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2019年3月14日木曜日

ハゲタカジャーナル(悪徳雑誌)の見分け方、査読依頼、インパクトファクター…

 ハゲタカジャーナル(悪徳雑誌)について何度か書いてきましたが、今回はそういったジャーナルの見分け方などについて書きたいと思います。




 ハゲタカジャーナルは、日本医学会は悪徳雑誌、Wikipedia では捕食出版としていますね。この記事ではあまり考えずに言葉を使います。

 前までの関連記事。
 ▶ 粗悪・悪意のある学術雑誌の弊害 - Beall's List のこと
 ▶ ハゲタカジャーナル に掲載して博士号取得した例がかなりありそうとの調査
 ▶ ハゲタカジャーナルへ(悪徳雑誌)の投稿を控えるよう日本医学会が注意喚起

 この問題については、北海道大学北キャンパス図書室「国際オープンアクセスウィーク2018」企画の「オープンアクセスとハゲタカジャーナル」の資料もわかりやすいですね。

 なぜ横行するのかは、講談社のサイトに記事があります。
 ▶ ハゲタカジャーナル、ダメ絶対! でも、その横行にはそれなりの理由が……
 ハフィントンポストにもありましたね。
 ▶ 劣悪な学術誌「ハゲタカジャーナル」とは? 掲載料が目当て、 根拠乏しい「疑似科学」を拡散
 日経新聞にも
 ▶ 学術の健全性損なう「ハゲタカジャーナル」 


ハゲタカジャーナル(悪徳雑誌)の見分け方


 投稿前に考えることをまとめてくれているサイトがあります。
 Think. Check. Submit. (日本語版) です。これは日本医学会の注意喚起でも引用されていました。再度簡単にまとめて示します。これをまずはチェックしましょう。

 (1) あなたや同僚はそのジャーナルについて、
   掲載論文を以前に読んだことがあり
   最新論文を容易に見つけることができますか
 (2) 出版社名が明記され、メール、電話、郵便で連絡が取れますか。
 (3) そのジャーナルはどのような査読を行うか明白ですか。
 (4) そのジャーナルで掲載されるための料金の内容と
   どの段階で請求されるかについて説明 されていますか。
 (5) そのジャーナルには編集委員会は設置されていますか。
   あなたは編集委員について知っ ており、
   編集委員は自身のサイトでそのジャーナルに触れていますか
 (6) その出版社は学術出版業界で認められた団体に加盟していますか。
   ・Committee for Publication Ethics (COPE)
   ・Open Access Scholarly Publishers Association (OASPA) 
 (7) そのジャーナルは以下のデータベースに収録されていますか。
   ・MEDLINE
   ・WHO Global Index Medicus (GIM) 
   ・Web of Science
   ・Scopus 
 (8) そのジャーナルは以下のリストに登録されていますか。
   ・Directory of Open Access Journals (DOAJ)
 

ホワイトリスト=信用できるリストを用いてのチェック


 とくにDOAJのリストはチェックしておきたいところ。いわゆるホワイトリストであり、ここに登録されていればとりあえずは安心です。
 もちろん、MEDLINE などに登録されているか、検索もするべきです。

ブラックリスト=ハゲタカジャーナル…


 悪徳雑誌である、またはかなり疑わしい、ジャーナルをまとめたリストも公開されていますので、投稿前や査読前、論文を読む前にここでチェックするのも大事です。ホワイトリストと合わせて使用することで、かなり網羅できるはずです。有名なのは以下。

  ▶ Beall's List of Predatory Journals and Publishers - Publishers
  ▶ Stop Predatory Journals
  ▶ CABELLS

 ブログではこんな記事もありました。
  ▶ ハゲタカ出版社チェックはしておきましょう


ハゲタカジャーナルにはインパクトファクター(Impact Factor; IF) はついていないことももちろんありますね


 IFは Clarivate Analytics 社が Web of Science内の被引用数に基づいて計算しており、IFを持つジャーナルは Web of Scienceに採録されている約12,000タイトルに限られています。なので、IFがついていることも重要です。Journal Citation Reports(JCR)にそれらは掲載されます。
 ただし、まともなジャーナルでも新しい雑誌では尽きませんので注意は必要です。
 
 また、IFだけでなく Elsevier の行っている CiteScore というものもあり、こちらは  Scopus での被引用数から算出されています。
 なので、Scopus もチェックするといいですね。

 さらなる注意としては、独自の計算を IF として掲載していることがありますので、かならず、JCR または CiteScore でチェックしましょう。

こういったジャーナルに載ってしまうと不名誉です。また査読依頼は断りましょう


 騙されたり、業績水増し目的だったりするかもしれませんが、こういった悪徳雑誌に載ってしまうと不名誉です。こんないいブログもありました。
 ▶ ハゲタカジャーナル(粗悪学術誌)論文掲載 不名誉な大学ランキング【悲報】東大、阪大などの研究者も投稿していたことが発覚  (≧▽≦ )

