2019年2月28日木曜日

集団免疫をビジュアルで見せてくれるサイト

 集団免疫 (Herd Immunity) という概念があります。
 これは、個々人をワクチンで守るだけでなく、集団がワクチンを受けていることで、集団全体を守るというもの。

 とくに、ワクチンを医学的な理由で打つことができない場合(免疫の異常や、新生児など)そういった人を守ることにもなります。


ビジュアルにみられる集団免疫のシミュレーション


 そんな集団免疫の効果を図で見せてくれるサイトがありますので紹介します。



 まずは、Watch how the measles outbreak spreads when kids get vaccinated – and when they don't
 麻疹のワクチン接種率別の広がり具合のシミュレーションを図で見せてくれます。


 もう一つは、How Herd Immunity Works
 これも同様にワクチン接種率ごとの感染症の広がりのシミュレーションを見せてくれます。

 そしてまたここ、the FRED Measles Epidemic Simulator
 アメリカにはなりますが、ワクチン接種率をいれると州の年ごとの麻疹の広がりのシミュレーションを見ることができるのですね。

 ちょっと集団免疫について考えてみるのにいかがでしょう。
 ビジュアルでなんとなくまずわかってもらえるとありがたいですね。


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2019年2月27日水曜日

ブログてこ入れを計画だけする


Fig.1 今朝のベセスダの空


 ブログを始めたのは、もちろん情報発信も目的ですが、副収入についても勉強したいという気持ちもあったのです。
 それがすっかり収益ない、収益度外視の日記・面白ブログに…。

 外科医で有名なブロガーのけいゆう先生が面白い note を書いていらっしゃいました。
▶ 医療者向けブログ戦略、必ず知っておくべき基礎知識
 勉強になります…。ちょっと方向性は違うものの、いわゆる本格的なブログの戦略ですね。サブブログで取り入れていきたいと思います。

 このブログ自体はあまりスタイルを変えるつもりはないのです…。自由な実験場で。ただし、日記以外の後で役に立つ、検索に引っ掛かる記事は増やしてみたいと思います。

 というわけで、他の副ブログも含め、収益化もまた検討しようと思い立ちました。が、今は怪我をしていてタイピングも一苦労なので、また近々。

 
 さて、今日はセミナーデー。お友達の発表でした。
 私もそのうち当たるだろうからデータ集めないとなぁ…。

 さて、午後の部です。

 
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2019年2月26日火曜日

HPVV で子宮頸癌を撲滅状態にできるという予測の論文が出ました。

 ヒトパピローマウイルスワクチン(HPVV) は子宮頸癌をひきおこす HPV に対するワクチンです。


新しい論文がでていました



 The Lancet Oncology に、HPVV の接種率を上げ、検診をしっかり行うことで、2059年までに高所得国(人間開発指数が高い国)において子宮頸癌は事実上の撲滅状態にできるであろうという予測を示す研究が報告されました。

Fig.1 新しい論文

 ▶ Impact of scaled up human papillomavirus vaccination and cervical screening and the potential for global elimination of cervical cancer in 181 countries, 2020–99: a modelling study DOI: https://doi.org/10.1016/S1470-2045(18)30836-2


これについてはAFP のみが日本語で報じています。
 ▶ 子宮頸がん、検診とワクチン接種急拡大なら事実上撲滅できる可能性も 論文

AFPの記事によると、

2020年までに12~15歳の女子のHPVワクチン接種率が80%以上に上がり、さらに少なくとも70%の女性が生涯に2度子宮頸がん検診を受けるようになるとすれば、今後50年間で1300万人程度が子宮頸がんになるのを予防できる

1300万人というのはすごい数ですね。全世界でこれだけ防げればすごいことです。
 しかし残念なことに、日本は現在HPVVの接種率は近似すると 0% といっても良い状況…。これでは撲滅できません。

