2018年12月31日月曜日

空間除菌・環境除菌などをうたう製品について

 インフルエンザをはじめウイルス性感染症の流行する季節になってきましたね。

 規則正しい生活をして体調を整えるとともに、体調不良を感じたら外出は控え、十分な休養をとるとともに、感染を拡げないことが重要ですね。

 さて、SNS をみていたところ、二酸化塩素で空間除菌をしてウイルス感染を防ぐことをうたう製品をお勧めしている投稿を見かけました。

 こういった製品について少し述べておこうと思います。

 据え置きまたは首からかける携帯型で、二酸化塩素ガスを逐次、空中に放散させて抗ウイルス効果がえられると標榜する製品は、複数種類が複数社から出ております。

 CM も多く、大手ドラッグストアなどでも普通に売られていますが、先の結論から述べますと、これらの製品に風邪を含むウイルス感染症を防ぐといえるだけの明確な根拠はありません

 一方で、これらの製品の誤飲による重大な事故、接触によるやけど、刺激による諸症状などが報告されており、注意が必要です

 





そもそも二酸化塩素とは


 二酸化塩素(Chlorine dioxide)は ClO2で表される無機化合物で、塩素を含みますね。
 塩素原子上に不対電子をもつラジカル分子であり、反応性が高いことから、実際消毒に使うこともできます。

 アメリカ産業衛生専門家会議(ACGIH)は、塩素ガスより低い作業環境基準濃度を定めていること、ラットでの半数致死量も低濃度であることから、塩素ガスより毒性が高い可能性が示されている物質ですね。さらに、長期曝露毒性については十分な検討はなされているとは言えないものです。

 つまり、安全性に対するデータが十分とは言えない状況にあるんですね。

 日本では労働安全衛生法で「名称等を通知すべき危険物及び有害物」として指定されてもいます。



空間除菌などの言葉を使った製品



 そもそも、除菌、殺菌、消毒といった言葉は使い分けが重要ですが、今回は省略するとして、空間除菌・環境除菌という言葉自体は定義もあいまいで本来使用しないほうがよい言葉です。
 
 しかし、これらの言葉をつかい、効果をうたった商品が次々に出てきて、今でも売られている現状があります。
 2008年には新型インフルエンザ流行の懸念のあった時期に二酸化塩素を用いた製品が宣伝され、知名度が上がったという経緯があります。

 

国民生活センターによる調査と措置命令



 2010年には国民生活センターが、これら二酸化塩素を用いた据置型製品に対する調査を行ったところ、放出が無い製品や、ガスの臭気が原因とみられる体調不良者の発生、有効性・安全性確認が全くなされていない製品などがほとんどであることが判明しました。
 ▶ 二酸化塩素による除菌をうたった商品-部屋等で使う据置タイプについて-


 さらに、同機関による首掛けタイプ製品での調査では、一部では化学やけどを起こすことや、安全性にへの過信を起こさせる表示が認められたことが報告されています。
 ▶ 首から下げるタイプの除菌用品の安全性-皮膚への刺激性を中心に-




でもウイルス抑制効果があるのでは?


 売り出している各社のホームページなどでウイルス粒子の数が減るデータなどが表示されていますが、非常に限定された自社または検査会社によるデータが多い状況です
 しかし、実際には検証した論文が複数出版されています。

 ▶ 低濃度二酸化塩素による空中浮遊インフルエンザウイルスの制御
   西村 秀一 他、環境感染誌 Vol. 32 no. 5, 2017

 この論文では多少のウイルス抑制作用がみられるものの、湿度調整によるウイルス抑制作用へのわずかな上乗せ効果程度しかないことが示されています。


 ▶ 身体装着型の二酸化塩素放散製剤の検証
   西村 秀一 、環境感染誌 Vol. 32 no. 4, 2017

 この論文では「すべての製品で、少なくとも用いたウイルスや細菌に対して標榜されているような抑制効果はまったく認められなかった」と結論しています。そして「イメージ先行のビジネスに結び付けられている面も否めない」と警告しています。

 ▶ ウイルス不活化効果を標榜する二酸化塩素ガス放散製剤の実用性の有無の検証―冬季室内相当の温湿度での空中浮遊インフルエンザウイルスの不活化について―


 この論文においても「ガスへの曝露を受けた空間での活性ウイルスの量は対照のそれと変わらず、不活化効果は確認されなかった」と結論付けています。


 二酸化塩素自体はある一定の濃度以上で十分な時間をかければ、ウイルスや細菌の感染性を失われることはわかっています。しかし、低濃度では密閉した実験状態においてもその効果を十分に発揮するという結果はないのですね。

 またたとえ、効果があったとしても、商品の効果・効能を表示するためには、厚生労働大臣による医薬品としての製造販売承認が必要になります。
 医薬品として販売されている製品はないことから、これらの効果をうたっているとアウトになりますね。

 さて、こういった状況があったために、業界団体は「一般社団法人 日本二酸化塩素工業会」を設立しましたが、ここへの加盟企業も含む業者17社に対して、消費者庁は優良誤認及び有利誤認表示があったとして景品表示法違反による措置命令を出しています。
 ▶ 消費者庁 PDF

 

事故も起こっています



 この製品では、臭気・刺激による体調不良、皮膚の化学やけどのほか、誤飲によるメトヘモグロビン血症などの事故も起こっています。
 ▶ 日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会 Injury Alert(傷害速報)
 