 とにかくこういった雑誌に掲載されることは不名誉ですし、業績としてはてなマークになります。また査読を引き受けることも加担したことになりますから、拒否しましょう。
 
 科学の健全な維持・発展のために、こういった雑誌にはかかわらないようにしないといけませんね。


関連記事など


 ▶ ハゲタカジャーナルに関わらないために Medical EnglishService
 ▶ <記事紹介> なぜ研究者は「ハゲタカジャーナル」で論文を出版してしまうのか
 ▶ ハゲタカジャーナル 対策がヤバ過ぎる…
 ▶ ”粗悪学術誌””ハゲタカジャーナル”の何が悪いの?
 ▶ ハゲタカジャーナルに奪われた私の1500ドル
 ▶ 【重要】ハゲタカジャーナルにご注意ください








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2019年3月13日水曜日

ハゲタカジャーナル(悪徳雑誌) への投稿を控えるように日本医学会が呼びかけ

ハゲタカジャーナルへ(悪徳雑誌)の投稿を控えるよう日本医学会が注意喚起





 以前からこのブログでも「ハゲタカジャーナル」について紹介してきました。

 ▶ 粗悪・悪意のある学術雑誌の弊害 - Beall's List のこと
 ▶ 粗悪学術誌(ハゲタカジャーナル) に掲載して博士号取得した例がかなりありそうとの調査

 ハゲタカジャーナルは、粗悪学術誌のことで、法外なお金を取るだけでなく、その査読などもいい加減で、学術的にも問題が非常に大きい雑誌のことです。

 上の記事でかいた Beall リスト にはそういった雑誌がリストされています。
この問題に関して動きがあり、本日、毎日新聞に記事が出ていました。

 ▶ 「ハゲタカジャーナル」投稿控えて 日本医学会、加盟129学会に注意喚起

記事によると、

日本医学会が、所属する医師や研究者にハゲタカ誌への論文投稿を控えるよう注意喚起した。

とのこと。日本医学会のホームページに掲載されたPDF 原本はこれ ▶ PDF です。
 この毎日新聞の記事にあるように

8日付で注意喚起の文書を学会のホームページに掲載した。ハゲタカ誌を「悪徳雑誌」と表現し、「著者から徴収する掲載料収入のみを目的とし、論文の質の管理が粗雑」と批判

しているんですね。医学会のこの委員会では、ハゲタカジャーナルを、悪徳雑誌(predatory journal)と表現しているのですね。
 これら悪徳雑誌による悪影響は、毎日の記事にあるように、

想定より高額な掲載料を請求される▽論文掲載で著者や所属機関が否定的な印象を持たれる▽怪しい雑誌と気付いても論文を取り下げられない

などであり、科学の発展や理解にも非常に悪い影響を与えることにつながります。
 この学会からの原文には、

「ホワイトリスト」と呼ばれる健全な学術誌をまとめた海外のサイトも紹介している
ので、このブログ記事の最後にも載せたいと思います。


 

悪徳雑誌に投稿しないことは科学者の責務


 科学者が注意しなくてはならないことは潜在的にも多く、実際どんどん増えています。倫理的なこと、法的なことはもちろん普段の活動すべてにリスクがあります。

 なかでも業績として発信する出版に関することは社会との大きな接点でありよくよく考え注意して行わなければなりませんね。
 科学者の責任は増大しており、かつ、研究室主催者にはその責務がのしかかります。医学会からの原文にも、

研究室の主宰者などの指導者も、悪徳雑誌の存在などの情報を得て、責任を持って後進の指導に当たるべきです

としており、悪徳雑誌についてはもう常識として、指導をしていかなければならない、新たな項目になっていると言ってよいでしょうね。
 
 読み手も注意をして、上記の記事にも挙げた Beall リストなどをチェックして論文を世読むようにしたいところです。


論文投稿前のチェックのためのホワイトリスト Think. Check. Submit.  - ハゲタカジャーナルの見分け方



 このPDFにはThink. Check. Submit. (日本語版) を元にした最後に投稿のチェックをするための注意も載っています。書き写します。

 (1) あなたや同僚はそのジャーナルについて、
   掲載論文を以前に読んだことがあり、
   最新論文を容易に見つけることができますか。
 (2) 出版社名が明記され、メール、電話、郵便で連絡が取れますか。
 (3) そのジャーナルはどのような査読を行うか明白ですか。
 (4) そのジャーナルで掲載されるための料金の内容と、
   どの段階で請求されるかについて説明 されていますか。
 (5) そのジャーナルには編集委員会は設置されていますか。
   あなたは編集委員について知っ ており、
   編集委員は自身のサイトでそのジャーナルについて触れていますか。
 (6) その出版社は学術出版業界で認められている以下の団体に加盟していますか。
   ・Committee for Publication Ethics (COPE)
   ・Open Access Scholarly Publishers Association (OASPA) 
 (7) そのジャーナルは以下のデータベースに収録されていますか。
   ・MEDLINE  
   ・WHO Global Index Medicus (GIM) 
   ・Web of Science
   ・Scopus 
 (8) そのジャーナルは以下のリストに登録されていますか。
   ・Directory of Open Access Journals (DOAJ)

