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2020年5月27日水曜日

インタビューをしていただきました

 今日も快晴、夏のような陽気のベセスダです。
 ちょっとお散歩に行き、デスクワークをし、今日はのんびり。


Fig.1 夏のような陽気

 さて、ご縁があって、日経ビジネスにインタビューをしていただきました。

 テーマを絞って取材されることはあったのですが、新型コロナウイルスについて、ざっくばらんにいろいろとお話させていただいたロングインタビューは初めてです。

 新型コロナウイルスについてはわかっていることとわかっていないこと、検討されていることと手が回っていないこと、そこら辺の見極めが結構リアルタイムで必要で、常に情報を探していますが、やはりダイナミックに動きますね。編集者の方ともそういった現状の話などもあっちいったりこっちいったり話したのですが、本当にうまくまとめていただいており感謝です。

 今回は、前編、また後編もあります。


 さて、数日前にこのブログに書きましたが、新しい Virus の本にはまっています。いや、これがまた面白いんです。本当に Viral Infections of Humans 。シンプルな記載なんですが、本当に重要なことがいっぱい書いてある。これはウイルス学者必携ですよね…Fields だけじゃだめだわ…と思ったり。
 ま、専門家を目指す人向けであることは間違いありません。

 ツイッターではしょっちゅうお勧めしているんですが、一般の方向けのウイルスに関する本でのお勧めは、ウイルスは悪者か―お侍先生のウイルス学講義、これ一択。本当によい本だなぁ…って思っています。

 このブログも含め、アップデートしたり書かねばなぁという記事・原稿もたくさんあるのですが、どうも気力が…在宅ワークモードでこう、今ひとつわかずサボっています…。本業の文書仕事などだけしている感じ。ちょっとメリハリをつけないとな、と思ったり。

 


 


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2019年4月13日土曜日

シャーガス病について

 ドラマ「インハンド」の第一話(TBS あらすじ) が放送されましたね。

 このドラマ、感染症が題材なので毎回ちょっとテーマについて解説してみたいなぁと思いました。原作は朱戸アオ氏の漫画「ネメシスの杖」「インハンド 紐倉博士とまじめな右腕」「インハンド」とのこと。読もう…。

 第一回のお題はシャーガス病でした。今回はシャーガス病についてまとめます。


病原体のトリパノソーマ


シャーガス病とは


CDCより トリパノソーマ(真ん中)とサシガメ(左右)

まず初めに情報のあるところを紹介しておきます。

 ▶ MSDマニュアル シャーガス病
 ▶ シャーガス病 Eisai ATM Navigator
 ▶ シャーガス病 Wikipedia
 ▶ シャーガス病(アメリカトリパノソーマ症)について FORTH
 ▶ Parasites - American Trypanosomiasis (also known as Chagas Disease) CDC
 ▶ Chagas disease (American trypanosomiasis) WHO
 ▶ 感染病理アトラス復刻版 堤寛 トリパノソーマ
 ▶ シャーガス病とわが国におけるシャーガス病の現況 日本医事新報
  

 さて、シャーガス病とは、寄生虫(寄生原虫, parasite) であるクルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruziという病原体が感染することで引き起こされる病気です。別名はアメリカトリパノソーマ症といいます。

 この疾患は、ラテンアメリカやカリブ諸国などの熱帯地方のアメリカで蔓延している病気で、感染者はラテンアメリカだけで 800~1,100万人もいると考えられています。

シャーガス病の分布域


 感染していても発症しない場合もあり、「沈黙の疾患」とも呼ばれますが、突然死を引き起こすこともあり、感染の確認は重要です。
 
 進化論で有名なチャールズ・ダーウィンがシャーガス病であったのではないか、という推測もあるようです(▶ 参考記事)。

 さらに今、中国では一部で流行しており、問題になる可能性もでてきています(参考記事 ▶ 潜伏期間数十年! “新型エイズ”シャーガス病が中国で猛威……日本への上陸も?)


どのように感染するのか



 この寄生虫であるトリパノソーマは、サシガメ (reduviid bug、kissing bug、assassin bug) という昆虫を媒介してヒトに感染します。サシガメがヒトを刺すことにより、感染してくるのですね。ヒト以外にもイヌ,ネコ,フクロネズミ,ラットなど150種類以上の哺乳類に感染します。

 サシガメ刺される以外の感染経路として、母子感染、輸血、臓器移植、サシガメの糞で汚染された非加熱食品(サトウキビジュースなど)の摂取、検査の際の血液曝露事故なども重要です。
 
 輸血でも感染するため、日本の献血でもシャーガス病流行地域に行ったことがあるか否かについては必ず聞かれることになっています。
 参考 ▶ シャーガス病に対する安全対策の変更について 日本赤十字社