注意も出ています



 公的機関からも注意喚起が出ています。
 
 ▶ 国民生活センター 二酸化塩素による除菌をうたった商品
 ▶ 学校保健のサイト 二酸化塩素による除菌等をうたった製品の使用について



というわけで、ウイルスを防ぐ証拠はありませんので


 以上のように二酸化塩素を用いた「空間除菌」「環境除菌」にはウイルス感染を防ぐ証拠は明らかにはありません。
 そもそも、ウイルス感染をもらう場所は屋内の限られたスペースではなく人込みや、人と人とが非常に近い場所で咳やくしゃみをするなど飛沫の曝露、接触した手から口への接触などで起こるものです。

 製品のごく周囲でわずかにウイルスを破壊してもほぼ無意味と考えられます。

 風邪はライノウイルスなどのウイルス感染が主ですし、インフルエンザはインフルエンザウイルスにより引き起こされるものです。
 これらの感染を防ぐには、とにかく十分な睡眠と栄養をとって体調を整え、感染源に近づかないようにすること、十分な手洗いとうがいでリスクを軽減すること、室内の湿度を保つことなどと、インフルエンザについてはワクチンを接種することになりますね。

 このへんは神戸大学の岩田健太郎先生のインタビューが大変に端的でわかりやすいです。
 ▶ 頭がすっきりする風邪の話。 - ほぼ日刊イトイ新聞


 健康的な生活をして、体調がわるければ人のいるところへは行かない、ワクチンは打つ、これで健康を維持しましょうね。

 消毒については、適切な消毒法で、消毒薬の種類、対象となる病原体、濃度、温度、時間及び適用方法を守って用いないと意味が全くないのです。
 これらについては公的な機関の情報を探すのがいいですね。



リテラシーと大企業にもみられるモラルハザード



 どのような製品や方法が健康によいか、病気にならない暮らしにつながるか、そういった情報は、CMや新聞・雑誌・テレビの情報をうのみにしてはいけません。
 公的な情報にあたるようにしましょう。また、家庭の医学ではなく、医学書をすこし読んでみましょう。その他、リテラシーの重要性についてはこのブログでも書いていきます。
 
 また、この製品群にみられるように大手の会社、著名な会社であってもこういった製品を販売し続けている現状があります。

 これはモラルの問題ですが、商売なので、とにかく消費者が賢くなることが重要です。売らんかな、の精神は、人の健康や幸せを上回ることがあるんですね。
 情けなく悲しい気持ちになりますが、商売なので、と割り切って冷静に見ましょう。

 巷には一線を越えたものがたくさんあります。グルコサミン、コラーゲン、そんなものは分解消化されてから体に入りますので、肉でも食ったほうがいいわけです。
 そういったものについては完全にモラルが崩壊しているのでどうしようもないんですけれどもね…。




 さてさて、というわけで、感染症に注意が必要なシーズンになりましたが、正しい方法で健康維持に努めましょう!






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2018年12月30日日曜日

スーパー寝倒しデー

 今日は起きたら15時半でした…ぐったりぐっすり寝ていました。
 一年の疲れが出始めているのかもしれません…。

 すこし散歩にいき、帰ってのんびり。
 今日は職場にいきませんでした。久々。

 さてちょっといろいろやることを考えています。
 本業以外にもいろいろ書きたいこともでてきました。

 というわけで今日は内容0のブログ…。



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2018年12月29日土曜日

雨、くらーい年末、一人ごはん

 今日はとても暗い小雨のベセスダです。二日連続で寝坊…。
 今日はすこし暖かく、7℃です。バスを待っていたら、以前逆ヒッチハイクをしてくれた親子がまた現れて、のっていきなさーいと。

 駅まで送っていただきました。うれしい。

 朝はだるだるで出勤し、デスクワークと少し実験結果の確認…何かがおかしくて系が走っていません…うーん…何かおかしい、よくわからない…うむ。
 こういうことがあるんですね。

 さて、おひるごはんにいつもポスドク仲間を誘っていきますが、今日は誰もおらず。独りぼっちなのでいつもの売店で買おうとしましたがホリデーでクローズ。
 
 なので少し歩いて患者さん用のcafeteriaで一人でお食事してきました。

 
Fig.1 昼ご飯一人さびしい

 
 今日は天気も悪く気分が盛り上がりません。
 ポスバクの学生さんの実験を手伝いましたが、そっちは非常にうまくいき、彼は喜びまわっていますが、私はどうにもこうにも盛り上がらない気分。

 さて、本当に年末ですね…。日本国外で過ごす初めての年末…気分はあまりよくないいまいち状態ですし、年末感がありません…。

 さて、今日は少しだけ実験の改善法を考えます…。



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2018年12月28日金曜日

かなり寒い日、お客様

 今日は朝、とても寒く、寝坊しました(気温関係ない)。
 -4℃の中バスをまち、乗り込みましたが、誰もいない…。年末休暇ですよね…。

 今朝は快晴、月もきれいに見えていました。


Fig.1 今朝の NIH 入口

 今日はかねてよりお約束のお客様がいらしたので、少しNIH内でお話。
 わざわざお越しいただきありがとうございました。

 今日は寒かったので NIH 案内は少しだけで、National library of medicine にだけ行ってきました。医学系情報の総本山ですね。


Fig.2 NLM
 
 さて、お客様をお送りして、ちょっと実験です。と言ってもあまり細かいことはやらないんですけど、もう年末モードでラボには少人数です。
 ボスは患者みたりデスクワークしたり忙しそうですけれども…。

 
 さて、昨日はワクチン関連の記事を2本書き、ワクチン関連の話題ばかりの最近ですが、こどもとおとなのワクチンサイトを見ていたら、「「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種の積極的勧奨の即時再開を求める要望書」の厚生労働省への提出について」という記事がありました。

