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2019年4月13日土曜日

シャーガス病について

 ドラマ「インハンド」の第一話(TBS あらすじ) が放送されましたね。

 このドラマ、感染症が題材なので毎回ちょっとテーマについて解説してみたいなぁと思いました。原作は朱戸アオ氏の漫画「ネメシスの杖」「インハンド 紐倉博士とまじめな右腕」「インハンド」とのこと。読もう…。

 第一回のお題はシャーガス病でした。今回はシャーガス病についてまとめます。


病原体のトリパノソーマ


シャーガス病とは


CDCより トリパノソーマ(真ん中)とサシガメ(左右)

まず初めに情報のあるところを紹介しておきます。

 ▶ MSDマニュアル シャーガス病
 ▶ シャーガス病 Eisai ATM Navigator
 ▶ シャーガス病 Wikipedia
 ▶ シャーガス病(アメリカトリパノソーマ症)について FORTH
 ▶ Parasites - American Trypanosomiasis (also known as Chagas Disease) CDC
 ▶ Chagas disease (American trypanosomiasis) WHO
 ▶ 感染病理アトラス復刻版 堤寛 トリパノソーマ
 ▶ シャーガス病とわが国におけるシャーガス病の現況 日本医事新報
  

 さて、シャーガス病とは、寄生虫(寄生原虫, parasite) であるクルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruziという病原体が感染することで引き起こされる病気です。別名はアメリカトリパノソーマ症といいます。

 この疾患は、ラテンアメリカやカリブ諸国などの熱帯地方のアメリカで蔓延している病気で、感染者はラテンアメリカだけで 800~1,100万人もいると考えられています。

シャーガス病の分布域


 感染していても発症しない場合もあり、「沈黙の疾患」とも呼ばれますが、突然死を引き起こすこともあり、感染の確認は重要です。
 
 進化論で有名なチャールズ・ダーウィンがシャーガス病であったのではないか、という推測もあるようです(▶ 参考記事)。

 さらに今、中国では一部で流行しており、問題になる可能性もでてきています(参考記事 ▶ 潜伏期間数十年! “新型エイズ”シャーガス病が中国で猛威……日本への上陸も?)


どのように感染するのか



 この寄生虫であるトリパノソーマは、サシガメ (reduviid bug、kissing bug、assassin bug) という昆虫を媒介してヒトに感染します。サシガメがヒトを刺すことにより、感染してくるのですね。ヒト以外にもイヌ,ネコ,フクロネズミ,ラットなど150種類以上の哺乳類に感染します。

 サシガメ刺される以外の感染経路として、母子感染、輸血、臓器移植、サシガメの糞で汚染された非加熱食品(サトウキビジュースなど)の摂取、検査の際の血液曝露事故なども重要です。
 
 輸血でも感染するため、日本の献血でもシャーガス病流行地域に行ったことがあるか否かについては必ず聞かれることになっています。
 参考 ▶ シャーガス病に対する安全対策の変更について 日本赤十字社


 さて、クルーズトリパノソーマがどのように成長し生活し感染するかの生活環の図が、CDCにありましたので引用してみます。


 上の図にあるように、❶まず媒介昆虫サシガメがヒトの吸血時に刺咬傷の近くにトリポマスティゴートという幼虫を含む糞便を落とす、❷トリポマスティゴートが、刺咬した部位や粘膜(結膜など)からヒト(宿主)に侵入、❸ 宿主内でトリポマスティゴートが接種部位近くの細胞内に侵入しアマスティゴートとなる、❹アマスティゴートが分裂によって増殖し、トリポマスティゴートとなる。そして、細胞から飛び出し血流に入る。血流型のトリポマスティゴートは様々な細胞に感染する。心筋層、筋肉や神経系の細胞が侵されることが多い。全身に広がったのちアマスティゴートに変態して、様々な症状を引き起こす。
 血流内でトリポマスティゴートは、アフリカトリパノソーマとは異なって増殖しないことが知られている。増殖は細胞に入るか別の媒介生物に摂取された場合にのみ再開する。
 ❺ サシガメが血中にトリポマスティゴートのみられるヒトまたは動物の血液を摂取して感染する、❻ 摂取されたトリポマスティゴートが媒介生物の腸内でエピマスティゴートにとなり、❼ 原虫が腸内で増殖し、❽ 感染性のメタサイクリック型トリポマスティゴートとなりまた糞便中に排出される。