 さて、クルーズトリパノソーマがどのように成長し生活し感染するかの生活環の図が、CDCにありましたので引用してみます。


 上の図にあるように、❶まず媒介昆虫サシガメがヒトの吸血時に刺咬傷の近くにトリポマスティゴートという幼虫を含む糞便を落とす、❷トリポマスティゴートが、刺咬した部位や粘膜(結膜など)からヒト(宿主)に侵入、❸ 宿主内でトリポマスティゴートが接種部位近くの細胞内に侵入しアマスティゴートとなる、❹アマスティゴートが分裂によって増殖し、トリポマスティゴートとなる。そして、細胞から飛び出し血流に入る。血流型のトリポマスティゴートは様々な細胞に感染する。心筋層、筋肉や神経系の細胞が侵されることが多い。全身に広がったのちアマスティゴートに変態して、様々な症状を引き起こす。
 血流内でトリポマスティゴートは、アフリカトリパノソーマとは異なって増殖しないことが知られている。増殖は細胞に入るか別の媒介生物に摂取された場合にのみ再開する。
 ❺ サシガメが血中にトリポマスティゴートのみられるヒトまたは動物の血液を摂取して感染する、❻ 摂取されたトリポマスティゴートが媒介生物の腸内でエピマスティゴートにとなり、❼ 原虫が腸内で増殖し、❽ 感染性のメタサイクリック型トリポマスティゴートとなりまた糞便中に排出される。

 複雑な名前がたくさん出てきますが、ようは、媒介動物であるサシガメと宿主の間でぐるぐる回り、最終形態のものが全身で悪さをして症状を引き起こすわけですね。

 このサシガメ、今のところラテンアメリカなどの暑い地域と中国あたりにしかいませんが、第二のヒアリとして日本に上陸するのではないかという懸念もあるようです(参考記事 ▶第二の「ヒアリ」? 中国で大量発生するサシガメに懸念高まる)


シャーガス病の症状は


 シャーガス病は急性期、不確定期、慢性期の3段階があり、急性期と慢性期に症状がでます。サシガメに刺されたのちの急性感染後に不確定期が続いていき、無症候性のまま経過することもあれば慢性疾患に進行することもあるのですね。

急性期


 急性感染症は小児に起こることが多く、無症状のこともあります。
 症状のある場合には、刺されたのち1~2週間で症状が出現し始め、刺された部位には硬結を伴う紅斑性の皮膚病変(シャゴーマと呼ばれる)が現れます。

 侵入部位が目の結膜の場合には、結膜炎を伴う片側性の眼周囲および眼瞼浮腫と耳前リンパ節腫脹があらわれ、この兆候をロマーニャ兆候(Romaña sign)と呼びます。

 急性のシャーガス病はごく一部のケースにおいて、心不全を伴う急性心筋炎または髄膜脳炎を引き起こし、死亡することがあるそうですが、それ以外は無治療でも症状は治まっていきます。

不確定期


 不確定期には、症状はみられず、免疫学的な方法で診断されることが多くなります。

慢性期


 数年から数十年の不確定期の後に、およそ20~40%の患者で慢性疾患が発症し、慢性期と呼びます。主に、心臓と消化管に障害が生じます。

 心臓では、慢性心筋症と局所的の変性による障害が起こされ、心不全や失神、心ブロック、心室性不整脈による突然死などで死亡することがあります。

 胃腸疾患としては食道アカラシアや、大腸のヒルシュスプルング病に似た症状を引き起こし、嚥下困難や巨大結腸症により障害が生じたり死亡することがあります。


どのように診断するか


 診断は、末梢血の検査や感染臓器吸引物中のトリパノソーマの検出を行うか、抗体検査をおこなうことでなされます。

 血液塗抹標本や吸引液検体での光学顕微鏡検査においては、急性期だればトリパノソーマが簡単に見出されます(最初の写真など)。潜伏期・慢性期は血液中に原虫はほとんど存在しないため、リンパ節などの臓器からの吸引物の検査が必要になります。

 抗体検査としては、間接蛍光抗体法や酵素免疫測定法は感度が高いことが知られています。ただし、リーシュマニア症などの患者では偽陽性となる場合があります。
 その他には血液または組織液を用いて PCR 検査で検出する方法もあります。


シャーガス病の治療


 シャーガス病を引き起こすクルーズトリパノソーマに効果のある薬剤は以下の2つのみが知られています。Nifurtimox または benznidazole です。いずれの薬剤も毒性がつよく、これらの長期治療では消化管への有害作用や末梢神経障害が伴うことから忍容性が低く、コンプライアンスも不良も問題になります。

