、イギリスの、医学研究支援などをしている大きな財団です。この報告書はかなり大規模な健康に関する意識の調査になります。

 さて、この報告書の中で、ワクチンを信頼している人の率が少ない国としてフランス、日本、ウクライナなどが目立つことが示されています(Chapter 5 に書かれています)。



 この地図は赤い色ほどワクチンへの信用が低いことを表しています。


 地域別でも、ウクライナと日本が特に悪くフランスも先進国の中ではまずいレベルですね。全世界では 79% の人がワクチンが安全であるということに同意日本は34%)し、7%が反対。全世界の 92% の親は子供にワクチンを受けさせたと回答しています(日本は88%)。

 Dataset をダウンロードして、見てみました。
 Q25 が、ワクチンは安全であるか否かを聞いています。


 どっちとも言い難いという意見が最も多くなっていますね。男女別でみてみるとこのようになります。

 
 少々女性の方が安全であると同意する人が少ないように見えますね。
 このほか年齢別、収入別、学歴別、住んでいる地域特性別などにもデータがまとめられています。

 さて、これを受けてたくさんの報道もなされています。

 などなど…。

 BBCの記事の中では、

In Japan, concerns about the HPV vaccine and a reported link with neurological problems were widely publicised, which experts think knocked confidence in immunisation in general.

 
として HPVVに対する副反応疑いのある訴えがワクチンの信頼全般をだめにしたと、触れられており、Suspension of government support for the HPV vaccine in Japan へのリンクも貼られています。

 フランスでのワクチンの不信は2009年のインフルエンザパンデミック前後において、WHOと製薬企業が癒着しているのではないかという噂などが広まったことから急激に信用度が悪化したのではないか、と分析する記事もあります。

 日本でもワクチンに反対する言動は目立ちますが、やはり HPVV副反応疑いの騒動は大きく影響している可能性があるようにも思えます。

 いずれにせよ、ワクチンへの不信感をぬぐっていかねばなりませんし、間違った情報や不正確な情報に振り回されないようにするため、正しい情報を多く得られる状況を作ることも重要と思います。





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2018年10月19日金曜日

【ニュース】エボラウイルス感染症例216例、139人が死亡

 本年5月よりまたエボラウイルス感染がアフリカ中部で流行しています。先ほどWHOのホームページでニュースを読みました。

Fig.1 WHO ホームページより

 WHO のニュース(2018.10.17) によると、現在、コンゴ民主共和国 (the Democratic Republic of the Congo) の北キブ州 (North Kivu)で拡がったエボラウイルス感染症例 (Evola Virus desease; EVD) は、216 症例におよび(内 181 例は確定、35 例は可能性あり)、139 名が死亡したとのこと。

 治安を含む現地の状況がよくなく活動は困難な状況であるが、WHO は現地で感染対策に乗り出しているとのこと。また 9 つの隣国にも拡がるリスクが高いがある。

 緊急委員会においては、Public Health Emergency of International Concern (PHEIC, 国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態) を宣言するか否かについても話し合われたが、今回は事態が落ち着く可能性もあるとして宣言は見送られたとのこと。

 流行が拡がらないことを祈ります。