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2020年1月15日水曜日

【実験】NFκB p65 の核内移動(translocation)を IFA で評価するプロトコール

 実験プロトコールを作るのが好きです。
 今回は最近よくやっていた実験のプロトコールを紹介します。


Fibroblast において NFκB p65 の核内移動(translocation)を Immunofluorescence Assay (IFA)で評価するプロトコール (protocol)



プロトコールの実際


 1. Seed cells on glass cover slip (1×10^4 ~ 1×10^5) and incubate O/N.
   (Electron Microscopy Sciences Cat: #72196-12) in 24-well plate.
 2. Starve cells with FBS-free media, 1hr.
 3. Stimulation cells with 50 ng/ml of TNFa for 30-40 min.
   (diluted in 200µl of FBS-free media).
 4. Wash twice with ice-cold PBS.
 5. Fix with Cytofix/CytopermTM (BD Cat:51-2090KZ), 20min., RT.
 6. 1st Ab in Perm/washTM buffer (BD Cat:51-2091KZ), 1hr, RT, shaking.
   anti-p65 antibody (CST NF-κB p65 (D14E12) XP® Rabbit mAb #8242), 1/500.
 7. Wash with Perm/wash buffer
 8. 2nd Ab in Perm/wash buffer, 30min., RT, shaking in dark.
   anti-Rabbit goat antibody-Alexa fluor488 (invitrogen), 1/500.
 9. Wash with Perm/wash buffer, twice
 10. DAPI staining in PBS, 1min, RT.
 11. Wash twice with PBS.
 12. Enclose on Fisherbrand Superfrost (Cat 12-550-15)
   with Fluoromount-G (SouthernBiotech Cat: 0100-01)



観察と評価



 観察は蛍光顕微鏡で行う。評価については、Alexa488 で染まった p65 が核内(DAPIとマージ可能な領域)に移っている細胞数を計測する。


注意点



 
 難しい実験ではありませんが、細胞腫によってはガラスから剥がれることがあります。また、染色と洗浄はしっかりと行わないと染めむらが生じることがあります。



関連する文献など




原理など
・発展版としてイメージングサイトメーターを使った評価などもあります。
 







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2019年4月30日火曜日

【書籍紹介】Quick Reference Handbook for Surgical Pathologists 【病理医必携】

 病理医は絶対に手元においておいて損はないよという有名な本を一冊紹介いたします。ご存知の方が多いとは思いますが…。



 【商品名】Quick Reference Handbook for Surgical Pathologists
     → 新版ももうすぐ出る模様

 この本は、病理医向けのレファレンスマニュアルで、この世界のゲームチェンジャーと言われたほど画期的で便利なものです。

 もともとは、アメリカの病理レジデントたちのお役立ちレファレンスとしてはじまったとのこの書籍ですが、あまりに便利であり、大ヒットになったという一冊です。

 

内容紹介より引用


This book is a compilation of high-yield, at-a-glance summaries for various topics on which pathologists frequently need information in a quick reference format while at the microscope (or when cramming for the boards). 


 まさにその通りで、ちょっとした項目、たとえば CK7とCK20 での原発巣の判別の考え方、様々な診断基準のカウントの基準、紡錘形細胞腫瘍診断時の免染パネル、リンパ腫の免染パネル…などなど、さっと手元にあると確認に便利な事項がよくよくクイックリファレンスの形式でまとまっています。


The authors are early-career pathologists who have compiled this book from the perspective of pathologists-in-training. The focus is not organ-based histologic criteria, but rather everything else that goes into pathologic diagnoses but is difficult to keep committed to memory. 


そう、著者がレジデントであることからも非常に現場オリエンテッドかつ、プラクティスに有用な情報が盛り込まれており、使いやすいメモ、レファレンスなんですね。


The emphasis is on immunohistochemistry, special stains, grading systems, molecular markers, tumor syndromes, and helpful clinical references. The book has a unique format in that the information is presented primarily in tables and diagrams accompanied by minimal explanatory text. 


