ハゲタカジャーナルへ(悪徳雑誌)の投稿を控えるよう日本医学会が注意喚起
以前からこのブログでも「ハゲタカジャーナル」について紹介してきました。
▶ 粗悪・悪意のある学術雑誌の弊害 - Beall's List のこと
▶ 粗悪学術誌(ハゲタカジャーナル) に掲載して博士号取得した例がかなりありそうとの調査
ハゲタカジャーナルは、粗悪学術誌のことで、法外なお金を取るだけでなく、その査読などもいい加減で、学術的にも問題が非常に大きい雑誌のことです。
上の記事でかいた Beall リスト にはそういった雑誌がリストされています。
この問題に関して動きがあり、本日、毎日新聞に記事が出ていました。
▶ 「ハゲタカジャーナル」投稿控えて 日本医学会、加盟129学会に注意喚起
記事によると、
日本医学会が、所属する医師や研究者にハゲタカ誌への論文投稿を控えるよう注意喚起した。
とのこと。日本医学会のホームページに掲載されたPDF 原本はこれ ▶ PDF です。
この毎日新聞の記事にあるように
8日付で注意喚起の文書を学会のホームページに掲載した。ハゲタカ誌を「悪徳雑誌」と表現し、「著者から徴収する掲載料収入のみを目的とし、論文の質の管理が粗雑」と批判
しているんですね。医学会のこの委員会では、ハゲタカジャーナルを、悪徳雑誌(predatory journal)と表現しているのですね。
これら悪徳雑誌による悪影響は、毎日の記事にあるように、
想定より高額な掲載料を請求される▽論文掲載で著者や所属機関が否定的な印象を持たれる▽怪しい雑誌と気付いても論文を取り下げられない
などであり、科学の発展や理解にも非常に悪い影響を与えることにつながります。
この学会からの原文には、
「ホワイトリスト」と呼ばれる健全な学術誌をまとめた海外のサイトも紹介しているので、このブログ記事の最後にも載せたいと思います。
悪徳雑誌に投稿しないことは科学者の責務
科学者が注意しなくてはならないことは潜在的にも多く、実際どんどん増えています。倫理的なこと、法的なことはもちろん普段の活動すべてにリスクがあります。
なかでも業績として発信する出版に関することは社会との大きな接点でありよくよく考え注意して行わなければなりませんね。
科学者の責任は増大しており、かつ、研究室主催者にはその責務がのしかかります。医学会からの原文にも、
研究室の主宰者などの指導者も、悪徳雑誌の存在などの情報を得て、責任を持って後進の指導に当たるべきです
としており、悪徳雑誌についてはもう常識として、指導をしていかなければならない、新たな項目になっていると言ってよいでしょうね。
読み手も注意をして、上記の記事にも挙げた Beall リストなどをチェックして論文を世読むようにしたいところです。
論文投稿前のチェックのためのホワイトリスト Think. Check. Submit. - ハゲタカジャーナルの見分け方
このPDFにはThink. Check. Submit. (日本語版) を元にした最後に投稿のチェックをするための注意も載っています。書き写します。
(1) あなたや同僚はそのジャーナルについて、
掲載論文を以前に読んだことがあり、
最新論文を容易に見つけることができますか。
(2) 出版社名が明記され、メール、電話、郵便で連絡が取れますか。
(3) そのジャーナルはどのような査読を行うか明白ですか。
(4) そのジャーナルで掲載されるための料金の内容と、
どの段階で請求されるかについて説明 されていますか。
(5) そのジャーナルには編集委員会は設置されていますか。
あなたは編集委員について知っ ており、
編集委員は自身のサイトでそのジャーナルについて触れていますか。
(6) その出版社は学術出版業界で認められている以下の団体に加盟していますか。
・Committee for Publication Ethics (COPE)
・Open Access Scholarly Publishers Association (OASPA)
(7) そのジャーナルは以下のデータベースに収録されていますか。
・MEDLINE
・WHO Global Index Medicus (GIM)
・Web of Science
・Scopus
(8) そのジャーナルは以下のリストに登録されていますか。
・Directory of Open Access Journals (DOAJ)
とくにDOAJのリストはチェックしておきたいところ。いわゆるホワイトリストであり、ここに登録されていればとりあえずは安心です。
また、ハゲタカジャーナルからの査読依頼はしっかり断った方がいいですね。加担してしまうことになりますからね。
投稿雑誌にも十分に気を付けねばなりませんね。
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