 急性期に薬物治療を行うことで原虫血症は急速に軽減して症状の持続期間が短縮し死亡リスクが低下し疾患が慢性化する可能性が低くなることが知られています。
 不確定期には小児および50歳未満の成人に対する治療が推奨されていますが、50歳以上の患者に対する治療は潜在的なリスクとベネフィットに基づいて個別に判断されます。
 慢性期となると、これらの薬剤は一切無効です。

 薬剤による治療以外には、支持的な方法があり、心不全への治療、心ブロックに対するペースメーカーや抗不整脈薬、心臓移植、食道拡張術や下部食道括約筋へのボツリヌス毒素の注射、巨大結腸症に対する消化管手術などがなされることがあります。


シャーガス病の予防



 流行地域、すなわちサシガメのいる地域では虫を避けることが重要になりますので、壁の漆喰塗りや草葺き屋根の交換、家屋への残留性殺虫剤の反復散布などが行われています。
 旅行者の感染はまれで、蚊帳の使用などでサシガメに刺されることを防げます。

 他の国では流行地からの感染者による献血、臓器提供、母子感染での感染があり、流行地域の多くや日本や米国をはじめとする他の国では輸血および臓器移植関連のシャーガス病を予防するために問診とスクリーニング検査が実施されています。


シャーガス病とバチスタ手術



 バチスタ手術とは、あの小説「バチスタの栄光」で有名になった、手術の方法です。端的に言うと、左心室縮小形成術といい、拡大してしまった心臓を小さくする手術。

 これを開発したブラジルのバチスタ先生のされていた心臓手術の多くが、シャーガス病によるものだったことが分かっています。
 シャーガス病の治療をする中で開発された治療法だったのかもしれませんね。


と、一足先に堤先生の記事がありましたね


 と、まとめてきて参考文献などを追加するためにネット検索をしなおしていたら、まぁ、私もお世話になった、そして先にリンクで紹介した「感染症病理アトラス」のご著者でもある堤寛先生協力の記事が他に出ていました。

 ▶ 『インハンド』の感染症「シャーガス病」の恐ろしさ…数十年の潜伏期間→心臓肥大で突然死 Business Journal
 
 素早い…。次は負けないように素早く解説したいと思います。


まとめますと


 
 シャーガス病は日本においては現在、輸入感染症として、感染した患者が帰国することはありえるということですが、感染の危険性は決して高くはない病気です。
 ただし、献血、臓器移植では注意が必要だという状況なんですね。
 世界にはこういった熱帯地域に多い難しい感染症がたくさんありますね。






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2019年1月2日水曜日

【情報】レバ刺しによる食中毒で1人が重体 - カンピロバクター食中毒について

 ちょっと前になりますが食中毒のニュースがありました。

 ▶ 朝日新聞 レバ刺し食べた2人が食中毒、1人は重体 茨城の飲食店

 牛のレバ刺し等を含む生食をした客二人が食中毒になり、そのうち一名は「ギラン・バレー症候群」を発症して重体であったとのことですね。

 原因菌として「カンピロバクター」が検出されているようです。 
 このカンピロバクター属の細菌による胃腸炎は増加傾向にあります。


Campylobacter jejuni 

 

● カンピロバクターとは


菌について


 カンピロバクター(Campylobacter )属というグループに属する細菌は、17菌種ほどが知られています。1978年にアメリカで飲料水から約 2,000 人が集団感染した事例があって、注目されるようになったんですね。

 ヒトに病原性をもつものは胃腸炎症状を主に起こすことが多く、原因となる菌の95%以上は、Campylobacter jejuni という種類のものであり、Campylobacter coli という菌が数%です(ちなみに jejuni というのは小腸の一部の空調 jejunum から、coli は大腸という意味の colon からですね)

 情報源としては
  ▶ 国立感染症研究所 カンピロバクター感染症とは
  ▶ 感染症予防接種ナビ カンピロバクターとは
  ▶ 厚生労働省 カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)
  ▶ CDC Campylobacter (Campylobacteriosis)
 などがよくまとまっています。

 Campylobacter jejuni  は1982年に食中毒の起因菌に指定されています。
 

感染源について


 感染源となるのは、生肉料理(トリ刺し、レバ刺し)が多く、獣肉の不完全加熱処理食品を調理後の調理器具や手指を媒介した二次汚染(生野菜や水を含む)、時にはイヌやネコなどのペットなどからということもあります。

 特に、家禽類(ニワトリ、ウズラ)の腸管にカンピロバクター属の菌はいますが、少数の菌でも感染が成立することから、腸管を含まない肉でも感染の危険性があります。

 鶏肉に関しては「食品製造の高度衛生管理に関する研究」平成14~16年度報告によると、市販品ではレバーで66%程度、砂肝で67%程度、鶏肉で100%から検出されたとのことなんですね。 