テーブルとダイアグラムは非常にわかりやすく端的にまとまっていますが、それ以上に内容も盛りだくさんで必ず役に立つといってよいと思います。非常に有用な情報源にもなりますね。リファレンスもしっかりついているので安心です。


It is intended to serve as a ‘peripheral brain’ for pathology residents and also practicing pathologists, where frequently needed information is readily accessible and easy to navigate. 


 ペリフェラル・ブレイン として、座右のレファレンスとして活用できると思います。


この本の対象となるひとは



 端的に言ってしまえば、すべての病理医にお勧めしたいです。
 持っていない病理医は買ってほしいと思いますし、もし知らない病理医がいたら教えてあげてほしい。こういうツールがあるだけで病理診断技術は向上すると思いますし、ある意味で標準化もされると思いますし、時間や労力を節約できることは間違いなく、病理医の能力の向上にもつながると考えるからです。

 日常診療はもちろん、病理専門医試験にでるような知識も身に付きます。読み通すような本ではありませんが、ちらちら読んでいると確実に身につく。

 これはいい本。これの日本語版を作りたいと思います。
 なかよし病理医のどどたんと企画を考えていますが、どこか出版社協力してくれないかなー…!

 おすすめ本!★★★★★








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2019年2月20日水曜日

【論文紹介】SOX-11陰性 マントル細胞リンパ腫75例の臨床病理学的検討 / AJSP

 マントル細胞リンパ腫に関する新しい論文が AJSP に出ていたので紹介いたします。

 マントル細胞リンパ腫 (MCL)は、B細胞性リンパ腫で、indolent と aggressive の中間程度の悪性を示すことが知られており、形態学的には小~中程度の大きさの均質な細胞の単調または軽度に結節を形成するような増殖をしめし、免疫組織化学的には CD5(+)、CyclinD1(+)が典型的であるが、近年みつかった SOX-11(+)のことが多いのも特徴です。
 臨床的には比較的白血化を引き起こしやすいことも知られています。

 最近までの研究においては MCL のうち、SOX-11 を発現していることが予後度影響するかどうか、はっきりせず論点となっていました。
 今回のこの論文では75冷のSOX-11陰性 MCL との比較によりその臨床病理学的特徴を解析しています。

 それでは論文詳細です。 



● SOX11-negative Mantle Cell Lymphoma Clinicopathologic and Prognostic Features of 75 Patients
 The American Journal of Surgical Pathology: February 12, 2019
 Publish Ahead of Print
 Xu J, Wang L, Li J, Saksena A, Wang SA, Shen J, Hu Z, Lin P, Tang G, Yin CC, Wang M, Medeiros LJ, Li S.

【概要】
 SOX-11陰性MCL75例を検討した。
 SOX-11陽性MCLと比較し、
  より白血化が多かった(21% vs. 4%, P=0.0001)
  より典型的な形態を呈した(83% vs. 65%, P=0.005)
  よりCD23陽性の割合が高かった(39% vs. 22%, P=0.02)
  よりCD200陽性の割合が高かった(60% vs. 9%, P=0.0001)
  よりKi67陽性率が低かった(23% vs. 33%, P=0.04)
  Overall Survival に有意な差はなかった(P=0.63)
  一方、高いKi67陽性率と blastoid/pleomorphic
   morphology は SOX-11陰性陽性にかかわらず
  より短い Overall Survival と関連していた。
  MCL の予後予測スコア(MIPI)でが高い場合、
   SOX-11陰性の場合には有意に予後が悪く(P<0.05)、
   陽性の場合には有意ではなかった(P=0.09)。
  リンパ節病変ありまたは stage III/IV の場合には、
   SOX-11陰性の場合には予後は有意に悪くはないが、
   SOX-11陽性の場合には予後不良であった。
  まとめると、SOX-11陰性MCL はより白血化の頻度が高く
   典型的な形態CD23・CD200の発現率が高く
   Ki67陽性率が低い
   SOX-11陰性MCL の予後因子は、形態、Ki67陽性率、
   MIPIである
【症例の選択】
  テキサス大学アンダーソンがんセンターの
  2004/1/1-2016/12/31 の MCL症例。
  2016年 WHO classification に基づく分類。
  IHCでCyclinD1(+)またはt(11;14)(q13;q32)
   またはCCND1-IGH で診断を確定。
【結果の概要】
  SOX-11陰性 MCL 75例、SOX-11陽性 MCL 146例。