 複雑な名前がたくさん出てきますが、ようは、媒介動物であるサシガメと宿主の間でぐるぐる回り、最終形態のものが全身で悪さをして症状を引き起こすわけですね。

 このサシガメ、今のところラテンアメリカなどの暑い地域と中国あたりにしかいませんが、第二のヒアリとして日本に上陸するのではないかという懸念もあるようです(参考記事 ▶第二の「ヒアリ」? 中国で大量発生するサシガメに懸念高まる)


シャーガス病の症状は


 シャーガス病は急性期、不確定期、慢性期の3段階があり、急性期と慢性期に症状がでます。サシガメに刺されたのちの急性感染後に不確定期が続いていき、無症候性のまま経過することもあれば慢性疾患に進行することもあるのですね。

急性期


 急性感染症は小児に起こることが多く、無症状のこともあります。
 症状のある場合には、刺されたのち1~2週間で症状が出現し始め、刺された部位には硬結を伴う紅斑性の皮膚病変(シャゴーマと呼ばれる)が現れます。

 侵入部位が目の結膜の場合には、結膜炎を伴う片側性の眼周囲および眼瞼浮腫と耳前リンパ節腫脹があらわれ、この兆候をロマーニャ兆候(Romaña sign)と呼びます。

 急性のシャーガス病はごく一部のケースにおいて、心不全を伴う急性心筋炎または髄膜脳炎を引き起こし、死亡することがあるそうですが、それ以外は無治療でも症状は治まっていきます。

不確定期


 不確定期には、症状はみられず、免疫学的な方法で診断されることが多くなります。

慢性期


 数年から数十年の不確定期の後に、およそ20~40%の患者で慢性疾患が発症し、慢性期と呼びます。主に、心臓と消化管に障害が生じます。

 心臓では、慢性心筋症と局所的の変性による障害が起こされ、心不全や失神、心ブロック、心室性不整脈による突然死などで死亡することがあります。

 胃腸疾患としては食道アカラシアや、大腸のヒルシュスプルング病に似た症状を引き起こし、嚥下困難や巨大結腸症により障害が生じたり死亡することがあります。


どのように診断するか


 診断は、末梢血の検査や感染臓器吸引物中のトリパノソーマの検出を行うか、抗体検査をおこなうことでなされます。

 血液塗抹標本や吸引液検体での光学顕微鏡検査においては、急性期だればトリパノソーマが簡単に見出されます(最初の写真など)。潜伏期・慢性期は血液中に原虫はほとんど存在しないため、リンパ節などの臓器からの吸引物の検査が必要になります。

 抗体検査としては、間接蛍光抗体法や酵素免疫測定法は感度が高いことが知られています。ただし、リーシュマニア症などの患者では偽陽性となる場合があります。
 その他には血液または組織液を用いて PCR 検査で検出する方法もあります。


シャーガス病の治療


 シャーガス病を引き起こすクルーズトリパノソーマに効果のある薬剤は以下の2つのみが知られています。Nifurtimox または benznidazole です。いずれの薬剤も毒性がつよく、これらの長期治療では消化管への有害作用や末梢神経障害が伴うことから忍容性が低く、コンプライアンスも不良も問題になります。

 急性期に薬物治療を行うことで原虫血症は急速に軽減して症状の持続期間が短縮し死亡リスクが低下し疾患が慢性化する可能性が低くなることが知られています。
 不確定期には小児および50歳未満の成人に対する治療が推奨されていますが、50歳以上の患者に対する治療は潜在的なリスクとベネフィットに基づいて個別に判断されます。
 慢性期となると、これらの薬剤は一切無効です。

 薬剤による治療以外には、支持的な方法があり、心不全への治療、心ブロックに対するペースメーカーや抗不整脈薬、心臓移植、食道拡張術や下部食道括約筋へのボツリヌス毒素の注射、巨大結腸症に対する消化管手術などがなされることがあります。


シャーガス病の予防



 流行地域、すなわちサシガメのいる地域では虫を避けることが重要になりますので、壁の漆喰塗りや草葺き屋根の交換、家屋への残留性殺虫剤の反復散布などが行われています。
 旅行者の感染はまれで、蚊帳の使用などでサシガメに刺されることを防げます。

 他の国では流行地からの感染者による献血、臓器提供、母子感染での感染があり、流行地域の多くや日本や米国をはじめとする他の国では輸血および臓器移植関連のシャーガス病を予防するために問診とスクリーニング検査が実施されています。