 2,900 ~ 3,000 人が子宮頸癌で毎年日本ではなくなっています。



子宮頸癌検診を自己診断ではどうか、という研究も



 同じ雑誌にこんな論文も出ています。

 ▶ Performance of human papillomavirus testing on self-collected versus clinician-collected samples for the detection of cervical intraepithelial neoplasia of grade 2 or worse: a randomised, paired screen-positive, non-inferiority trial
 The Lancet Oncology Volume 20, Issue 2, February 2019, Pages 229-238

これは、女性が自分で採取して送るタイプの自己検診型HPVと、医師によって検査されるHPV検査において、CIN2以上という前癌病変、子宮頸癌の検査の結果を比較したものですが、自己採取でもしっかりと検査できました、という解釈ができる結果です。

 自分の家で自己採取して検査することも今後考えられるかもしれませんね、ということになりますね。

 こういうサービスはすでに日本でもあり、以下のようなものもあります (これは広告リンクになっていますが、医学的に上記論文と関連させたり、または使用することを推奨しているわけではありません。リンクがアフィリエイトになっています。アフィリエイトサービスから見つけました)。


 この他にもたくさん同様のタイプの郵送型のものが、検査会社によって提供されています。たとえば、Amazon にもありますね。本当にいろいろあります。


 しかしながら、検診は決められた頻度でしっかり産婦人科医に見てもらう方がよいというのが基本的な考え方です。今後、精度管理や効果が日本でも実証されてくると、広く取り入れられてくる可能性はありますね。

 特に羞恥心の問題で受診を避けておられる方のためのサービスとして、または発展途上国などの資源の問題がある場合には有用であるかもしれません。

 今、新たなテクノロジーでの検診も考えられ始めています。
 いろいろ変わってくる可能性はありますが、ワクチンは打ってしっかり防ぐことが大切ですね。

 今後も HPVV について少しずつ紹介していきたいと思います。

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2019年2月25日月曜日

のんびり休日出勤

 今日は日曜日、のんびり休日出勤して仕事をしています。
 実験をタイムコースで行い、その合間に読書。

 以前に紹介した NIH の中にある教育施設である FAES で英会話のレッスンを受けています。 FAES の紹介記事はこちら▶ 【NIH紹介】NIHキャンパスにあるFAESについて
 (ちなみにここに大学院もあり、私も組織学と病理学を教えています)


Fig.1 課題図書

 英会話のテーマに使われているのが、Better: A Surgeon's Notes on Performance という本です。日本語訳は 医師は最善を尽くしているか という本。

 著者はインド系アメリカ人で、ハーバードの教授であり、外科医であり、作家であり…とスーパーマンです。
 一回に一章か二章をよみディスカッションをするコースなのです。

 さて、この本の第二章 "The Mop-Up" はワクチン普及活動についての章です。インドでのポリオワクチンの普及をさせる活動についての困難な事例の記載。
 ワクチンを普及させるのはとても大変であることがわかります。
 
 この章を読むにあたって、事前討論として npr のリスニング教材をクラスのみんなで聴きました。アメリカの十代の少年が、両親の反ワクチンドグマ思想に反して、ワクチンを打ってもらいたい、というもの。

 その後ワクチンを打てることになったようです。
 ▶ npr Defying Parents, A Teen Decides To Get Vaccinated

 なんだか普段の活動とお勉強の内容がリンクしていて熱がこもります…。


 さて、今日は天気はまぁまぁの曇り空。昨日は小雨。
 さえませんが、仕事は淡々と。書かねばならないものも多いので、ブログをやっている場合ではないとも思いますが、メール返信などを頑張っています。
 
 左手を怪我してから、タイピングが遅くなってしまい、なかなか思うように進まない…くううう。というわけで、今日は痛み止めも買い足しに行かないといけないなぁ…。

 
Fig.2 今の NIH。ちょっと雲がでています。

 たんたんと進めます。いろいろなことすべて。

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2019年2月24日日曜日

金曜会に参加、雨の土曜日は休日仕事

 昨日は NIH の日本人の研究者の集まりである NIH 金曜会に参加してきました。
 いつもとはちょっと毛色の違うお話が聞けてとても楽しかった。
 そして懇親会もとても楽しかったです。