 
 とくにDOAJのリストはチェックしておきたいところ。いわゆるホワイトリストであり、ここに登録されていればとりあえずは安心です。

 また、ハゲタカジャーナルからの査読依頼はしっかり断った方がいいですね。加担してしまうことになりますからね。

 投稿雑誌にも十分に気を付けねばなりませんね。







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2018年12月26日水曜日

【転載記事】若手研究者のためのシステマティックレビューの書き方指南

 エディテージ・インサイトさんに良い記事があったので、ちょっと布石として CC に基づいて転載をさせていただきます。

 システマティックレビュー(Wikipedia)というのはあるテーマについて、文献を網羅的に調査して、ランダム化比較試験(RCT)のような質の高い研究のデータを、出版バイアスのようなデータの偏りを限りなく除き、分析を行うこと、です。

 偏ったデータなどを引き合いに出して論陣をはるというか、いろいろ主張する際の誤謬をすこしインスタグラムに図としてまとめて投稿しました(▶ これ)。

 この中に、チェリーピッキングなどの項目がありますが、偏った文献の選択というのはとても問題になります。これは科学的な検討を真摯な態度で行っているとは言えない状況を容易に作り出します。

 そこで、まずはその分野の情報をえるにはシステマティックレビューがあるのであれば、そこからあたるのがかなり無難なのは事実です。
 そしてまた、レビューを書きたい場合にはシステマティックに行うことが望ましいとも言えます。

 今回はシステマティックレビューの書き方を紹介してくれている記事を、CCに基づき転載いたします。
 以下は転載記事です。

若手研究者のためのシステマティックレビューの書き方指南


システマティックレビューとは?
 システマティックレビュー(系統的レビュー)とは、現存する文献の徹底的なレビューを行い、定式化した課題について論じるものです。このレビューでは、明瞭で再現性があり、バイアスを最小限に抑えた方法を用いて、課題に関連する研究のエビデンス(科学的根拠)について、系統的な検索、特定、選択、評価、統合を行います。システマティックレビューは、研究成果の情報源として最良のものと考えられています。システマティックレビューは、エビデンスに基づいて研究が行われる医学分野では紛れもなく重要ですが、その他の分野でも、非常に価値があるものとみなされています。
システマティックレビューは、リテラチャーレビューよりも徹底的に行われます。出版済みの論文に加え、「灰色文献」と呼ばれる未出版の文献も対象となります。灰色文献はシステマティックレビューの重要な部分を占め、レビューの価値を高めるものです。これは、出版済みの文献と比べ、灰色文献には新しい情報が含まれることが多く、出版バイアスが少ないと考えられるためです。灰色文献には、未出版の研究、報告書、学位論文、学会で発表された論文や抄録(アブストラクト)、政府による調査研究、実施中の臨床試験などが含まれます。
システマティックレビューを行う過程は、複雑です。本記事では、システマティックレビューの種類と、標準的な手順や執筆方法に関するアドバイスをご紹介します。

システマティックレビューの種類
  • 質的(Qualitative):このタイプのシステマティックレビューでは、関連研究の結果を要約するが、統計的な統合を行わない。
  • 量的(Quantitative):このタイプのシステマティックレビューでは、統計的手法を利用して、複数の研究結果を統合する。
  • メタ分析(Meta-analysis):メタ分析では、統計的手法を用いて、互いに独立していながらも類似している関連研究の結果の評価を統合し、要約する。

プロトコルを書く
 優れたシステマティックレビューは、プロトコルから始まります。国立衛生研究所(National Institutes of Health, NIH)によると、プロトコルはレビューの道筋を示す地図であり、そのレビューの目的、方法、そして一番関心を寄せた点に関する結果を示すものです。プロトコルの目的は、方法の透明性(transparency)を高めることです。
プロトコルでは、検索用語や取捨選択の基準、分析されるデータなどの定義を行います。プロトコルは、原稿と共にジャーナルに提出しなければなりません。ほとんどのジャーナルは、システマティックレビューの著者に、PRISMA声明あるいはそれに類似したガイドラインを利用することを求めています。

PRISMA声明
 システマテイックレビューを書くならば、PRISMA声明を熟知している必要があります。PRISMA声明は27のチェック項目フローチャートから成る文書で、システマティックレビューの執筆方法やレビューに含めるべき事柄などに関し、著者の指針とすることを目的として作られたものです。
プロトコルには、以下の内容が含まれているのが理想的とされています。
  • 検索可能なデータべースおよび情報源(特に灰色文献に関するもの)
  • 検索時に利用するキーワード
  • 検索に適用される制限
  • 取捨選択のプロセス
  • 抽出されるデータ
  • 報告されるデータの要約