シャーガス病とバチスタ手術



 バチスタ手術とは、あの小説「バチスタの栄光」で有名になった、手術の方法です。端的に言うと、左心室縮小形成術といい、拡大してしまった心臓を小さくする手術。

 これを開発したブラジルのバチスタ先生のされていた心臓手術の多くが、シャーガス病によるものだったことが分かっています。
 シャーガス病の治療をする中で開発された治療法だったのかもしれませんね。


と、一足先に堤先生の記事がありましたね


 と、まとめてきて参考文献などを追加するためにネット検索をしなおしていたら、まぁ、私もお世話になった、そして先にリンクで紹介した「感染症病理アトラス」のご著者でもある堤寛先生協力の記事が他に出ていました。

 ▶ 『インハンド』の感染症「シャーガス病」の恐ろしさ…数十年の潜伏期間→心臓肥大で突然死 Business Journal
 
 素早い…。次は負けないように素早く解説したいと思います。


まとめますと


 
 シャーガス病は日本においては現在、輸入感染症として、感染した患者が帰国することはありえるということですが、感染の危険性は決して高くはない病気です。
 ただし、献血、臓器移植では注意が必要だという状況なんですね。
 世界にはこういった熱帯地域に多い難しい感染症がたくさんありますね。






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2019年4月10日水曜日

【解説】ウェステルマン肺吸虫症について

 ラジエーションハウスのドラマ第一回を見ました。
 豪華な出演者、ノリもよく医療ドラマとしても楽しめそうな雰囲気ですね。

 早速以下、ネタバレありで今日は出てきたことを一つ解説してみます。

 第一回放送では、頭の中の撮影で画像がうまく得られない、なぜなら頭の中に動脈瘤クリップという金属が入っていて、さらに、奥歯にも金属の詰め物があったから、というストーリーでした。金属が入っていると CT も MRI もなかなかうまく取れません。

 画像が得られないので、動脈瘤の再破裂かもしれない、造影剤を投与して検査しよう…という中、主人公が、これをうまく回避して画像診断をできるようにした。
 そして、…なんと画像では… 肺吸虫症だと診断が…。

 というストーリーでした。

 ドラマなので細かくうるさくは言いませんが、画像も難しく、さらに画像だけで肺吸虫症は確定診断はできません。ほかの検査もしないといけませんが、この寄生虫による病気はちょっと不思議で面白いところもありますので、簡単にまとめてみたいと思います。


肺吸虫(はいきゅうちゅう)症とは



Fig.1 ウェステルマン肺吸虫の成虫の図(Wikiより)

肺吸虫症という病気は、肺吸虫という寄生虫がヒトに感染して起こすさまざまな症状のある寄生症です。

 肺吸虫とは、寄生虫の一種で英語では paragonimius と言います。

 ヒトに寄生することのある肺吸虫(paragonimus)はこれまでのところ、種としては28種が報告されており、日本でみられるのは主にウェステルマン肺吸虫(場合によってはベルツ肺吸虫が含まれる)宮崎肺吸虫による感染の2種類なんですね。その他には大平肺吸虫、小形大平肺吸虫、佐渡肺吸虫などがあります。少なくとも世界的には11種の感染例が知られています。

 まずは情報のあるところを紹介してみます。  
  ▶ わが国における肺吸虫症の発生現況 国立感染症研究所
  ▶ 東京都福祉保健局 食品衛生の窓 肺吸虫
  ▶ 肺吸虫 - 食品安全委員会 PDF
  ▶ CDC Paragonimiasis
  ▶ Wikipedia ウェステルマン肺吸虫

 昨日放送のドラマでは患者は海外へ行って生のカニを食べたことで感染したとされていますが、実際に、日本国内でも生のサワガニなどを食べての感染は起こりえますし、海外で感染して帰ってくることももちろんあります。