症状と診断・治療について 

カンピロバクター属による食中毒の主な症状は胃腸炎のものです。潜伏期間が2~5日とやや長いのも特徴です。少数の菌でも発症することが知られており、潜伏期間の長短は摂取した菌の数が関係している可能性もありそう、とのこと。
 
 具体的な症状としては、下痢、悪心、嘔吐、悪寒、発熱などであり、便の回数が多いことや血便が出る比率が高いことも特徴で、発熱を伴うこともまた多いのです。

 診断は臨床症状のみからでは困難であり、糞便などから菌を分離することが最も確実な方法です。微好気培養という方法で、最低2日間(37〜42℃)かかってしまいます。
 よって、臨床では同定までに通常3〜5日間程度が必要になることから、迅速性と正確性を期するために PCR 法などの遺伝子診断技術が必要不可欠となっている現状がありますね。
 
 治療としては、とにかく水分を摂取して安静とする、基本は自然治癒をサポートする方法となります。
 抗菌薬は基本的には使用しませんが、基礎疾患があったり、重症である場合には使用されることがあります。 


重篤な症状や合併症について


 カンピロバクター胃腸炎では、胃腸炎にとどまらず、合併症が起こることも知られています。
 合併症としては、ギラン・バレー症候群、反応性関節炎などが知られていますが、ギラン・バレー症候群(GBS)は非常に重篤となるものです。以下に解説します。


● ギラン・バレー症候群とは


 カンピロバクター 感染症の一般的な予後としては、健常人に起こった食中毒の場合には良好な経過をとることが知られています。

 しかし、感染後1〜3週間で ギラ ン・バレー症候群 (GBS)という合併症を発症する事例があります。GBS には複数の亜型がありますが、基本的に、急激な四肢脱力を主徴とする、運動神経障害優位の自己免疫性末梢神経障害のことです。

 この GBSという症候群の発症メカニズムとしては、カンピロバクターの菌の表面にある糖鎖構造と、ヒトの運動神経軸索に豊富に分布するガングリオシドとの分子がよく似た形をしている、すなわち相同性があるために、免疫機構がカンピロバクターによって活性化された場合に、交差して自分自身を攻撃するようになってしまうという機序が指摘されているんですね。

 GBS は予後良好なタイプもあるのですが、カンピロバクター感染症につづいて発症するタイプの GBS は、軸索型 GBS (AMAN: acute motor axonal neuropathy) というものが多くて重症化しやすく、歩行困難など後遺症がのこることもあります

 重症化すると、呼吸筋麻痺が進行しての死亡例も確認されており、治療過程で人工呼吸器管理となることもありますね。

 GBS については罹患率は世界的にはおよそ人口10万人当たり1〜2人ですが、日本においては年間 2,000人前後の患者発生があると推定されているようです。


● 生食の危険性について


 ちょっといいビデオがありました!





カンピロバクター感染症の予防については、食品衛生の面からみると、獣肉(特に家禽肉)調理時の十分な加熱処理が重要であり、調理器具や手指などを介した生食野菜・サラダへの二次汚染も極力防止するように注意することが重要なのですね。

 カンピロバクター菌は乾燥条件では生残性が極めて低いことがわかっていますので、調理器具などは清潔にし乾燥を心掛けることも重要になります。

 そして、ここがよく聞かれるポイントでもあり、実際に出されることは減ってい入ると思いますが、生肉料理(トリ刺し、レバ刺し等)を避けることが望まれます

 厚生労働省のサイトでは、   カンピロバクター食中毒の予防方法は、まずなによりも(1)食肉を十分に加熱調理(中心部を75℃以上で1分間以上加熱)することが重要としています。具体的には未加熱又は加熱不十分な鶏肉料理を避けることが最も効果的なのだと。

 また、二次汚染の防止のために(2)食肉は他の食品と調理器具や容器を分けて処理や保存を行う(3)食肉を取り扱った後は十分に手を洗ってから他の食品を取り扱う(4)食肉に触れた調理器具等は使用後洗浄・殺菌を行うことも極めて重要です

 参考 ▶ 厚生労働省 お肉はよく焼いて食べよう 
    ▶ 東京顕微鏡院 なぜ、生食用牛レバーは禁止されたか?


● 予防法のまとめ


 ・よく手を洗うこと
 ・調理などでの二次汚染を防ぐこと意識すること
 ・しっかり加熱した肉を食べること
 ・ペットなどの管理にも注意すること


 おいしい料理をたべて楽しみましょう。しかし食中毒になると大変です。皆様、気をつけておいしい料理をたべて安全に楽しみましょう!