システマティックレビューのプロトコルを登録する
 プロトコルを書いたら、登録することをお勧めします。登録することで、他の人が同じレビューを書き始めてしまうことを防ぎます。
システマティックレビューのプロトコル・レジストリには、以下のものがあります。
  • Campbell Collaboration: 社会的介入に特化したシステマティックレビュー
  • Cochrane Collaboration: 医療介入に特化したシステマティックレビュー
  • PROSPERO : 全てのシステマティックレビュー向けのオープン・レジストリ
レジストリには、登録されたレビューを検索できるデータベースがあります。システマティックレビューを開始する前に、自分の選んだテーマで登録されたレビューがないかどうか、データベースを検索して確認してみると良いでしょう。そうすれば、努力が無駄になることもありません。

システマティックレビューに最も適した取り組み方とは?
 システマティックレビューの本質は、システマティックである(体系化されている)ということです。システマティックレビューでは、膨大な量の文献を詳細に吟味し、分析します。効率的かつ効果的に仕事を進めるためには、プロセスを明確にして順に辿っていく必要があります。NIHは、システマティックレビューを以下のような流れで進めることを推奨しています
1.   リサーチクエスチョンを考える
2.   選択基準及び除外基準を定める。
3.   研究を特定する。
4.   研究の質を評価する。
5.   データを抽出する。
6.   分析し結果を提示する。
7.   結果の解釈を行う
8.   必要に応じてレビューをアップデートする。
このプロセスに従って進め、それぞれの段階でメモを取っておくとよいでしょう。そうすれば、レビュー論文を書き進めやすくなるはずです。

システマティックレビュー論文の構成とは?
 システマティックレビュー論文では、原著論文と同じ構成を用います。通常、題名(タイトル)、抄録(アブストラクト)、序論、方法、結果、考察、参考文献が含まれます。
題名(Title):題名は、レビューのテーマを正確に反映したものでなければなりません。「システマティックレビュー」という言葉をタイトルに含め、研究論文の性質を明確に表します。
抄録(Abstract):システマティックレビューには、構成の決まった抄録があるのが普通です。背景、方法、結果、結論の各項目に沿って、短いパラグラフ(段落)で書かれます。
序論(Introduction):序論はテーマを要約し、システマティックレビューを行なった理由を説明します。レビューを行うにあたって、現存の知識に空白がある、あるいは文献に同意できないところがあるなどの理由があったはずです。また、序論では、レビューの目的や目標を述べる必要があります。
方法(Methods):方法は、システマティックレビュー論文のもっとも重要な部分です。どのような方法に沿って行われたかを、明確かつ論理的に説明しましょう。以下の項目について、詳細な考察を行う必要があります。
  • 選択基準及び除外基準
  • 研究の特定の仕方
  • 研究の選別
  • データの抽出
  • 質の評価
  • データ分析
結果(Results):結果も論理的に説明されていなければならない部分です。最初に研究結果を書き、その後で研究の範囲と特徴、研究の質について述べ、最後に、介入が結論に与える影響を考察します。
考察(Discussion):考察では、レビューで得られた主な知見を要約し、さらに研究の限界と結果の信頼性について考察していきます。最後に、レビューの長所と短所を考察し、現在の手法に対する影響について提示します。
参考文献(References):システマティックレビュー論文の参考文献には、通常、膨大な数の文献が含まれます。細心の注意を払い、漏れのないようにしましょう。効率的に文献を扱えるよう、文献管理ソフトを使用しても良いでしょう。

 エディテージインサイトに掲載されたものです。


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2018年12月10日月曜日

【転載記事】Sci-Hubに関する尽きない議論

 Sci-hub について2回書きました。

 ▶ 海賊版論文ダウンロードサイト Sci-Hub も違法化となりそうです
 ▶ 科学論文の「海賊版」サイト Sci-Hub

 この議論はとても深く、科学者にとっては切実な問題でもあります。editage さん(エディテージ・インサイト)にとてもよい記事がありました。クリエイティブ・コモンズに基づきここに転載をさせていただきます。




 以下の記事が転載になります。元のサイトも科学情報に富んでおり、おすすめです。

Sci-Hubに関する尽きない議論:海賊サイトか、研究者の味方か?


 学術論文へのアクセスは無料であるべきでしょうか?学術コミュニティは、長年この質問に悩まされてきました。しかし昨年、エルゼビア(Elsevier)がSci-Hub創設者を訴えるに至り、倫理面の問題と思われていたこの課題は、法的問題へと発展しました。背景を簡単に説明しましょう。Sci-Hubとは、ほぼすべての購読モデルの(有料の)研究論文に、非合法のアクセスを提供するウェブサイトです。カザフスタンの神経科学研究者、アレクサンドラ・エルバキアン(Alexandra Elbakyan)氏の発案により、2011年に開設されました。ウェブサイト上での説明には、「(Sci-Hubは)グローバルな科学技術出版社です。科学コミュニティに、研究論文や最新の研究情報への無料アクセスを無制限に提供します」と書かれています。サイエンス誌(Science)に掲載された記事によると、ウェブサイトに集められた論文は5万本に上り、その数は日々増加中です。そして、資金や情報が不足している研究者をはじめ、世界中の研究者がアクセスしています。