 さて、本日は休日ですがお仕事。
 雨降るベセスダです。


Fig.1 Building 10 病院側

 今日はどんよりーな気分ですが、細胞は元気。
 がんがん実験を進めます、が、手がまだ痛い…。

 最近はインスタグラム投稿などにちょっと時間をかけすぎていて、本業以外のものが滞っています…メールの返信も溜めてしまっています…よろしくない。
 かつ、ブログも更新頻度がおち、アクセス数も落ちております。

 なにかブログ関係にもてこ入れしたいですが、まずは怪我を直し、体調を整え、本業をすすめ、かつ、他の仕事をしっかり軌道に乗せねばなりません。

 天気はさえませんがだんだん春に向かっている気配です。
 あと3日で、渡米1年。早いなーと思いつつ、いろいろ考えます。

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2019年2月23日土曜日

【情報】日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」

 ワクチンに関するよい情報源を一つ紹介しておきたいと思います。




 ▶ 日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」


 日本版 Vaccine information statement(VIS)とうたわれている資料で、日本小児科学会が出しています。

 総論として予防接種の意義や副反応、就学前や海外へ行く前のワクチンについてなどがあり、各論としてそれぞれのワクチンの解説もあります。

 非常にわかりやすく、読みやすくまとまっており、ぜひ一度ご覧いただきたいと思います。おすすめです。


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2019年2月22日金曜日

実験合間のインスタグラム作業

 実験を淡々としています。
 昨日は大雪でお休みになってしまいましたので、ちょっとスケジュールがおせおせ。

 まぁ時間に制限のゆるい実験しかしていなかったのでちょうどよかった。
 今日は温かく既に雪は溶けはじめています。

 さて、インスタグラムに投稿するのが日課になりましたが、画像をつくらないと投稿できないので、実験の合間にちょこちょこ作ります。実験のまとめと同じくパワーポイントでつくるので慣れてはいますが、どんなものを作るか試行錯誤。

 ポスバクの同僚が、もうちょっとインパクトのある写真とかないの?などとアドヴァイスをくれました。笑。

 さて、ここのところ火曜日と木曜日は英会話のレッスンに行っています。
 今日の課題は、なんと「反ワクチンの親に対して物申すティーンエージャー」の話。

 Unvaccinated teens are fact-checking their parents — and trying to get shots on their own

 なかなか考えさせられる話題です…。

 さて、昼ご飯がてら、すこしブックショップへ行ってみました。
 専門書のそろいはあまりよくないんですよね…ちょっと久々に日本にかえって本をじっくり買って回りたい…やはり日本の大型書店の魅力は忘れがたい…。

 
Fig.1 NIH ビル内のブックショップ

 さて、もうすぐ NIH に来て一年です。すっかりなじみましたが、早いなぁ…。たくさんの仲間もここ数カ月で帰国してしまいます。寂しいなぁ…。

 いろいろ思う冬なのです。が、春はすぐそこ。もうすぐ桜のシーズンですね。
 そこは楽しみ楽しみ。


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2019年2月21日木曜日

麻疹はマイルドなどという蒙昧と、インフルエンザには紅茶などという無知

 ここのところ ツイッターには例によって例のごとく医療関連で馬鹿な、無知蒙昧なことを言う人がまた次々と湧いています。
 もう本当につぎつぎでどうしようもないのですね。



麻疹はマイルドな疾患などという妄言



 発信者は有名な「反ワクチン」のデマばかりのアカウントなのですが、曰く

マイルドな小児疾患である麻疹について、大騒ぎする医者…

云々などとのこと。これは論外なので無視していいのですが、ちょっと麻疹について知ったほうが良いのは事実です。

 感染症で防げる疾患のことを Vaccine preventable diseases; VPD と言います。
 麻疹(ましん、はしか、measles) は VPD の代表的な疾患であり、ワクチンで防ぐことができるんですね。