どのように感染するのか



 肺吸虫がどのようなところにいて、どのように成長し、どのように生活しているか、といったことを生活環と言いますが、これを解説した図がCDCにありました。

Fig.2 肺吸虫の生活環

 この図にあるように、まず❶肺吸虫のたまごである虫卵は、人の糞便や喀痰とともに排出され、❷水の中で発育して、❸幼虫であるミラシジウムというものになります。

 ミラシジウムは❹第一中間宿主といわれる寄生先といえるカワニナなどの貝に侵入し、貝の体内において、スポロシスト→レジア→セルカリアと成長していきます。

 ❺セルカリアになると貝から出て、第二中間宿主であるカニ(図では海老になっていますね)に侵入して、セルカリア→メタセルカリアへと成長します。

 ヒトなどの最終的な宿主となる生物(ヒトのほか、イヌ・ネコ・タヌキなどもこれになります)が、サワガニやモクズガニなどの第二宿主を食べることで感染し、小腸内で、脱嚢といって中身が飛び出し、おなかの壁を壊して体に入り込み、横隔膜を通り抜けて肺に移動してきます。
 虫嚢といわれる袋のような病変を、虫がペアになってつくり、そこでたまごを生みます。


どんな症状がでるのか


 寄生虫が体のどこに行くかによって、さまざまな症状がでてきます。

 まずは、もっともありがちなのは胸部に行くことで肺などに侵入しますので、血痰、咳、胸痛、発熱、気胸(+胸膜炎と胸水貯留)などが起こることがあります。これを胸部肺吸虫症と呼んでいます。

 脳まで移行すると、今回のドラマのように、頭痛や嘔吐、てんかん様の発作、麻痺などが起こり、場合によっては命にかかわることになってきます。これを脳肺数虫症といっています。

 また、皮膚または皮下肺吸虫症といって、皮膚の下を虫が這いまわることによって痛みや腫瘤ができることがあります。


Fig.3 CDCホームページより

 

どうやって診断するのか



 放射線画像診断では、典型的には肺の中や脳の中に腫瘤ができていることが分かります。ただ、これだけで明確に診断することはとても難しいことが多いです。

 というのは、GGOというすりガラスのような薄い影であったり、癌やそのほかの病気ににた腫瘤をつくったりということもあり、画像だけですぐに肺吸虫を考えるのは難しいことが多いからですね。

 肺吸虫が感染するようなエピソードや地域にいることや、疑われる画像や症状があれば、喀痰や糞便において、沈殿虫卵法という方法で寄生虫の卵を検出することで診断をすることができます。また、最近はゲノムの配列を読むこともできます。

 ▶ 肺吸虫の画像の論文 
   Radiology of Infectious Diseases Volume 3, Issue 2,
    June 2016, Pages 66-73
 ▶ 典型的なCT画像が「多彩な胸部陰影を呈した宮崎肺吸虫症の1 例
   にありました。

 上記論文より。肺でも脳でも空洞のあるような嚢を作ることが多いですね。





 もしも病理検体がでてきたときは、多数の虫卵が認められ、その周りには好酸球の浸潤や強い肉芽組織からなる組織反応がみられます。虫卵の殻は複屈光性を有するので、偏光レンズ観察で光って見えます。

Flicker より





どうやって治療するのか



 これは比較的簡単で、駆虫薬という薬を飲むだけになることが多いです。
 具体的には、プラジカンテルやピチオノールというお薬になります。



どの程度日本に寄生虫がいるのか、どうやって防ぐか



 日本で1950 年代に実施された疫学調査では、北海道を除く全国に肺吸虫症患者がいましたが、その後激減、しかしまた1980 年代に年徐々に増加していました。1986 年から 2005 年までに診断された 200 症例以上は、その 95%がウェステルマン肺吸虫による感染だったとの報告もあります。

 食品の汚染は、食用サワガニの約20%がウェステルマン肺吸虫または宮崎肺吸虫に汚染されていることが証明されているほか、野生イノシシが検査され肺吸虫の幼虫 が検出されたという報告もあります。

 感染自体はメタセルカリアが1 個でも感染が成立して成虫に発育することから、汚染された生ものを食べるのはとても危険と言えます。
 ヒトからヒトへ直接感染することはありません。

 予防のためには、サワガニ・モクズガニ・シカ・イノシシは生食はせずに、十分加熱することが望まれます。また、これらを調理した器具を十分洗浄することが大切です。



というわけで、


 問診による食事の履歴や渡航歴がとても診断には重要な疾患です。寄生虫症は日本では激減していますが、まだ存在します。また、海外ではそのリスクもありますので、生食などは控え、もししてしまった後に症状がでれば受診時にしっかりと伝えることが大切ですね。
 医療従事者はしっかり問診をとり患者の行動を把握したうえで、症状、検査、画像などからの診断を行わないといけませんね。