 日本プライマリ・ケア連合学会がHPVVの勧奨接種再開の要望書を厚生労働省に提出したとのこと。鈴木富雄先生、お元気そうです。

 このページには情報もしっかりのっていて頼もしい。
 医療従事者向けとされていますが、日本プライマリ・ケア連合学会のHPVVに対する考え方も公表されています(▶ PDFファイル)。
 とても冷静で、真摯な書き口、しっかりした分析です。

 いろいろ混乱はありましたが、皆さんの健康維持のため、失策からビハインドを一歩一歩取り返さねばなりませんね。

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2018年12月27日木曜日

ワクチンに関する世紀の研究不正 ウェイクフィールドについて

 研究の不正というのは、捏造・改竄・盗用が代表的なものですが、これは研究内容についての話です。実際には様々な悪質な不正がありますが、それらについてもいずれ書いていきたいと思ってはいます。

 不正、それは研究者にとってはもちろん、研究業界としてもこれは決してしてはならず、許容してはいけないことです。絶対にいけないことです。

 その不正によって公益が損なわれた大きな実例がありますので今日は簡単に触れたいと思います。


研究不正


 日本においては STAP 細胞の小保方・笹井達の研究の不正で一気に研究不正というものに焦点が当たりました。
 (その頃のことをちょうど日記に書いていました
  ▶ 当直バイトの夜、STAP細胞の疑惑ももう決着しそう)
 
 榎木英介先生の本も大変勉強になります
  ▶ 【書籍紹介】嘘と絶望の生命科学 (文春新書 986)
 また、世界最大の捏造ともいわれるシェーン事件については
  ▶ 【書籍紹介】論文捏造 (中公新書ラクレ)
 にも大変詳しいです。

 世界的にも研究不正は常に問題になっており、様々な防止措置が取られています。

 というのは、研究不正は研究そのものだけでなく、社会的にも多大な悪影響を与えるからです。損失をこうむるのは研究者個人だけでも研究機関だけでもありません。タックスペイヤーをこえ、社会全体に悪影響を与えます

 ということもあり、日本のみならず世界中で研究者は倫理講習を受講することが義務付けられており、私も今週受講してきました…(途中で挫折しましたが…)。
 ▶ 倫理講習会でげっそり…

 その講義で冒頭に出されたスライドがこれでした。



 これは、反ワクチンを唱える人が一部ではいまだに出してくるとんでもない研究不正を行った有名な事件の例です。

 新三種混合ワクチン(MMR; Wikipedia) は麻疹(Measles)、風疹(Rubella)、流行性耳下腺炎(Mumps)に対するワクチンで、これらの頭文字をとってMMRワクチンと呼ばれます。
 
 このワクチンは弱毒化株を用いたものですが、1993年まで使われていた旧ワクチンは無菌性髄膜炎が比較的高い頻度で発症することから接種が中止となり、2006年からはムンプスを除くMRが日本では開始されています。

 新MMRワクチンはグラクソ・スミス・クライン(GSK)の Priorix が有名で、現在こういった海外のワクチンは日本では薬監証明のあるトラベルクリニックにおいて自由診療で接種が可能です。

 アメリカではMMRワクチンは1971年から使われており、現在ではMMRVという水痘・帯状疱疹も加えられた製品も認可されています。



ワクチンに関する世界最大の研究不正事件



 今回は「MMRワクチンで自閉症になる」という研究不正にまみれた論文を1998年に「Lancet」に発表したアンドリュー・ジェレミー・ウェイクフィールドとその事件の顛末と、その影響、そして現在にまでいたる反ワクチン運動とのつながりを概観し、研究不正が社会にいかに悪影響を与えるか考えてみたいと思います。

 (この記事はいろいろなソースから調べていますが、この話題の非常によい記事として
  続アメリカ医療の光と影(医学書院) 李 啓充 先生の 「アウトブレイク」があります
 ▶ 2934号 あたりからがメインです
 またYahoo!ニュースに西川伸一 さんの鋭い分析があります
 ▶ 捏造の構造分析10:ウェークフィールド事件(小保方事件との比較で))
 さらに、ブログ「EARLの医学ノート」にとても良い論文の解説があります
 ▶ 【文献】ワクチンやそれに含まれるチメロサール,水銀は自閉症と関連しない.メタ解析
 ▶ MMRワクチンと自閉症の関連性に関する2014年8月の騒動について



ウェイクフィールド



 アンドリュー・ジェレミー・ウェイクフィールド(Andrew Jeremy Wakefield, こちらに経歴をまとめたPDFがあります) は1957年に生まれたイギリス人の元医師で「anti-vaccine activist」として活動した人物です。
 非倫理的かつ不正により免許を剥奪されるまでは消化器内科医でした。

 神経内科医師の父、家庭の母のもとに生まれたのち、英国聖マリー病院医科大学を卒業、卒後はトロント大学(カナダ)において小腸の移植の研究をし、ロイヤル・フリー・ホスピタル(英国)に31歳時に戻っています。

 1998年、40歳のときに「MMRワクチンで自閉症が起こる」という結論の論文を「Lancet」誌に発表しました。

▶ 【Retracted・撤回済み
 Wakefield AJ; Murch SH; Anthony A et al.
  “Ileal-lymphoid-nodular hyperplasia, non-specific colitis, and pervasive developmental disorder in children”. Lancet 351 (9103): 637-41.  PMID 9500320.