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2018年12月21日金曜日

かんたん赤ちゃんレベルの ウイルス学 その1 ウイルスとは何か

 簡単に基礎医学のところから医学・医療について呟くシリーズを続けています。今回はウイルスとはなんなのかということの基本について少しお話をしたいと思います。

 いずれ、昨今問題になっている、子宮頸癌について少し触れたいのです。そこで、そこにたどり着くために何をお話すればいいのか考えてみました

 子宮頸癌というのは女性の子宮頸部に生じる癌 (carcinoma) ですこの疾患についてお話しするには、まず、腫瘍というのがどういうものか、悪性腫瘍とはどういうものか、子宮頸癌とはどういうものでどういう特徴があって、どういう治療があるか、ということを話したい。

 腫瘍学の基礎は大事だと思うのですと同時に、子宮頸癌の原因のほとんどはHPVというウイルスによって生じます。ですから、HPVの話もしたい。HPVはワクチンで防げますので、ワクチンの話もしたい。

 ワクチンというのは免疫を利用するある意味では薬の一種です。免疫については少し今までに述べましたが、ワクチンの解説をするのに十分な領域は述べていません。なので、免疫の部分もまた補強したい

 というようにたくさん関連する基礎事項というのはありまして、一つのことをしっかり理解するにはかなり広範な基礎的な知識がいる、これは医学・医療の特徴でもあります

 そこで考えたところ、①ウイルス→HPV→子宮頸癌、②腫瘍学→癌→子宮頸癌、③免疫→ワクチン→感染・癌予防、④感染症→性感染症→HPV というようにいくつかのルートをつくりつつお話しようかなと思い立ったわけです

 それらがある程度終わったら、ワクチンや薬について、治療についてお話し、反ワクチンの言い分を一つ一つつぶしていきたいと思います

 さて、いつも前置きが長いですねよろしくない。今回はウイルスについて話をしたいのでした。ウイルスと細菌や真菌の違いもちょっと触れたいと思います。これは、風邪になぜ抗生物質を使うという発想が間違いであるかにも関わります。


生物とはなんだろうか


 さて、生き物とはなんでしょうか。生物とはなんでしょうか

 はぁ?生きてるものでしょ。ということになりますよね

 生きているものが生き物。生物というのは生命をもっているもの、生命をもっているのが生きているもの…生き物??

 トートロジー(同語反復)になって定義できませんね。

 意外に、この、生物を定義するのは難しいのですでは、生物に分類されるものはなにか。動物 (哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類…)・植物・菌類・細菌・古細菌などです、さて、これらの特徴はなんでしょうか。

 そうやって考えるときには「『無』生物」との対比で考えるといいですね
 生きていないものとの違いはなにか。

 いろいろ挙げられますが、

  ① エネルギーを変換することができる、
  ② 自分の状態を維持することができる、
  ③ 自分自身と外とが明確に分かれている(独立している)
  ④ 自分自身の子孫を増やして残すことができる、

 などがあげられます

 なかなか難しい
 
 ではもう一度生物に分類されるものに共通することを考えてみます。哺乳類から菌まで。簡単な特徴が一つあります。それは、最小単位というべき「細胞」からなっているということです。



細胞


 細胞というのは、外界とは区切られた一つの塊で、一つ一つが機能を持っています。エネルギーを変換して、自分を維持して、外とは明確に分けられていて、分裂して増えることができます。

 そう、生物の特徴かな、として挙げた上の機能をだいたい持っていそうですね。

 これは結論になってしまいますが、雑に分類すると、細胞はある意味で生物の最小単位といってもいいのです「生物とは細胞からできている。」…?実は少々言い過ぎですが、まぁそんな感じです。

 さて、ここで、最も小さい、細胞からできている生物ってなんだろう、と考えてみます

 ヒトというのは実は37兆個ぐらいの細胞でできているんじゃないかと見積もる研究があります (▶ EvaBianconi et al. 2013, Annals of Human Biology, 40:6, 463-471.)

 たくさんですね。一方、最小数の細胞からなる「生物」は何か、といいますと、これは細菌や真菌、古細菌などで、これは1個の細胞からなっています


 ですから、こういったものを「単細胞」生物というのですね




 この図は菌の概要ですが、これが一つの細胞です。細胞から毛のようなものも生えていますね。

 さて、細胞というのはある意味で区切られた装置です。エネルギーを変換し、なんらかの機能を担い、自分を維持し、分裂して増える
 それを実施するために細胞内にはいろいろな仕組みが備わっています





 上の図の左側 Eukaryote というのは「真核生物」といって、「核」nucleus というものを持っている細胞の図です。我々ヒトの細胞もこれなんですね。
 右側は Prokaryote 「原核生物」 といって、明確に仕切られた核はもっていない細胞で、細菌などがこれにあたります


 細胞はいろいろな仕組みをもっていますが、大事なことは、遺伝情報をDNAに書き込んで保持していること、エネルギーを変換する装置をもっていること、自分を維持するために自分の部品を作ったり壊したりする装置をもっていることなどがあげられます。

 さて長ったらしく、生物ってなんなの、という話から始めてしまい、結局なんとなく細胞という「単位」がその定義をみたしてくるのかな、というところまで見てきました。



ウイルスってどんなもの?