● 教科書



 医動物学という分野の本が寄生虫を扱っていますね。
 この本は見やすく読みやすくお勧め。







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2018年11月18日日曜日

フューチャリング、アニサキス

 医師ブログランキングを見ていると、最近「くづ医者の救急」さんが猛烈な人気です。もうね、PV とか異常な数なんですね、すごい。

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 昨日の記事が「アニサキス、入れといたから」でした。あぁ、アニサキス、思い出すなぁということで、ちょっとアニサキスについて書きます。

 まず自験例の病理の写真を。結構きれいなんですよ。とるときは動いていて気持ち悪いですが、固定してきれいな標本にできるんです。

Fig.1 アニサキス なかなか綺麗

Fig.2 まさに胃壁にかみつくアニサキス。左下が頭、上は胃粘膜



アニサキス症


 アニサキスは寄生虫の一種で、魚介類に寄生し人にアニサキス症を引き起こします。
 魚介類の生食が原因となるわけで、フレッシュであればあるほど生きたアニサキスが混じている可能性が高くなります。

 日本においては、魚介類の生食で最も多発するのはアニサキス症なのですが、虫種が確定したのは1960年代とのこと。
 当時はなんと、腹痛に対して開腹手術をして、初めてアニサキス症であると証明されうるというような状況でした。ひゃー。

 その後は内視鏡が普及して摘出されるようになり、症例数もかなりあることが分かってきました。

Fig.3 アニサキス… Wiki より

疫学としては


 アニサキス症は日本ではおよそ7000件ほどと推計されているようです(2005年から2011年の年平均)が、海外での報告数はヨーロッパで約500件、アメリカで約70件。圧倒的に寿司・刺身好きの日本人に多そうですね。

 アニサキスをもっている魚介類は約160種であり、サバが最も重要な感染源と考えられています。まぁ有名ですね。実は魚介類はアニサキスの幼虫が寄生する中間宿主・待機宿主というもので、本来の居場所ともいうべき終宿主はクジラやアザラシなどの海生哺乳類でなのだそうです。

Fig.4 アニサキスの生活環、Wikiより



アニサキス


 アニサキスは何種類もいるようですが、いずれもその第3期幼虫という段階のものが魚介類に寄生していて、アニサキス症の病原体となります。
 

症状


 胃アニサキス症では、食後数時間で激しい上腹部痛や悪心・嘔吐を起こすことが多いようです。病歴から疑い、内視鏡検査で確定することが多いですね。
 しかしながら、胃粘膜に入りこもうとする虫体が見つかっても、無症候例のこともあるようです。

 実は、アニサキス症の激烈な症状は、過去にアニサキスに一度暴露されている個体に生じるアレルギー症状なのではないかということも言われてはいます。

 胃アニサキス症以外にも、腸アニサキス症(イレウスになった症例報告 ▶消化管外アニサキス症による癒着性イレウスを来した 1 例)、肝臓アニサキス症(症例報告 ▶ 肝アニサキス症の 1 例)などの消化管外アニサキス症、アニサキスアレルギーなどがあります。いずれにしてもアレルギー反応と考えられる症状がでますね。


予防するために



 海産魚介類の生食には注意し、できるだけ加熱して食べることが重要ですね。
 冷凍で感染性を失うので冷凍後は基本的には安全と考えられますが、たまに生きていることがあるようです。


治療は取り出すこととアレルギー対策


 治療は胃アニサキス症では内視鏡検査で虫体を鉗子で摘出すればよいのですが、腸アニサキス症ではひどければ手術になることもありますね。

 病理組織としては、アニサキスの虫体は上にしめしたようなもので、頭が食い込んでいるところには炎症が起こります。そこが肉芽腫になることもありますね。虫体の組織学的特徴については、一番下にリンクをおいた感染症アトラスに詳しいですね。

 駆虫薬はありません…。しかしながら、正露丸に含まれる木クレオソートにはアニサキスの運動抑制作用があって症状の改善が期待でき、特許がとられています。


 生食する際には十分に注意しましょう…。


● ほむほむ先生のブログの記事もお勧めです!
 ▶ イタリアにおけるアニサキスアレルギーの発症率は?


● 情報のあるサイト

 ▶ 国立感染症研究所 アニサキス症とは
 ▶ 厚生労働省 アニサキスによる食中毒を予防しましょう
 ▶ Wiki英語Wiki
 ▶ 感染症病理アトラス復刻版オンラインより アニサキス症








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