 この研究は、12人の被験者(子ども)を対象としており、「MMRワクチン」と「自閉症」および「腸疾患」が関連した「自閉症的全腸炎(autistic enterocolitis)」を発見したと主張したものです。

 この論文が出版される前、1998年2月26日には記者会見を開き、「MMRワクチンで自閉症になる」と大々的に発表しました。
 この会見の中で、混合ワクチンではなく単独ワクチンであれば危険性は減るはずだという説を彼は主張しました(実は、彼は単独麻疹ワクチンの特許を前年に申請していたのです)。

 2004年(6年後)に、Lancet誌 は重大な利益相反(Conflict of interest: COI)があったとし、この論文の一部を撤回しています(Lyall J. “Editor in the eye of a storm”. BMJ (Clinical research ed.) 328 (7438): 528. PMID 15164721.)

 さらに、この論文には科学的にも問題が多数指摘され、2010年には General Medical Council(英)はこの論文の結論である「MMTと自閉症の関連性」を否定し、同年、論文は全撤回されました
 ▶ AFPの記事 英医学誌、自閉症と新三種混合ワクチンの関係示した論文を撤回

 そして、ウェイクフィールドは上司に命じられた再現研究でこれらを再現できず、2001年には病院を辞職、2010年には本人および上司の医師免許は剥奪されました。
 ▶ The Guardianの記事 Meikle, James; Boseley, Sarah. “MMR row doctor Andrew Wakefield struck off register”.



ウェイクフィールドの不正



 ではどんな不正があったのか。30にも及ぶ不正の概要を簡単に提示します。
 これらは主として Sunday times 誌の Brian Deer 記者が暴いたもので、2011年にはBMJ誌に連載もしました(▶ How the case against the MMR vaccine was fixed)。

● 研究の端緒
・患者の母親からの相談だった → 実は弁護士からの依頼
・依頼した弁護士は 反ワクチンの非営利団体 JABS に雇われ、
 ワクチンメーカーを訴える訴訟を計画していた。
・ウェイクフィールドを顧問として雇い訴訟のための
 データづくりを依頼した 
・顧問料はその後 約 7000 万円相当だった。
● ウェイクフィールドは Lancet 誌に掲載した「新症候群」の
 患者の一人目を診察する前に、この症候群について記載している。
 これは訴訟支援の公的基金への申請書に記載したものである。
● Lancet 誌の対象12 人の患者はすべて JABSのつてで集めた。
● 患者の病歴とデータは大幅に書き換えられ、捏造されていた。
・論文では自閉症は 9/12 例 としていたが、実際には 6/12 例
・腸管の炎症については 11/12 例としていたが実際には 3/12 例
・ワクチン接種後14日以内に症状が発症したのは
 8/12例 としていたが、実際には 2/12 例
 → 自閉症・腸管症状・ワクチン接種後を満たす症例は1例もなかった。
・接種前から自閉症があった小児を接種後発症扱いにした例もあった
● ウェイクフィールドは麻疹ワクチンが彼の提案した症候群の原因としていたが
 彼の研究室から麻疹を扱った証拠はなにも得られなかった

 論文は完全に撤回され、科学的にも内容は完全に否定され、さらに2011年には追加の調査により、この論文は詐欺であったことが判明しています。
 ▶ Godlee F, Smith J, Marcovitch H . “Wakefield's article linking MMR vaccine and autism was fraudulent”. BMJ 342: c7452. PMID 21209060.



影響とその後



 しかしながら、この言説は広く影響を与え、撤回までの期間とその後も、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで反MMR運動が広がってしまい、多数の子どもが麻疹 (はしか, Measles)に感染しました。
 ▶ Newsweek の記事 Andrew Wakefield, Father of the Anti-Vaccine Movement, Responds to the Current Measles Outbreak for the First Time

 それどころが、未だにこの説を信じてしまう人が残っていたり、結論部分だけが独り歩きしてしまっています。さらに、医師免許を剥奪されたウェイクフィールドを英雄のように扱う人たちもわいてきました。
 ▶ AFPの記事 イタリア、予防接種を就学の条件に

 ここまで見てきたようにこの論文はどうしようもない不正にまみれた捏造と倫理違反と商売の混じったもので、詐欺師と言っていい人物によるものなのですが、「反ワクチン」を唱える集団などにはいまだに素晴らしいもの、真実を語ったものなどとしてあがめられている状況が残っています。

 そして実際に公衆衛生対して非常に多くの損害を与えたのはもちろん、この説を検証するために多数の結果的に無意味な研究もなされることになったわけです。

 さて、日本では、2005年に横浜市港北区のおける疫学調査が報告されています。
 ▶ Honda H et al. No effect of MMR withdrawal on the incidence of autism: a total population study. J Child Psychol Psychiatry 2005; 46: 572-9

 この調査では MMRワクチンの接種率は調査期間に 69.8% から 1.8%まで急減しており、最後の方の機関である1993~1996年生まれではMMR接種は 0%となっています。
 ところが、ワクチン接種中止後である1993年以降の出生児における自閉症の発生率は上昇しているのです。
 これは、ワクチン接種によって自閉症が発症するという説を否定しているデータといっていいわけですね。


ワクチン反対の根深さ


 ワクチンというものは、感染症や感染症によって生じる腫瘍を予防することが目的である。効果というのは予防率と防ぐ疾患の重篤度いうことになるわけです。

 ワクチンは重篤な感染症に効くものには需要があることもあり、ワクチンで防いでいる、抑圧している、そして根絶した疾患はいずれも非常に重篤な症状をおこす感染症ばかりです。

 しかしここで冗談のようなことが起こります。すなわち、ワクチンが効果的であり、普及するほど、本来防いでいる疾患は目立たなくなり、発症率も下がり、それにともなって認知度も下がるとともに、その疾患の大変さ重篤さが忘れられてしまう、無視されてしまうということが起こるのです。