 ようやくですが、ウイルスに入りたいと思います。

 まず言葉から。初めに言葉ありきです。
 
  ウイルス(英語: virus)はラテン語のvirus が由来です。この言葉は「毒液」といった意味合いですね。

 日本語になってからはかなりいろんな書き方が歴史的にはされていて、ウイルス、ウィルス、バイラス、ビールスなどと書かれてきました。しかし、1953年に日本ウイルス学会が設立され、今では「ウイルス」(すべて大文字のカタカナ)が正式名称になっているんですね。




 ウイルスって、どんなものなのか。ウイルスの概念図はこんな感じです。一見細胞と同じ感じに見えるかもしれないですね。周りと隔てられていて、中に遺伝物質がある。





 形はいろいろあります。上の模式図に示したような形のものが有名で、多面体みたいなもの、らせん状のもの、まるで宇宙船のようなもの、などいろいろです。

 重要なことは、繰り返しになりますが、これらの形の中に、それぞれ設計図である遺伝情報をいれているということがあげられます。細胞をもっている生物と一緒ですね。

 遺伝情報の保持の仕方は、細胞を持っている生物とは違うところがあります。それは、かならずしもDNAに情報を書き込んでいるのではなく、RNAという別の物質に遺伝を書き込んでいることもある、というところです。

 では細胞との違いはなんなのか…。遺伝子がRNAのこともあるということ以外に違いはあるでしょうか。あります。

 ウイルスはまず「大きさが全然違います」。

 細胞というのは、菌であれば小さくて 1μm(マイクロメーター) 程度の大きさです。人の細胞だと5μm以上の大きさです。これは1mmの 1/1000~1/200 程度の大きさですね。

 一方、ウイルスは100nm(ナノメーター)程度のものが多いのです。100nmというのは0.1μmで、1mm1/10000程度の大きさです。細胞の1/10程度の大きさなんですね。

 


 ウイルスのなかでも大きさはいろいろなんですけど、どれもとても小さいんですね。
余談ですが、形はとても「美しい」ものや「面白い」ものが多いですね。



 大きさを書いてみると、Electron microscope、すなわち電子顕微鏡というものを使わないと見えないレベルのものなんですね。



 こんな小さいものなので、細胞にはあるものが「いろいろありません」

 核、ありません。
 エネルギーを変換する装置、ありません。
 自分の成分を作る装置、ありません。
 自分を複製・増やす装置ありません

 …あれれ、これは大変なことですね。


 「生物」を定義するような特徴を保つ装置を持っていないのです。
 遺伝情報と容れ物からなっている、けれど、生物の機能を担えません。

 そう、「ウイルスとはそういうもの」なのです。

 DNAまたはRNAという遺伝情報を書き込んだ成分と、それを入れる容れ物、そして少数の種類のタンパク質をもつ小さな小さな塊、それがウイルスです。

 ウイルスは生物か…上でラフに考えたラフな定義のようなものからいうと、ノーです。決定的なのは、「自分では増えられない」という点とも言えます。



ウイルスの増え方


 では、ウイルスはどうやって「自分を増やす」のでしょう。簡単に答えからいうと、細胞に入り込んで「機能をのっとって」、自分を増やしてもらうのです。侵入した細胞の装置をお借りする。

 そう、ウイルスというのは他者(細胞)依存的に自分を増やすんですね。

 ですから、ウイルスはただの情報の塊のような面もあるんですが、細胞を乗っ取る機能はもっている、ということになります。

 自分を自分の装置だけでは増やせないのはウイルスだけ。というとウソになって、じつは細菌にちかいリケッチアというのも他の細胞なしでは自分を増やせません。これは今回は余談ですが。

 細かいことは省きますが、ウイルスは増えてはいくわけです。自分自身でではなく、細胞も持ちませんが。そういう意味ではまるで「生物」のごとくふるまう面もありますね。そして、生物の進化や生物のもっている仕組みにはウイルスが大きくかかわってもいます。

 なので、ウイルスというのは、生物と非生物の非常に難しいはざまの立ち位置にあるような、そういう存在ということもできるんですね
 「生物学的存在」ということもあります


 ただ、生物の定義を狭めて「非細胞性生物」として位置づけることもあるんですが…。

 なんだか概念的で、哲学的で、つまらーん、眠い話をしてきてしまいました。

 ここからは具体的にウイルスってどんなものがあって、どんな仕組みなのかなということをお話したいと思いますが、その前にひとつ寄り道をします。



ウイルスと細菌(や真菌)の違いと抗生物質


 細菌・真菌というのは細胞からできていました。できているんです。装置をもっているんでしたね。自分を外と分ける膜や壁のようなもの、自分自身をメンテナンスする装置、自分を増やす装置。