 Sci-Hub開設以後、研究へのアクセシビリティについて様々な議論が行なわれてきました。論文の著作権は著者が保持すべきか、それとも出版社が保持すべきか。また、学術論文へのアクセス費用はなぜ高額なのか。そして、Sci-Hub時代の到来により、学術出版の方向性が変化していくのか、等々の議論です。

 研究者の多くは、Sci-Hubについて、自分を助けてくれる味方だと捉えていますが、出版社は、自社の著作権(とその商売)を踏みにじる海賊サイトだと考えています。エルバキアン氏は、研究者は論文を書くが、そこから何ら利益を得ることはないと論じています。片や、出版社は、自分たちが創作したわけではないコンテンツを出版し、購読に法外な料金を課すことで、莫大な利益を得ています。皮肉にも、研究者は―ときには著者自身でさえ―出版物にアクセスできないのです。この点についてエルバキアン氏は次のように述べています。「収入や所属に関わらず、誰もが専門知識にアクセスする権利があるはずです。それはまったくの合法的行為です。専門知識というものが営利企業の私有財産であるという考え方は断じておかしいと思います」。しかし出版社は、Sci-Hubは違法コンテンツの利用を促しているとして、そのウェブサイトは閉鎖すべきだという見解です。

 研究への取り組み中に、購読料を支払わなければ読めない論文にアクセスできず、途方に暮れる研究者が数多くいます。読みたい論文1本1本のすべてに資金を出せる研究者はほとんどいません。大学でさえ、学術論文へのアクセス費の捻出が困難だと感じています。サイエンス誌編集長のマルシア・マクナット(Marcia McNutt)氏は、「今日のデジタル出版は、紙媒体への印刷や最先端のウェブデザインと同じぐらい高価なものだ」と主張しますが、第一線の研究者や専門家の多くは、この見方に疑問を呈しています。つまり、現在は印刷出版に必要だったコストをある程度削減できる電子出版の時代なので、出版社が過剰なアクセス料金を課すことは受け入れられない、という意見です。

 オープンアクセス方式は、購読方式に縛られた学術文献を開放し、ユニバーサルアクセスを実現する方法の1つですが、Sci-Hubのユーザーデータから明らかになった意外な事実は、研究者による検索頻度の高い論文の多くがオープンアクセスであるということです。それなのに、研究者はなぜわざわざ海賊ウェブサイトを使い、無料でアクセスできる論文を探すのでしょうか?その理由は明らかで、探し求めている研究論文を見つけやすいからです。ジョン・ボハノン(John Bohannon)氏は、ある記事で次のように述べています。「(Sci-Hubでの検索は)Google検索と同じぐらい簡単で、論文のタイトルやDOIが分かっていれば、全文テキストを確実に発見できます。自分が探しているものを見つけられる可能性が高いのです」。つまり、研究者たちは出版社のウェブサイトを使いにくいと感じており、Sci-Hubの利用を好むのは単に使いやすいからだ、ということが言えそうです。

 学術文献へのアクセスが金銭に左右される世界にあって、Sci-Hubは、研究者が目当てのものをもっとも探しやすい場所の1つなのです。エルゼビアのユニバーサルアクセス部長のアリシア・ワイズ(Alicia Wise)氏は、「ユニバーサルアクセスには大賛成ですが、盗みには反対です!」と述べています。これは科学コミュニティ内で繰り返し聞かれる感情が吐露されたものですが、必要な論文がなかなか見つからずに読めないでいることに不満に感じている研究者がほとんどであることも事実です。研究者がSci-Hubを好むのは、それだけ必死にならざるを得ない状況を示しているのです。

 学術出版業界は、この状況をきっかけにユニバーサルアクセスを提供する方向へと変わっていくでしょうか?未来を予測するのは難しいですが、ジャーナルが購読モデルを廃止することはないでしょう。しかし、Sci-Hubからの膨大な論文ダウンロード数や、Sci-Hubにアクセスする多数の研究者の存在により、出版業界が現在のインフラの再考を迫られることは避けられないでしょう。我々は、ニュートンの有名な言葉:「私が少しだけ先を見通せたとしたら、それは巨人の肩の上に立っていたからだを思い出す必要があります。科学文献にアクセスすることなしに、進歩を期待することはできないのです。今こそ、科学をとりまく主要な利害関係者たちが協力し、出版論文を科学コミュニティがすぐに利用できるようにするための解決策を見出すときではないでしょうか。

 エディテージインサイトに掲載されたものです。


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2018年12月1日土曜日

【転載記事】学術出版界の本当のハゲタカは著者?

 粗悪な学術雑誌、いわゆるハゲタカジャーナルについて記事を複数回書きました。

 ▶ 粗悪・悪意のある学術雑誌の弊害 - Beall's List のこと
 ▶ 【情報】粗悪学術誌(ハゲタカジャーナル) に掲載して
   博士号取得した例がかなりありそうとの調査

 これらの問題はかなり深刻で、粗悪な雑誌については科学者は知って多く必要があります。今回は Editage Insights さんにまた良い記事がありましたので、CC に基づいて転載をさせていただきます。

 以下、転載記事になります。

学術出版界の本当のハゲタカは著者?