 一方、原理的に、ワクチンによる副反応は0ではありません。ある程度、必ず発生してしまう。

 すると、感染症は過小評価され、ワクチンの副反応は目立つようになり過大評価されてくる。すなわち、本来享受しているワクチンによる利益よりも、ワクチンによる弊害が大きいかのようにとらえる錯誤がでてくるのです。
 
 また、ワクチンは疾患を発症していない健康な人が対象になります。これも大きなポイントで、疾病にならない確率と、ワクチンの副反応の生じる確率をみても、評価をするのはとても困難で、叩きやすいポイント・反ワクチン運動にとって狙いやすいポイントになります。

 そして、副反応の評価の難しさです。因果関係が証明されていないものも、因果関係ととらえる現象はワクチンに反対する考えに含まれやすいと言えます。

 そういったワクチン特有の難しさに加え、ワクチンに反対する人は様々な誤謬や誤解、陰謀説(ワクチンメーカーや製薬メーカーの金もうけですとか、WHOや国が人口を減らしたい、マイクロチップをいれている、不妊になるなどなど)への固執などを交えた独特な思考を形成し、仲間を集め、資金を集めて運動するという現象が、世界中でみられます

 そして、一度否定されたものや、不正によるものなどの論文を論拠として引っ張り出したり、それを信じ込んでいたり、否定されたことを認められないなどの態度をとり続けることもよくあります。不正による問題の一つとして、この問題でもみられるように非常に根深く禍根を残すことがあげられます
 
 またそういう運動に乗じる医療関係者・医師も後を絶ちません。
 日本でも目立ちますが海外でもあるんですね。

 反ワクチン運動にかかわる医療者や、研究者を名乗る人物は、彼らの著作物などに査読を入れることを拒否する傾向も明らかであり、仲間内にしか通用しないデータや理論(?)を唱え続けるのも特徴です。

 また反ワクチンに染まった人たちによる SNS やYouTube などの動画サイト(ツイッター、インスタグラム)、ブログやサイト、一般書籍での情報発信も非常に積極的になされている現状があります。
 これらの情報は、発信側に都合のよいことばかりを述べるものが多いのです
 (それらの誤謬については、代表例をインスタグラムに絵にしてまとめてみた)。

 日本では表現の自由が保障されているため、「毒」情報ともいえるそういった情報発信に対して、差し止めや出版を禁止することはできないと言っていい状況です。

 そして情報発信者も、さまざまなジャンルにわたっている - 政治家・元政治家・芸能人(モデル・元モデルなど)…看護師、薬剤師…医師…などなど。

 何度も紹介していますが、反ワクチン運動についてはいい本がありますので手に取っていただけるとよく理解していただけるかと思います。
 また、前の記事でも少し触れました。
 ▶ ごく簡単な「ヒトパピローマウイルスワクチン」(HPVV) の話 その1

 日本ではHPVワクチンの勧奨接種が中止されましたが、これらには反ワクチンの運動を冷静に見られない行政の科学リテラシーの低さも入っているであろうし、もちろん決断をしてしまった政治の劣化も入っているでしょう。
 
 与党内にも医師免許などをもつ議員もいるはずなのですが、どうしてしまったのか。

 今後もこういったことが続くのはよくありません。
 地道に正しい情報と科学的思考法を普及させ、研究不正などを断固として許さず、科学の利益を人類が享受できるようにしていくことが大切であると考えています。







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ごく簡単な「ヒトパピローマウイルスワクチン」(HPVV) の話 その1

 しっかりとまとめて、子宮頸癌や "子宮頸癌ワクチン" について触れたいと考えていますが、ちょっと先出しで、"子宮頸癌ワクチン" について触れてみたいと思います。

 "子宮頸癌ワクチン" という言い方は、私は全面的には支持していません

 その理由は最後の方に述べたいと思いますが、このワクチンは ヒトパピローマウイルスワクチンというものです。

 順次説明しながら簡単に今日は触れるだけにしてみたいと思います。



まず絶対的な注意を


 このブログを含む私の情報発信を含め、ネット上の情報というのは真偽の判定も、詳細までが正しいかも判断することは困難なことが多いです。
 できるだけ公の機関が出している情報をまずは確認することをお勧めしています。

 そのためには、官公庁や日本医学会の分科会に所属する学会(▶ リスト) の情報を見ることがよいです。

 医療従事者であっても、議員であっても、個人のページは危ういことが多いです。また、患者会などが正しい情報を発信しているとはいいがたい現状があります。

 さすがに私のページを読まれる方には少ないと思いますが、HPVが子宮頸癌の原因ではない、ワクチンでは子宮頸癌防げないなどという完全なデマを信じてはいけません。
 立憲民主党や自由民主党などの公党に属する議員でもそのような妄言を発信している人がいますが、完全な反科学や陰謀論にはかかわらないようにしてください。

 とても重要なことです。

 以下に述べるように、HPVにより子宮頸癌の多くは引き起こされますし、HIVはエイズの原因ですし、ワクチンにチップは埋め込まれていませんし、ワクチンで人口を減らす陰謀があるなんてことはないですし、ワクチン会社の工作員や陰謀でワクチンがいいよと情報を広げているわけではないですし、ロスチャイルド家が世界全てを牛耳っているわけではないですし…お分かりですね、一線を越えた頭の持ち主と関わってはいけません。(何らかの方法でブラックリストを作成したいと思っていますが、そういう方は容易に集団攻撃や法的手段に訴えるので、方法を模索中です…)。

 さて、では本論に入ってまいります。



ヒトパピローマウイルスについて


 ヒトパピローマウイルス (Human papilloma virus; HPV) はヒトに感染するウイルスで、現時点で200種類以上あることが知られています(Wikipedia)