 これらの装置のいろいろな部分に作用して、働かなくする薬が、「抗菌薬」「抗真菌薬」であり、ラフに使われる「抗生剤・抗生物質」というものになります。
 これらの、「装置に効く」のです、

 代表的な抗菌薬には、細菌の細胞の壁を壊すもの、細菌がタンパク質をつくるのを止めるもの、細菌の遺伝情報であるDNAが増えるのを防ぐもの、などがあります。

 そして重要なのは、ヒトの装置には影響しない/しにくいこと。細菌は原核生物なので、原核生物にだけ作用するものであればいいのですが、カビの仲間はヒトと同じような細胞からなる真核生物なのですこし難しいのですが、そういった選択性のある物質が薬になっているんですね。

 ですから、抗菌薬は菌の細胞の装置を止める薬なわけで、「ウイルスには効きません」。ウイルスは装置を持ちませんし、ヒトに病気を起こすウイルスは、「ヒトの装置を乗っ取ります」。抗菌薬はヒトの装置には作用しないのでした。

 さて、「風邪」というのはライノウイルスなどのウイルスによっておこる(一般感冒・普通感冒と呼ばれる風邪ですね)んですね。
 
 ですから「抗菌薬」「(ある意味の)抗生物質」はウイルスには効かないので、風邪には効きません。これは重要なことで、原理的に効かないのです。気休めにもならない

 抗生剤を、効かない風邪などに乱用すると、細菌は薬剤に対して耐性というものを持ってしまいます。この辺はまたいつかお話しますが、薬剤耐性(AMR)というんですね。
 これは大変な問題なので、「抗生剤を風邪につかってはいけません」。

 抗生剤の乱用の問題や、ウイルスには効かないよ、という話については以下がとってもよいです。

 ●AMR臨床リファレンスセンターのホームページ(http://amr.ncgm.go.jp/)
 ●FNN PRIME ブログにもよい記事があります
  「4割が勘違い「抗生物質は風邪に効く」…危険な副作用に注意



ウイルスの発見


 さて、戻ります戻ります。大回りしました。どこまでいったかというと、ウイルスって情報と形だけあるようなものなんだよなぁ、というところ。

 ウイルスについてちょっと見つかった経緯を書きます。

 ウイルスはとても小さいのでした。細菌よりずっと。細菌は光学顕微鏡で見えますので、顕微鏡が発明されたのち、多くの感染症で見つかりました。

 これは1674年にレーウェンフックという人が見つけたのですね。そして、1860年にはパスツールという人が細菌のはたらきの研究をし、1876年にはコッホが病原体としての細菌の意義を明らかにしています。
 
 そしてたくさん研究がされて、感染症の多くはまずは細菌でおこっているんだ!ということが明らかになったのです。これは顕微鏡を使っているんですね。

 ところが1892年になるとイワノフスキーという人が、顕微鏡では見えないうえに、濾過器という焼き物のフィルターを通して細菌を除いた後の液をつかっても、タバコモザイク病という病気が植物から植物へうつることを見つけたのです。

 つまり、細菌よりずっと小さい何か、が感染症の原因になっているのではないか、と考えられたんですね。さらに1898年には口蹄疫についても同様に、濾過器を通しても感染性があることがわかり、filterable virus」(濾過性病原体)と名付けられました

 ベイリングという研究者は「Contagium vivum fluidum」(生命を持つ感染性のある液体)と名付けています。

 この、濾過性病原体は、より小さな細菌という説と、分子であるという説がありましたが、1935年にスタンリーがタバコモザイクウイルスを結晶化し、電子顕微鏡で観察することに成功しました。これはノーベル賞(1946)につながります。

 始めはこの結晶はタンパク質だけでできていると考えられていましたが、翌年1936年には、RNAも含まれていることも分かりました。ただ、このころはまだ遺伝子がRNAにあることはわかっていなかったんですね。

 1952年になって、ファージというウイルスの一種ではDNAが遺伝をつかさどることがわかり、そして、ウイルスへの理解と同時にDNAが遺伝物質であることがわかったのです。

 こういう経緯で、ウイルスは発見され、そして少しずつ理解されたのですね。ですから細菌とは全く違うのです。

 さて、ではもう一度ウイルスの特徴を復習します。

  1. 細胞はない。核酸(DNAまたはRNA)を遺伝情報として入れた形をもつ。
  2. 自分自身では増殖できない。細胞を利用する。
  3. エネルギー変換をすることはできない。