学術出版界における「ハゲタカ」と言えば、金銭目的で「科学」論文を出版する出版社やジャーナルを思い浮かべる人が多いでしょう。このような出版社やジャーナルは、論文の質にはお構いなしに、著者に出版を約束します。疑うことを知らない著者は、出版費用を払った後で、相手先のジャーナルが偽物であったことに気づきます。論文の取り下げや撤回を求めても、応じてもらえることはまずないと、多くの著者が報告しています。ハゲタカジャーナルは著者の取り下げ要求に対し、拒否するか、法外な手数料を請求するか、単に無視するかの対応を取るだけです。このようなケースでの「ハゲタカ」は出版社であり、著者はその「獲物」だと言えるでしょう。

 しかし、ここで問題提起したいのは、著者こそが科学の構造に傷を付けている張本人になっているケースがあるという事実です。最近、意図的にハゲタカジャーナルで論文を出版している研究者の事例が報告されています。ハゲタカ出版と関わりをもつ研究者の大半は、疑うことを知らない被害者でしょう。しかし、ハゲタカ出版には、よく調べなければならない別の側面があることも確かなのです。

ハゲタカ出版は組織化されつつある?

ハゲタカジャーナルの行為を明るみにすることを目指す研究者グループが2017年3月に発表した論文では、「ハゲタカ出版は組織化されつつある」と報告されています。ハゲタカ出版産業は急成長しており、現在1万誌のハゲタカジャーナルが科学論文を出版していると見られています。ハゲタカ出版市場がとくに栄えているのは、インド、アフリカ、中国などの国々です。

 2017年9月にNature誌で発表された論文では、米国の一流大学に所属する研究者でさえハゲタカジャーナルで論文を出版していると報告されています。これを報告した著者の1人であるオタワ大学のラリッサ・シャムシア(Larissa Shamseer)氏は、「我々の調査で明らかになったのは、ハゲタカ出版は世界規模の現象であり、世界中のさまざまな学術機関に所属する研究者が関わっているという問題です」と述べています。


ハゲタカジャーナルで論文を出版する著者に罪はないのか?


 毎年40万本の論文がハゲタカジャーナルで出版されています。この膨大な数を考えると、1つの疑問が浮かび上がってきます。これらの論文を出版したすべての著者が無実で、ハゲタカジャーナルの被害者であると言えるのでしょうか?トンプソン・リバース大学(ブリティッシュコロンビア)経済学部教授のデレク・パイン(Derek Pyne)博士は、次のように指摘しています:「何十万本という論文がハゲタカジャーナルで出版されている現状を考えると、すべての著者や大学が被害者であると信じるのには無理があります」。

 かの有名な「ビオールのハゲタカ出版社リスト」を過去に作成したジェフリー・ビオール(Jeffrey Beall)氏は、研究者がハゲタカ出版ルートを選んでしまう動機を次のように説明しています:「論文をスピーディーに出版したいがために偽ジャーナルを選択する研究者は存在します」。

 研究者たちが、論文を頻繁かつ迅速に出版しなければならないという過度なプレッシャーに晒されているのは事実です。あるナイジェリアの研究者は、支援組織や助成機関が要求する過度な論文出版件数が、「ナイジェリアの研究者の大半を、疑わしいジャーナルで論文を出版せざるを得ない状況に追い込んでいます」と指摘しています。

 研究者、教授、教員、医師などは、一定数の論文を出版しなければならないという要求に応えるためにハゲタカジャーナルに手を出してしまうのです。そのような著者は若手研究者であるとは限らず、発展途上国の研究者であるとも限りません。ある2人のチェコ人研究者がScopusのデータベースに登録されているハゲタカジャーナルに関する調査を行なった結果、「科学技術先進国においても、多くの研究者が、論文を出版するためにハゲタカジャーナルに金銭を支払う意思を持っている」ことが明らかになりました。


ハゲタカ出版の魔の手から科学を救う手立てはあるか?

ハゲタカジャーナルのネットワークが拡大し続けていることを考えると、偽ジャーナルや価値のない出版物から科学を救う策を今すぐ講じる必要があります。研究者は、ハゲタカジャーナルで論文を出版することのデメリットを認識しなければならないのはもちろんのこと、論文を迅速に出版できるルートはほかにもあるということを知る必要があるでしょう。スピード出版のオプションは、複数の一流誌で提供されています。ハゲタカ出版を根絶やしにするためには、科学コミュニティが一丸となって徹底的な対応を取る必要があるでしょう。

 ハゲタカジャーナルでの論文出版に熱心な研究者が世界中にいるという事実は、質より量が重視されている学術界に巣食う、根深い問題の象徴と言えます。ハゲタカ出版は、科学の公正性に対する真の脅威となっているのです。

