若手病理医、病理専門医試験の勉強などにもおすすめできる一冊です。将来血液病理診断をやりたい人はぜひ手に取っていただきたい。
【書名】若手医師のためのリンパ腫セミナー ― エキスパートによる講義録
【編集】日本リンパ網内系学会
【出版社】南江堂
【リンク】▶ Amazon.co.jp
内容紹介より
日本リンパ網内系学会で若手医師を対象に開催されているセミナーをまとめた,臨場感あふれる一冊.まるで講義に参加しているような感覚で,リンパ腫に関する概要や病理診断,治療法の実際が手にとるようにわかる.「ワンポイントレクチャー」や「レベルアップのために」のほか,復習や力試しができるQ&Aも掲載.研修医,若手血液内科医,病理医の必携書.
とにかく初心者におすすめの一冊
リンパ腫の診断は病理診断の中でもやや特殊で専門性が高いように思います。形態はもちろんのことながら、免疫染色を駆使し、病型についてもその特徴を知っておく必要があります。
とっつきにくい分野であることは確かなのですが、しかし、どんな施設でも一定数症例が現れるのも事実ですね。骨軟部腫瘍などは非常にレアですが、それに比べると多く、そして、専門施設に送る、ということよりも自院で治療に入るところも多いように思います。
すなわち、とっつきにくい分野ですが自分で診断しなくてはならない場面が必ず訪れる、それがリンパ腫というものだと思うのです。
王道はWHO分類を全部理解することなのだが…
血液悪性腫瘍は分類がしっかりなされている分野の一つであり、分類をまずは網羅的に学び、その後、鑑別診断法を習得していくことも、理論的にはできるのかもしれませんが、実際には困難です。
現在の分類は、WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues 4th reviced になりますが、分厚く、信じられないほどたくさんの病型がのっています…初心者にはとてもではないが通読などはお勧めできません…。
WHO分類 |
となると、勉強法は、実際に症例にあたりながらWHO読む?
それもいいですが、重要なところ、基本的なところから、簡単に読んでいける本で学び、診断して身に着け、少しレベルの高い本で…とステップアップしていくのが一番確実なように思えます。
その戦略は、一番おすすめなのですが、そのための第一冊に、今回紹介しているこのリンパ腫セミナーがよい、と思うのです。
リンパ腫の病型、病理診断、治療法までがよくまとまっている
この本は、リンパ網内系学会が主催する若手病理医、若手血液内科医向けのセミナーをまとめたものになります。
リンパ腫の病理診断だけでなく、病型の開設、治療、予後といった事項がよくまとまっており、読みやすくわかりやすい。
診断に関しても、形態、免疫染色、遺伝子まで基礎的なことからかかれています。本当に基礎的な部分もあるので、初めての病理医でも大丈夫と思われます。
リンパ腫の診断を学ぶ最初の一冊としてぜひともおすすめしたい、と思います。
よい。おすすめ。★★★★★ (5/5)。
この後のステップは ??
とにかく、座学で学ぶことと実際に診断することを繰り返すのが病理の勉強の王道です。座学では読み物としての本はステップアップしていくのがおすすめであり、成書として常にひける本を持っておくことも重要です。
成書は、上に挙げた WHO分類が一番です。これを持ちましょう。
ではステップアップする次の本はなにか、というと、このシリーズにステップアップが出ていますのでそれもおすすめ。
病理診断としては、下にリンクを置きますが、「リンパ腫アトラス」がよく、読み物としては「見逃してはならない血液疾患 病理からみた44症例」がよいでしょう。
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・【書籍紹介】リンパ腫アトラス
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