    
【病理学的解析】
 形態と免疫染色については Table 2 としてまとまっています。

【臨床的アウトカム】
  略:(概要に示したものが代表)
【結論】
 SOX-11陰性 MCL 75例、SOX-11陽性 MCL 146例の検討で、
 SOX-11陰性 MCL はより白血化の頻度が高く、
 典型的形態で、CD23・CD200発現率が高くKi67陽性率が低い。
 SOX-11陰性 MCL の予後因子は、形態、Ki67陽性率、
 MIPIであることがわかった。
  


 MCL は indolent lymphoma と aggressive lymphoma の中間的な場合もおおい B細胞性リンパ腫であり、診断は比較的容易であることもあるものの、時に困難で SOX-11 は有用なマーカーとして報告されました。

 リンパ腫の診断チャートは参考に ▶ 峰式 リンパ腫の病理診断フローチャート

 しかし、SOX-11 陰性 MCL もあるということがまず話題となり、SOX-11 の発現の有無でのふるまいについては議論が分かれているところでした。
 今回紹介した論文では、SOX-11 陰性 MCL では白血化の頻度が高いことや、MIPI を用いて不良予後の予測ができそうであることなどが分かりました。
 
 MCL についてはさらに詳細な生物学的な検討がなされそうに思います。

● 関連記事
 ▶ 【血液病理】DLBCL の Hans の基準
 ▶ 峰式 リンパ腫の病理診断フローチャート
 ▶ 【書籍紹介】レベルアップのためのリンパ腫セミナー
 ▶ 【書籍紹介】若手医師のためのリンパ腫セミナー
 ▶ 【書籍紹介】見逃してはならない血液疾患 病理からみた44症例




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2018年3月27日火曜日

【書籍紹介】Diagnostic Immunohistochemistry: Theranostic and Genomic Applications, 5e



【書名】Diagnostic Immunohistochemistry: Theranostic and Genomic Applications, 5e
【著者】David J Dabbs MD
【出版社】Elsevier
【リンク】Amazon.co.jp Amazon.com


病理診断における免疫組織化学のスタンダード教科書・レファレンス


 「Dabbs」だけで通じることもあるこの超有名本の最新版。

 免疫組織化学的手法は、病理診断にとっていまやなくてはならないツールであることは論を待ちません。形態だけで診断できる領域の方が既に少ないのではないか、というほど免疫組織化学的な形質は診断に重要です。

 もちろん「ブラウン・パソロジスト」などと揶揄されないようにするためにも、臨床情報とHEでの基本的な形態の読解力、適切な各種特殊染色を合わせて駆使すること、免疫組織化学を適切に実施すること、これらすべてが重要だることは言うまでもありません。

 基本的な免疫組織化学の教科書は日本語では乏しいものの、病理と臨床の別冊など、や各臓器の書籍内の記述ではたくさんあります。

 しかし、やはり本書以外には免疫組織化学で横断的に切って解説した書籍は皆無といってよく、実用診断レベルのスタンダードな教科書、レファレンスとしては本書の右にであるものはありません。


免疫組織化学は必須である以上


 癌の形質やサブタイプ診断、原発不明癌の推定、遺伝子異常のスクリーニング、スコアリング、予後・治療反応予測、感染の確認…などなど免疫組織化学は、現在の病理診断にとっては必須であることは論を待ちません。

 遺伝子異常は形態に優越する、という方針で脳腫瘍分類が変わりましたが、それにも免疫組織化学的評価はスクリーニングとして、時に遺伝子シークエンスや転座検査の代替法としても用いられます。

 純粋なHEでわかる形態だけの病理は終わっているといっても間違いではないでしょう。

 免疫染色がこのように必須である以上、標準以上の知識と正しい運用が求められるのは当然です。本書は、そのサポート、座右の書、レファレンス用ととしても抜群の一冊と言えます。

 病理医必携。軽く全部目を通しておきたいところ。
 おすすめ。★★★★★ (5/5)。

 
● 日本語の本なら…
   病理と臨床 Vol.32 2014年臨時増刊号 免疫組織化学 がおすすめです。
   ▶ 文光堂ホームページ