Fig.1 ヒトパピローマウイルスの電子顕微鏡写真



 HPV の中には病気を引き起こさないものもありますし、いぼのような良性の(=命には基本的には関わらない)病気をおこすものもあります。

 200種類ほどのHPVのうち、悪性腫瘍、とくに子宮頸癌・中咽頭癌・肛門癌・陰茎癌などを起こすタイプのHPV が知られており、それを「ハイリスク型」と呼んでいます。

 具体的には16、18 型が特に有名でかつ癌のハイリスクですが、ほかに、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、86、73、82型などもハイリスク型です。


 つまり、200種類ある HPV のうち、癌のリスクが高いタイプは限られているんですね。
International Agency for Research on Cancer は13種類のHPVが子宮頸がんを起こすよ、と言っています(参考 ▶ CDC のページ  )。




 少しだけ簡単にお話をします。上の図はHPV16の遺伝子の地図の概念図です。DNAがわっかになっているんですね。そこにE1 とか L1とかの名前がありますが、これが書き込まれている遺伝情報で、タンパク質を作ります。

 このうち、E6、E7というのが悪いもので、これらが癌を引き起こすことが分かっています。そして、L1とかL2というのが カプシドタンパク質というんですね。これについては次の項目で簡単に触れてみます。
 



HPVワクチンについて


 さて、ワクチンというのはなんらかのウイルスの成分に対抗する抗体を体に作らせることが主な目的になります(実際には抗体以外にも免疫は反応します)。

 ウイルスがもっている特有のタンパク質やそのタンパク質を少し加工したものを成分として使用しているタイプのワクチンが近年は主流になっています。

 HPVワクチンの場合には、ウイルスの容れ物(カプシド)を作るタンパク質であるカプシドタンパク質抗原というものからなっていますが、これはHPVのタイプによって配列や構造がそれぞれ異なっているんですね。


Capsid とかかれているのが カプシド(容器のところです)


 なので、あるウイルスのものからなる1つのタンパク質をワクチンにいれた場合、基本的に1つのタイプのウイルスしか防ぐことができません




 ほんの少し細かくみてみましょう。上の図で、注射器のところに書いてある L1 と L2 というのが、カプシドのタンパク質なんですね。これを注射すると、B細胞という細胞のなかで、このL1/L2 を認識できるものが、T細胞からの刺激も受けて活性化して増えます。
 すると、このL1/L2に対する抗体を作るようになって、抗体ができるのです。

 この辺のことはこのブログの記事「かんたん赤ちゃんレベルの免疫のお話 その1」や、それらを転載している note のマガジンですこし説明していますが、今後も別途していきます。

 さて、戻ります。
 例えば、HPVの場合、16型のカプシドタンパク質由来のものを打てば、16型は防げますが、ほかのタイプは防げません。

 さて、そこで、上記で述べましたように、ハイリスクタイプのウイルスが子宮頸癌などを引き起こしますので、それらの感染を防ぐことが重要、これは簡単にわかりますね。

 具体的にはまず16と18型は防ぎたい。できれば他のもの全部で13種類でした、もできるだけ防げればなおよい。

 このようにワクチンにおいては、複数のタイプのウイルスのうち、いくつの型に対応しているかを「価」と言っています
 具体的には、16型と18型の2タイプなら2価16型・18型・6型・11型の4タイプなら4価となっています。

 現在日本で承認されているHPVワクチンは、サーバリックス(2価)とガーダシル(4価)です。




 HPVは16型と18型がとくにリスクが高いのですが、これはサーバリックスでもガーダシルでもカバーしています。ガーダシルはこれに加えて、尖圭コンジローマという病気をおこす6型と11型もカバーしているわけです。

 日本未承認の9価ワクチンである「ガーダシル9」ではガーダシルでカバーする4タイプに加え、さらに31、33、45、52、58型もカバーします。これらのカバーするウイルスはやはりいぼや癌を起こすものです。



どのワクチンを選択するべきか


 さて、ではどれを選択し、どう考えればいいのか…そこが大事です。

 子宮頸癌の65%程度は、HPV 16型または18型で引き起こされます

 そして、20~30代の人で感染がみつかるHPVのうち8~9割はこの2つの型なのです。
 参考 ▶ もっと守ろうのサイト


 そして、この2つのタイプのHPVは癌を他のタイプのHPVより早く起こしてしまいます。そのため、日本の20~30代の子宮頸癌の約7割以上はこの2つのタイプにより引き起こされていると考えられています。
 ▶ 日本人における報告 Onuki M et al. Cancer Sci; 2009: 100(7): 1312-1316.

 さらに、基本的に子宮頸癌というのは「扁平上皮癌」というタイプの癌が多いのですが、「腺癌」という見つけるのがやや難しい癌も起こります
 この腺癌が、16型・18型のHPVによって主に引き起こされることもわかっています

 ですから、戦略として、まずはこの2つのタイプ(くどいですが16・18型)に対する防御をすることが重要になります。そのためには、日本で選択可能なサーバリックスおよびガーダシルはカバーしていますね。

 サーバリックスの添付文書ガーダシルの添付文書 にワクチンの基本的な重要な情報はのっていますが、十分な免疫をつけるために、これらのワクチンはいずれも3回接種する必要があります(ただし最新の研究では1回または2回でも十分な予防能力が獲得できていることが示唆されているものがあります)

 この3回打つのは基本的にはセットで、十分な抗体価(抗体という防御タンパクの量=防御力と考えていいです)を確実に得るために、基本的には必要と現時点では考えられているわけなのですね。なので、どちらを選んでも3回は打ちます。