 研究を実施するには、時間、コスト、リソースの面で多大な投資が必要です。そのため、研究者がハゲタカジャーナルで論文を出版すれば、その被害は良質な研究にまで及ぶことになります。ハゲタカジャーナルで出版された論文が科学的知見に組み込まれても、恩恵を得るのは科学や人類ではなく、一部の著者だけなのです。


関連記事:

ハゲタカ出版社を見抜くためのチェックリスト
 A predatory journal lures an author with false promises: A case study
 Authors beware: Avoid falling prey to predatory journals and bogus conferences
 How to identify predatory conferences: The Think.Check.Attend checklist
 「『ハゲタカ出版社』は、あらゆる手を使ってまともな出版社のふりをします」
 Academic hijacking: Avoid the dark alleys of academic street crime
 Simple steps authors can follow to protect their research from predatory publishers


関連動画:


 信頼され倫理にかなった研究者になるために何ができるか?


参考資料:


 Many academics are eager to publish in worthless journals
 Nigeria’s predator problem
 Researchers from national institutes publish in predatory journals
 Researchers at Harvard, Mayo Clinic too publish in predatory journals
 Researchers may be part of the problem in predatory publishing

 エディテージインサイトに掲載されたものです。

2018年11月17日土曜日

粗悪・悪意のある学術雑誌の弊害 - Beall's List のこと

 博士学生をしているときに初めて聞いて印象に残っているものがありました。



 
Predatory journal。日本語ではハゲタカジャーナル。


 注意しましょう、とメンターに言われたのです。?? 当時は全くしらなかったのですが…。

 そもそも predatory とは、日本語に訳すと、「生物を捕らえて食う、捕食性の、略奪する、略奪を目的とする」といった意味。映画のプレデターは取って食う悪い奴ですね。

 Journal は学術雑誌です。学術雑誌というのは科学研究の成果を論文にして掲載する専門的な雑誌のことですね。
 Journal の運営は論文投稿者の投稿料、掲載料、そして雑誌の販売・購読料、広告料でなりたっていると思われます。
 

粗悪な journal の出版社とは



 Journal の出版社としては Springer NatureElsevier が最大手ですね。
 最近は購読料が高騰して、いろいろ反対運動も起こっているというのはあるんですが、それはまた別の機会に。

 話は戻って、では predatory journal とは何か、というと、質がまともでなく掲載料などをぼったくる出版社が出しているヤバイ雑誌ということなのです。
 
 質がまともでない、というのは科学研究の世界においては、しっかりとした peer review がなされているか否かということになります。

 Peer review というのは、雑誌に掲載を申し込む投稿作業をしたら、その原稿を、同業者でその領域の専門家が読み、載せてよいかどうかをチェックし判断する仕組みのことです。そう、ライバルともいうべき専門家が載せていいかどうか判断する、この慣行のことを peer review (査読)と言っています。よって、しっかりこれがなされる雑誌を、査読誌と呼びますね。

 この peer review は非常に重要で、論文の質を担保するのです。もちろんいろいろ弊害もあるのですが、現時点ではベストな方法と考えられてると言っていいでしょう。

 掲載料については、最近はやや高いものが多いです。というのは昔は購読料で稼いでいた雑誌社も、最近はオープンアクセスといって、誰でもネットで読めるようにしていたりして、購読料が取れなくなっている場合もあり、その際には投稿者である科学者からお金を少しでも取ろうとしているんですね。

 しかし、predatory journal は法外にぼったくります。一報掲載 100 万円とか。びっくりするような額らしいですよ。知らずにこういった  predatory journal に投稿してしまい、科学者が被害者になっている…。そういう警告を、大学院の時にされていたと思ったのです。

 つまりまとめると、高い高い掲載料を払うと、しっかりしていないいい加減な査読で、粗悪な論文であって掲載する。そういうジャーナルのことを predatory journalといっているんですね。


科学者側にも問題が…



 そんな predatory journal なんですが、実は最近、問題提起されたのは、科学者が被害者であるということだけではなかったんです。

 こんなニュースがありました。
  ▶ 毎日新聞 粗悪学術誌:論文投稿、日本5000本超 業績水増しか

 記事によると、
 
「研究者が業績の水増しに使っている恐れがある」


 とのこと。どういうことかというと、peer review がいい加減またはされていないのをいいことに、雑な論文を掲載してもらい、業績にしてしまう。お金で業績を買っている。
 そういうことなんです。雑誌に掲載されることが業績となる科学者にとって、安易に業績を稼げる方法があったというわけなんです。

 これはひどいことで、科学者の多くは公金で仕事をしている/させてもらっているわけですから、これは雑誌社と科学者の共同正犯的な詐欺ともいえる行為でしょう。
 問題であり、そういった雑誌に投稿・掲載しないこと、していれば疑うことが必要です。


Beall's list 


 ではどうすればそういった雑誌がわかるのか。

 かつて、Jeffrey Beall という図書館の研究者(コロラド大学デンバー校助教授であり、図書館の司書)が、こういった predatory journal の list を作って公開しており、Beall's list として有名でした。しかし、出版社側から名誉棄損等で法的な措置をとられ、消えてしまいました(実際にはほかの事情もあったとの話もあります。Wiki に詳しい)。
 