Fig.1 インスタにも投稿しました  


 そもそも麻疹とはなにか。これについては国立感染症研究所のページがとても詳しいので興味がある方は見ていただきたいです。▶ 国立感染症研究所のページ

 簡単にまとめると、麻疹は麻疹ウイルスが引き起こす感染症で、空気感染をおこしその感染力は極めて強力で、インフルエンザの数倍以上になります。

 症状としては、10~12日間の潜伏期ののちに、カタル期といって風邪にような症状、皮膚に発疹のでる時期(3~5日間)をへることが多いです。

 麻疹においては、免疫の機能をもつリンパ組織で増殖するため、免疫機能抑制状態をまねき、麻疹ウイルス以外に合併した別の細菌やウイルス等による感染症が重症化することがあり、問題となるのです。

 麻疹は発症するとたとえ栄養状態や医療がよい先進国でも1000人に1人が死に至る疾患であり、麻疹肺炎と麻疹脳炎が2大死亡原因となる。さらに、死亡することだけではなく、罹患後平均7年の期間を経て発症する亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis; SSPE)という重篤な合併症もあります。


 日本では、2000年前後の流行においても年間約20~30人が死亡していました。世界での2015年の5歳以下の小児の死亡数推計では、麻疹による死亡は全体の 1.2% に及びます。

 先に述べたように麻疹は VPD ですが特効薬などはなく、有効な予防法はワクチン接種だけです。2回のワクチン接種で麻疹の発症のリスクを最小限に抑えることが期待できるんですね。

 もし今、ワクチンをだれも打たない状況になってしまえば、麻疹の猛烈な感染力で大流行が起こることが考えられ、今の日本の人口と人の行き来を考えると1000万人とか感染するようなことも普通に考えられます。それだけで1万人は死んでしまいますね。そのぐらい、ワクチンって重要なのです。

 麻疹は、かつて平安時代ぐらいに文献に出てくる「あかもがさ」のことと思われ、長徳元年には平安京も含む大流行で政治もめちゃめちゃになっているのですね。

 江戸時代には麻疹・天然痘・水痘は「御役三病」で、特に麻疹は「命定め」と恐れられていました。江戸時代には記録上13回大流行して、文久2年(1862年)には24万人が死んでいます。24万人!

 1862年の日本の人口が約3300万人と推定されているので、全人口の 0.7%が死んでいることになりますね…。時代は戻りますが、有名どころでは徳川綱吉も麻疹で死んでいますね。

 とにかく麻疹はマイルドなんてもんじゃないんです。ワクチンが普及して、ようやく麻疹で死ぬという常識をなくし始めたら、またぞろわいてくる頭の弱い人がいるから困っちゃうよねぇ…という次第。

 今、日本では麻疹の感染が広がっています。
 読売新聞のニュース ▶ はしか患者、今年に入り167人…三重・大阪で流行
 
 そしてフィリピンでも大流行が起こっています。
 毎日新聞のニュース ▶ フィリピンではしか猛威 136人死亡、拡大懸念

 8400人の感染が確認され、136人の死亡です。致死率が高いですね。
 
 WIRED によい解説記事が出ていました。
 ▶ なぜ、はしかは危険なのか? その圧倒的な感染力と、人体への脅威となるメカニズム


 そして、日刊SPA! が踏み込んだ記事を書いています。
 ▶ はしかが関西から大流行、実は世界でも…。“反ワクチン運動”が影響か?

 現在、麻疹はアメリカでも流行しているのですが、本記事では、

米国でもワシントン州が非常事態宣言を出すなど感染拡大が報じられているが、この世界的パンデミックは、“反ワクチン運動”なるムーブメントが少なからず影響しているようなのだ。

としっかり書いています。また日本の政策についても、

日本でも、片山さつき地方創生担当相が子宮頸がんワクチンに反対するなど同調する動きも出てきている……

と、日野市の議員を応援し、「反ワクチン」の姿勢を示す政治家の存在も名指しで指摘しています。これは踏み込んだ記事になっていますが、実際にワクチンの問題はこういった面があるんですね。