 さて。では4価と2価とどちらがいいか。実際にはちょっと難しいのですが、できれば4価を選びたい。もっと言えば9価を選びたい。さらに言えば、癌を起こすことがしられている13価すべて防げるものなら(そんなワクチンはありませんが)13価打ちたいところです。

 しかし、現実問題として使えるワクチンが限られており、リスクの大小もわかっていますので、日本ではまずは4価でよいように思いますし、2価でももちろん打たないよりずっとよく、打つ価値があります(この辺の比較はまた次回書きたいと思います)。

 重要なことは、他のタイプを防ぐには9価を打つのが選択肢としてあるということですが、上記のように癌を引き起こすHPVは13種類は最低でもあります。
 なので、「いま人類が手にしているワクチンで、100%子宮頸癌の発症を防げるワクチンはありません」

 よって、ワクチンを確実に打つのと同時に、成人以降は「子宮頸癌検診はしっかりと受ける必要」があります。
 未感染の人がワクチンをうてば16・18型による発症はほぼ心配しなくてよいでしょう。しかし他のタイプがありますので。

 ちなみに、サーバリックスを打った後にガーダシル9 など他のワクチンをうってもひどい副反応などがでるということはなさそうなので、私はガーダシル9を打って9つのタイプを防御しようと考えています。

 タイミングよく、大阪大学から「HPVワクチンの積極的勧奨再開後の課題と対応策を提言」がありました。よい研究ですね。


 そして、HPVワクチンがの効果に関する報告を挙げておきますね。
 
 ▶ Prophylactic vaccination against human papillomaviruses to prevent cervical cancer and its precursors Cochrane Systematic Review - Intervention Version published: 09 May 2018.  Marc Arvyn et al.
 日本語訳があります https://www.cochrane.org/ja/CD009069/zi-gong-jing-ganoyobiqian-ganxing-bing-bian-noyu-fang-womu-de-tosuruhitopapiromauirusunidui-suruyu

 ▶ 日本産科婦人科学会のこの資料もいいですよ。



情報源をいくつか


● 日本産科婦人科学会のページです 
  http://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4

● 以前から紹介してますが、KNOW☆VPD はとてもよい情報源です
  http://www.know-vpd.jp/vpdlist/hpv.htm

● 子宮頸癌については国立がん研究センターの運営する「がん情報サービス」のページ
  https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/index.html

● ヒトパピローマウイルス感染症については厚生労働省のページもいいですね
  https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/hpv/index.html

●英語になってしまいますが、アメリカCDCのサイトは正確かつ分かりやすい情報源です
  https://www.cdc.gov/hpv/index.html
  https://www.cdc.gov/cancer/hpv/basic_info/index.htm

● NIH のなかの NCI というがん研究の総本山のホームページの情報も
  https://www.cancer.gov/about-cancer/causes-prevention/risk/infectious-agents/hpv-fact-sheet

● アメリカの厚生労働省にあたるHHS は AIDSinfo というサイトをやっていますが、そこの中にもHPVの一般的な情報もあります
  https://aidsinfo.nih.gov/guidelines/html/4/adult-and-adolescent-opportunistic-infection/343/hpv

● WHO も情報提供しています
  https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/human-papillomavirus-(hpv)-and-cervical-cancer

● コクランライブラリーというものがあります。これは最も信頼できるデータベースの一つです。https://www.cochranelibrary.com/
 ここで検索することも大事です。



余談ですが重要なこと


 今回は、子宮頸癌を防ぐ目的としての HPVワクチンに触れました。
 しかし、上記で述べたように、HPVワクチンは子宮頸癌(扁平上皮癌+腺癌)のみではなく、中咽頭癌、肛門癌、陰茎癌、そして一部の皮膚癌や疣贅などの病気も防ぎます

 男性への効果についても報告が出始めています。
 ▶ Efficacy, effectiveness and safety of vaccination against human papillomavirus in males: a systematic review,  BMC Medicine201816:110 Thomas Harder et al.

 また、男性にも接種することで、HPV感染を防ぎ、公衆衛生学的に、ウイルスが蔓延するのも防ぐ効果があります。ここら辺のことについてはまた別にまとめます。

 よって、子宮頸癌のみに効くような印象をあたえる ”子宮頸癌ワクチン” という名称には完全には賛成していません。ぜひ、HPVワクチンとして考えていただければと思います。



今回のメインはこれで終わり


 ですが、ここで3冊だけ本を紹介しておきたいと思います。


【書名】10万個の子宮:あの激しいけいれんは子宮頸がんワクチンの副反応なのか
【著者】村中 璃子
【出版社】平凡社
【リンク】Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
     7net honto e-hon 紀伊國屋書店 ebookjapan 図書館

 英サイエンス誌「ネイチャー」等が主催するジョン・マドックス賞を受賞された村中先生の本です。子宮頸癌ワクチンの副反応の問題を冷静に分析されて丁寧に追われた一冊、一度手に取っていただければと思います。




 【書名】ワクチンは怖くない (光文社新書)
 【作者】岩田 健太郎
 【出版社】光文社
 【リンク】Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo 7net

 臨床家としての非常にニュートラルかつ、冷静に考え方からワクチンを解説された一冊です。あっぱれです、としか言いようがないですが、読みやすいのでぜひ手に取っていただきたいと思います。

 そしてもう一冊は、別途記事を書いています。
 
 反ワクチン運動について知るには最高の一冊ですのでぜひお読みいただきたいと思います。



続きは…にかえて、騙されないように


 この続きは継続的に行っていきますし、他の医学の解説シリーズとも合わせて進めていきます。また、反ワクチンの人たちの言い募ることにも一つ一つ丁寧に証拠を出しながら反駁・反論をしてまいります。