 こういった特徴があるのでした。これ以外にも遺伝の保持の仕方や増殖の仕方などで。生物との違いもありますが、割愛します。


ウイルスの分類


 さて、ウイルスについては構造や仕組みなど説明すべきことはたくさんあるのですが、今回はたくさん触れるのはあれなので、ウイルスの分類や実際にあるウイルスってどんなものなのかだけをラフに見ていきたいと思います。

 ウイルスを分類している国際組織が実はあります。International Committee on Taxonomy of Viruses (ICTV) というところで、日本語では「国際ウイルス分類委員会」というのです(https://talk.ictvonline.org/)

 このICTV のサイトに、ほぼすべての既知のウイルスの学名のリストと分類(https://talk.ictvonline.org/taxonomy/)が公開されています。
 (Excelリストもあります https://talk.ictvonline.org/files/master-species-lists/)

 うーん!複雑かつ細かく、膨大…これは理解が難しい…。となりますが、実はこれはきれいに群と階層で分けていて、かつ、そのもとになった考え方というか分類があるのです。

 それを、ボルチモア分類といいます。

 ウイルスは遺伝情報をDNAまたはRNAに書き込んで持っているのでした。

 ボルチモア分類というのは、この遺伝子情報を保持している核酸(DNAまたはRNA)の種類と、その鎖が1本であるか2本であるか、さらに、遺伝子の書き込まれている方向がどっちの方向であるか、で分類するのです。

 具体的には、①2本鎖DNA、②1本鎖DNA、③2本鎖RNA、④1本鎖RNA +鎖、⑤1本鎖RNA -鎖、⑥1本鎖RNA逆転写、⑦2本鎖DNA逆転写 でわけるんです




 このように分けて考え、分けたのちに、似たものをまとめて生物のものと似た学名を付けています。すなわち、目 (order; -virales)>科 (family; -viridae)>亜科 (subfamily; -virinae)>属 (genus; -virus)>種 (species) という階層にしているのですね。




 ちょっとだけ具体例を表にだします。下の図です。

 ds (= double strand = 2本鎖) DNA 中にはヘルペスウイルスやパピローマウイルスがありますね(一番左)。パピローマウイルスは子宮頸癌の原因になります。二本鎖DNAを遺伝情報に持っているのですね。



 ss(=single strand=一本鎖)RNAウイルスで遺伝情報が書き込まれている方向が(-)には Orthomyxoviridae = オルトミクソウイルス科というのがありますね。これはインフルエンザウイルスがここに含まれています。

 あ、脱線しますが、「インフルエンザ菌」(Haemophilus influenzae)という「細菌」もいるので注意です。これはインフルエンザの患者から見つかった菌ですが、インフルエンザを起こすのではありません。名前だけが残ってしまったのでややこしいですが。今は触れませんが、インフルエンザウイルスとは全く違うので注意です。

 さて、戻りますね。ウイルスの分類については、まぁこんな感じなんですが、…とにかく細かすぎる!難しすぎる!そうですね。この用語・分類の最新バージョンは論文で読めますので、興味のある方だけ踏み込んでもらいましょう!


 さて、なんとなく、わかっていただければいいのです。ウイルスは「細胞にあるような種々の機能は持っていない」のですが、「遺伝情報は核酸(DNAまたはRNA)に保持しています」。その「核酸の種類で分類」し、「そののちにさらに細かく分けている」、そういうことなんですね。


 ウイルスはいろいろな核酸の持ち方をしているのですが、細胞を乗っ取った後には、そこからメッセンジャーRNA (mRNA) というものを写し取って(一部はそのままmRNAとして機能して)、タンパク質を作り出します。





 そして、そのタンパク質をつかって、さまざまな機能を発揮するのです。

 細胞を乗っ取るのも実はそうですし、自分たちを増やしたり、自分たちを潜ませたり、細胞を黙らせたりいろいろです。(実際にはタンパク質だけではなく miRNA なども使いますので単純ではありません)

 さて、今日は導入の概要だけでおわります。ウイルスの概要でしたね。



今日のまとめ

 
 今日の話をまとめます。「生物の最小単位は細胞」と言っていいのでした。細菌も細胞からなり、自分で増えて自分で代謝をします。一方、ウイルスは細胞よりはるかに小さく、そういった機能を欠いているところがほとんどで、生物といっていいのかわかりません。

 細菌の細胞の装置に対して用いる薬が「抗生物質」でした。細胞だから効くのですね。ウイルスには細胞がありませんので、抗生物質は効かないのでした。

 ウイルスの分類はどうやって行うのか、というと、ウイルスの遺伝情報が書き込まれている核酸(DNAまたはRNA)の種類によってまずわけるのでした。これがウイルスの分類の基本でした。

 というわけで、今回はあくまでも導入でしたが、少しずつまたウイルスについてもお話をしていきたいと思います。







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