 とにもかくにも、麻疹は VPD ですワクチンを打って防ぐことが重要なのですね。




立憲民主党の候補者「インフルエンザウイルスの無毒化は、紅茶が、一番です。」



 ツイッターで、あさぬま和子さんという立憲民主党の時期候補者が上記発言をしています。三井農林のリンクまで貼って…ひどいステルスマーケティングもここまで来たか…と失笑しています。

 私のブログの記事を再度リンクしておきます。
 ▶ 紅茶でインフルエンザの感染や感染拡大を防げるとのプロモーションについて
 ▶ 紅茶会社が逃げを打ち出す

 この件については一言です。「いい加減に馬鹿なことをいいなさんな」と。
 リテラシーがこのレベルの人が議員を目指すのは国にとってよろしくない。真剣にそう思います。もうどうしようもないですね。立憲民主党も。


 さて、そんなおバカばかり見つかるツイッターですが、淡々と反ワクチンのデマをつぶすことをしております。インスタグラムでも引き続きやっております。
 フォロワー数などはあまり増えず、人気も出ませんが、重要な任務と考えてぼちぼちやっております。


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2019年2月20日水曜日

【論文紹介】SOX-11陰性 マントル細胞リンパ腫75例の臨床病理学的検討 / AJSP

 マントル細胞リンパ腫に関する新しい論文が AJSP に出ていたので紹介いたします。

 マントル細胞リンパ腫 (MCL)は、B細胞性リンパ腫で、indolent と aggressive の中間程度の悪性を示すことが知られており、形態学的には小~中程度の大きさの均質な細胞の単調または軽度に結節を形成するような増殖をしめし、免疫組織化学的には CD5(+)、CyclinD1(+)が典型的であるが、近年みつかった SOX-11(+)のことが多いのも特徴です。
 臨床的には比較的白血化を引き起こしやすいことも知られています。

 最近までの研究においては MCL のうち、SOX-11 を発現していることが予後度影響するかどうか、はっきりせず論点となっていました。
 今回のこの論文では75冷のSOX-11陰性 MCL との比較によりその臨床病理学的特徴を解析しています。

 それでは論文詳細です。 



● SOX11-negative Mantle Cell Lymphoma Clinicopathologic and Prognostic Features of 75 Patients
 The American Journal of Surgical Pathology: February 12, 2019
 Publish Ahead of Print
 Xu J, Wang L, Li J, Saksena A, Wang SA, Shen J, Hu Z, Lin P, Tang G, Yin CC, Wang M, Medeiros LJ, Li S.

【概要】
 SOX-11陰性MCL75例を検討した。
 SOX-11陽性MCLと比較し、
  より白血化が多かった(21% vs. 4%, P=0.0001)
  より典型的な形態を呈した(83% vs. 65%, P=0.005)
  よりCD23陽性の割合が高かった(39% vs. 22%, P=0.02)
  よりCD200陽性の割合が高かった(60% vs. 9%, P=0.0001)
  よりKi67陽性率が低かった(23% vs. 33%, P=0.04)
  Overall Survival に有意な差はなかった(P=0.63)
  一方、高いKi67陽性率と blastoid/pleomorphic
   morphology は SOX-11陰性陽性にかかわらず
  より短い Overall Survival と関連していた。
  MCL の予後予測スコア(MIPI)でが高い場合、
   SOX-11陰性の場合には有意に予後が悪く(P<0.05)、
   陽性の場合には有意ではなかった(P=0.09)。
  リンパ節病変ありまたは stage III/IV の場合には、
   SOX-11陰性の場合には予後は有意に悪くはないが、
   SOX-11陽性の場合には予後不良であった。
  まとめると、SOX-11陰性MCL はより白血化の頻度が高く
   典型的な形態CD23・CD200の発現率が高く
   Ki67陽性率が低い
   SOX-11陰性MCL の予後因子は、形態、Ki67陽性率、
   MIPIである
【症例の選択】
  テキサス大学アンダーソンがんセンターの
  2004/1/1-2016/12/31 の MCL症例。
  2016年 WHO classification に基づく分類。
  IHCでCyclinD1(+)またはt(11;14)(q13;q32)
   またはCCND1-IGH で診断を確定。
【結果の概要】
  SOX-11陰性 MCL 75例、SOX-11陽性 MCL 146例。