 このリストをよく眺めていただけに残念でした。

 しかし、最近になって、このリストを復活させた人たちがいます。そのリストが以下。

  ▶ Beall's List of Predatory Journals and Publishers - Publishers

 というわけで、掲載基準などがありますが、このリストをみてみるといろいろわかります。多いですね。本当に多い。
 良いジャーナルの基準というのはとても難しいですが、引用の状況などを、Clarivate Analytics などの引用 (サイテーション) の評価サイトで調べることで判断しているようです。

 その他、最近は新しい Stop Predatory Journals というサイトもありますし、昨年2017年には有料で CABELLS がブラックリストを配布しています。

 が、いずれもジャーナルの選定基準、理由についてはなかなかオープンではないんですね。そこにもいくつか問題があります。もちろん不当にリストに載っているということもあるのかもしれません。

 実はこれら、載っているジャーナルからしょっちゅうメールがくるところもあります。
 気を付けないといけません、投稿する科学者としては。

 そして気を付けないといけません、科学を遂行している者が正当な業績を作っているか。

 科学者にとっての業績とは何か、そういったことを考えるにあたって、これは一つの重要なことですね。気を付けましょう。







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2015年11月5日木曜日

本文中で引用する際の"et al." の使い方 - 転載記事です




 英文論文の著者名のところを見ていると。"et al." という文字列がでてきますね。

 これは、日本語に直すと「達」にあたります (「ら」という人や記述がありますが、「ら」は目下や見下すさいに用いる言葉で、奴ら、などと使います。自分を卑下する、我らはいいですが、「ら」を他者につかう感覚にはやや日本語が不自由な印象をもちます)。

 誰が一番論文を書いているか、と検索すると「et al.」さんになるという笑い話や、どう発音するのか、「エトオール」?「エトアール」?など、話題には事欠きません。

 今回は、論文本文中で、引用する際に、この "et al." をどう使うのか、エディテージインサイトに良い記事がありましたので、CC(クリエーティブ・コモンズ)ライセンスにのっとり、いかに完全転載でご紹介します(エディテージインサイトさんありがとうございます、かつその精神をリスペクトします!)

----- 以下、エディテージインサイトさんよりの転載です ------

本文中で引用する際の"et al." の使い方


研究者が自分一人だけで論文を発表することは珍しいと言えるでしょう。研究論文にはたいてい数名もしくは大勢の著者がいて、科学が協同作業で行われることが多くなるにしたがい、論文一報あたりの平均著者数も増え続けています。著者名発行年方式(ハーバード方式とも言います)で論文を引用する場合、名前を長く連ねていくと、ぎこちなく見えます。ですから、多くのジャーナルがet al.の使用を推奨しているのです。et al.とは、ラテン語のet alii やet aliaeの略で、「その他(and others)」という意味です。

著者が何名以上だったら、et al.を使うべきでしょうか? この点に関して、ジャーナルによってかなり違った対応を取っています。 American Journal of Tropical Medicine and Hygiene は、どんなに著者名の引用が長くなってもet al.の使用を避けています。How to Write and Publish a Scientific Paper [1] は、慣例では四人以上の著者がいる場合にet al.を使うとしており、Chicago Manual of Style [2]もそれに賛同しています。一方、Cambridge University PressのSTM (science, technology, medicine) booksでは次のように述べています。

「著者が三人いる研究を引用するときは次のいずれかの対応が可能である。
(1) 最初に三人全員の名前を挙げ、次からet al.を使う、
(2) 引用の際は常に三人全員の名前を挙げる、
(3) 常にet al. を使う」。
ただし、「著者数が四人以上の場合には、常にet al. を使うこと」 [3]

The American Psychological Association (APA) [4] は、さらに洗練されたやり方を採用しています。論文を次の三つのタイプに分けます。著者が1人か2人の論文、著者が3~5人の論文、著者が6人以上の論文の三つです。二番目のタイプの場合、その論文を初めて引用する際は、最初の三人を挙げて、後はet al.にし、それ以降の引用では第一著者名だけを挙げ、後はet al.にすることを奨励しています。六人以上の著者がいる論文の場合は、常に、第一著者名だけ挙げて、後はet al.にします。

ですから、本文中でet al.を引用するときは、投稿先のジャーナルの投稿規程と最新号をよく研究してから、本文中の引用スタイルを整えるのがベストです。

[1] Day R A and Gastel B. 2006. How to Write and Publish a Research Paper, 6th edn. Westport, Connecticut: Greenwood Press. 320 pp.
[2] University of Chicago Press. 2010. The Chicago Manual of Style, 16th edn. 1026 pp.
[3] https://authornet.cambridge.org/information/productionguide/stm/text.asp
[4] American Psychological Association. 2009. Publication Manual of the American Psychological Association, 6th edn. Washington, DC: APA Press. 272 pp.
 
エディテージインサイトに掲載されたものです。