    
【病理学的解析】
 形態と免疫染色については Table 2 としてまとまっています。

【臨床的アウトカム】
  略:(概要に示したものが代表)
【結論】
 SOX-11陰性 MCL 75例、SOX-11陽性 MCL 146例の検討で、
 SOX-11陰性 MCL はより白血化の頻度が高く、
 典型的形態で、CD23・CD200発現率が高くKi67陽性率が低い。
 SOX-11陰性 MCL の予後因子は、形態、Ki67陽性率、
 MIPIであることがわかった。
  


 MCL は indolent lymphoma と aggressive lymphoma の中間的な場合もおおい B細胞性リンパ腫であり、診断は比較的容易であることもあるものの、時に困難で SOX-11 は有用なマーカーとして報告されました。

 リンパ腫の診断チャートは参考に ▶ 峰式 リンパ腫の病理診断フローチャート

 しかし、SOX-11 陰性 MCL もあるということがまず話題となり、SOX-11 の発現の有無でのふるまいについては議論が分かれているところでした。
 今回紹介した論文では、SOX-11 陰性 MCL では白血化の頻度が高いことや、MIPI を用いて不良予後の予測ができそうであることなどが分かりました。
 
 MCL についてはさらに詳細な生物学的な検討がなされそうに思います。

● 関連記事
 ▶ 【血液病理】DLBCL の Hans の基準
 ▶ 峰式 リンパ腫の病理診断フローチャート
 ▶ 【書籍紹介】レベルアップのためのリンパ腫セミナー
 ▶ 【書籍紹介】若手医師のためのリンパ腫セミナー
 ▶ 【書籍紹介】見逃してはならない血液疾患 病理からみた44症例




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2019年2月19日火曜日

三連休の最終日は休日出勤。

 今日は President day というアメリカの休日でお休みです。
 お天気は良好、昨日の寒さとはうってかわり、少し暖かめ。

 
Fig.1 本日の NIH

 本日は出勤して少し実験、書類書きをしつつ、英語レッスンの課題図書読みと、インスタグラム投稿をしています。
 
 インスタグラムに正しい医療情報を流す地ならしとして、まずは自己紹介とデマへの反論、そしてタグの乗っ取りをしています。

 淡々と進めないといけませんね。すでに 50 投稿になりましたし、フォロワーさんも 1,400 人弱。影響力は微力ですが、やっていきたいと思います。


 さて、なんだかやることたくさんなのですが、今日はあまり進みません。よろしくないなぁ…いろいろトラブルも重なりました。ここのところ。
 手の怪我、クレジットカードの不正利用被害、ダブルブッキング、実験失敗、約束忘れなどなど…ちょっと疲れているかな。

 しかもメールなどの返信が滞っていて申し訳ない気持ちでいっぱい、書かねばならないものも進んでいなくて大変申し訳ない。

 ブログ書いている場合じゃないだろ!と思うのですが、隙間時間が本当に隙間化してしまって苦しんでいます。
 ゆっくりまとめて時間がとりたいですね。

 今日は良い天気でもあり、早めに帰ろうとは思います。

 
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2019年2月18日月曜日

Instagram 経由でアクセス増える。反ワクチンさんに宣伝される。

 Instagram で反ワクチンさんへの反論もしつつ、情報提供の投稿をしています。
 情報提供パートも重要ですが、反論も重要。

 昨日は有名「デマ」アカウントたちから名指しで紹介したり非難していただいたおかげで、ブログのアクセスがグーンと伸びました。ありがたやありがたや。

 彼ら曰く「エビデンス、エビデンスと洗脳された」「留学医師」が「デマデマばかり」言っているのだそうです。しかも「英語での情報をとれないから」とか。

 はぁ?

 私、ファクトに基づく反駁可能性を残した議論を行い、その際にはベスト・エビデンスをできるだけ提示することが重要ですし、資料は広く当たりましょうといって英語のものを勧め、自分も英語文献ばかり処理しています…なにを言ってるの。180度逆ね。

 そして、留学医師っていったって、こっちでやっていくつもりのフェローですし、攻め方が稚拙。人格攻撃や背景攻撃ぐらいしかやることなくなりつつあるのでしょうね。

 ついでに「英国ロイヤルファミリーはワクチンしてない」などという妄想を言い出す始末。そこで Instagram に反論しました。


Fig.1 ニュースぐらい英語で読もうね

 エリザベス2世といえば!いえば!トニー・ブレアの腰抜けとはちがい、あ、言い過ぎ、自分のお子さんにワクチンを打ったことを公表して、ポリオワクチンの安全性の周知と普及を図った、ワクチン界のヒロイン(実際女王)じゃぁありませんか!

 それにですね、セレブは自分たちにワクチンしていないなどとも言っていますが、ビル・ゲイツは奥さんのメリンダさんと一緒に財団をつくり、世界で一番ワクチン開発にお金を出しており、公式サイトでもワクチンをすすめ、奥さんもワクチンの重要性のスピーチをしています。

 ばりばりのワクチン推進派。

 Facebook 創業者のザッカーバーグは奥さんのプリシラ博士は小児科医で慈善活動家でもあり夫婦でワクチンを進める慈善活動をするのみならず、「反ワクチン」をよくないものと何度も言っています。
 
 ばりばりのワクチン推進派。


こういった、有名どころへの権威?をつかったデマ、「本当は有名人や医師はワクチンを自分の家族には打っていない」とする嘘は、反ワクチンの悪意のこもった嘘なんですけれど、実際は逆なんですよね。

 ワクチン講座というものを開いていたある医師は息子さんにワクチンを打っていました(さらに息子さんは医学部生らしくこれはワクチンを打たないと実習できないので免許がとれないのですね)。

 また、海外でのビジネス展開をされているワクチンは不要だという本をかいたお医者さんは、家族の渡米ビザを取っていますが、これには指定のワクチンをすべて打っていることが必要なんです。

 え…?そう、ワクチンを打たないほうがよい、打ってはいけない!といっている医師に限って、自分の家族はワクチンで守っているんですね。

 全く逆でした。デマの逆でした。悲しいですね。

 簡単なんです、ワクチンを打たせなければ収入が増えるビジネスモデル、デマを言い続けることで得られる承認欲求と存在意義など彼らが得をするために、ワクチンを否定してるんです。

 迷惑な自己実現などなんですね。

 影響されたみなさんのことなんてどうでもいいんです。なぜなら、だまされたばかは養分だからですね。

 そしてデマだといわれると、人格攻撃や悪口を言い続けたり、背景攻撃をします。

 まずしっかり事実を見ていきましょう。


 さて、あまり反論に時間を取られても面白くありません。
 やさしく不安によりそう、ときにセンセーショナルに感情に訴える投稿で Instagram でやっていきたいと思います。というのは BuzzFeed にいい記事が出たんです。

 ▶ HPVワクチン賛成派は反対派に伝え方で負けている 「大砲に刀で戦っているようなもの」

ここで指摘されていることは、
「根拠の乏しいことを主張している人は感情に訴える内容を読みやすく発信しており、彼らの方が上手で強力です。賛成派は、情報の公正さを守りながらも、体験談などを盛り込んで説得力のある内容を、読みやすく発信する工夫が必要です」
ということですね。これは考えねばならないと思っていたことでもあるので、Instagram および他の SNS でも取り入れていきます。
 ただ、このブログは読者のレベルが高いと思っていますので、データ重視や論理重視、あとはお茶目重視でいきたいと思います。

 まぁ本当はこのブログは副収入源にしたくて始めた日記だったんですけどね…。


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