 健康科学・医療の分野は、非常に身近である上に、人には個体差や恒久性という柔軟さが備わっているため、素人が簡単に何かを試した気になったり、身近な経験やひょんなアイデアのみでものを言ってしまうことがよくあります。

 しかし、医学医療はご存知の通り非常に高度かつ大量の情報と経験と検討の集積です。コンピューターを設計し使えるようにするのも、高層ビルを建てるのも、飛行機を飛ばすのも同じく高度な科学と技術と経験とに基づくものですが、実際に試せず身近でもないことが多いために、専門家でないとできないなぁと誰でも思っていると思います。

 医療医学も同じです。専門家は基本的な訓練を受けて免許などで国家からとりあえず最低限には達している、とお墨付きをもらったうえで、自己研鑽と実務を通じて高度なことをしているのです。

 素人がコンピューターを動かすのにプログラムはいらない電源につなぐ必要もない、とか、高層ビルは設計はいらないからいい石を使えば建つとか、飛行機に翼はいらない、などと言い出したら、まぁ、なんというかやばい人だと思うでしょう

 医療も同じです。感染症はかかった方がよいとか、ワクチンはいらないとか、ステロイドは使ってはいけないとか、ふろに入れてはいけないとか、キャベツで熱を冷ますとか、医療アロマだとか、レメディだとか、ホメオパシーだとか…。
 まともな医療人から見ればあまりにまずい話です。

 こういった妄言は、妄想にとりつかれたり信じ込んだり無知だったり頭が及ばない人、そして心の寂しい人から剥がしとることは困難です。カルト宗教とおなじく洗脳を解くのは至難の業です。

 そして彼らには一定のはまり込む理由やパターンがあります。これについてごく触りだけをインスタグラムに図にしておいてあります(▶ https://www.instagram.com/p/Brvp-SqnTkI/)。
 こういったことや、陥りがちな嘘、そしてこういうことを防ぐ方法も今後まとめていきます。

 大事なことは、関わらないこと、ひろげないこと、近寄らないこと。真実の断片を混ぜ込んで情報を押し付けてきますが、全体として嘘なので、嘘として一切耳を貸さないこと。そして、情報は能動的に自分で集め、検討し、選択すること。

 健康の責任は最終的に個々人にあります。後悔しないためにもよく知ることです。
 かれらは気楽に本当のことを知れとか目覚めよとか目覚めたとか言います。嘘です。なにも見えなくなって閉じこもっただけです。煽っているのは商売です。

 医療従事者や著名人にも彼らにも一片の真実がなどという人がいますが、ただのあまのじゃくです。正道ではありません。たとえ教授であっても。

 子どもが関わることについては、子どもは自己判断ができません。親が代理として監護権を行使しなくてはなりません。なおさら正しく、将来に禍根を残さない選択が必要ですね。

 SNS、YouTube などの動画サイトをはじめ、ネットの情報は本当に玉石混交です。デマも非常に多く、デマを広げる人も多い。そして心理に付け込んでくるものが多い。
 どうか、それぞれが正しい情報を手に入れる、そういう能力をつけることも意識していただきたい、そう思います。



COI の開示


 COI (conflict of interest) とは利益相反行為のことで、この情報は、どこからお金や便益を受けているかなどを明らかにして、便益を図っていないかをみる一つのファクターになります。

 JTから支援をうけたタバコ研究だとか、製薬企業から研究費をうけた薬の記事だとかは、そこを開示したうえで述べないとある意味で義務違反ととらえられますし、読むほうもCOIをチェックしてどの程度信用できるか、ポジショントークではないかを判定するのが賢いやり方です。

 反ワクチンの多くには、自閉症関連で資金を集めている団体などがついていたりしますので、開示を要求しましょう。資金源の目的から、公益とは合わない発信をしていることが多いことに気づくはずです。

 さて、私のCOIを開示します。
 どこの製薬企業・ワクチンメーカーからも一切の資金提供も情報提供も受けていません。所属している研究機関を代表する意見はなく、給与以外の金品の授与もありません。
 政党、各種運動団体等への所属はありません。
 
 note への支援と、polca で実施しているいわゆる広いファンディングで、先週までに3万円ほど支援を受けております。

 以上です。


 というわけで、基礎医学シリーズ (現時点では、免疫学・腫瘍学・ウイルス学だけですが、今後増やしていきます)に加え、ワクチンシリーズも開始したいと思います。
 今回は先取りで HPVについて触れましたが、わかりやすく基礎からのワクチンと、現状のワクチン問題等に絡めた発信もいたします。







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▶ リンク

クリスマスから年末の休暇モード、note の記事

 今日はすごく寒い快晴のベセスダです。-4℃…寒い。

Fig.1 寒い

 バスにはほとんど人がいません…冬休みなんですね。電車にも…人はいません…。あれれれ。

Fig.2 久々の快晴 NIH正門

 研究室に来たら…人がいません…私とボスだけ…。あれれれ。
 みんなもう、次は来年だそうで…やっちまった…休みを取り損ねた…。
 しかし気分は休暇モードなので今日はのんびりします。今日も、か。

 さて、note に簡単な医学解説記事(▶ マガジン)を書いていますが、昨日は note 公式さんに記事を紹介していただくという名誉をいただきました。




とてもありがたいことで、半日もたっていませんが、一気に1000アクセス以上読んでいただき、大変に驚きつつも喜んでいます。

 まぁ、だらだらのこの日記ブログを見ていただけばわかるように、文才はないのですが、できるだけ丁寧に説明はしようとしているのが評価していただけたのかなぁなんて思ったりもしております。

 情報発信も面白いですが、たくさん調べないとなかなか進まないのが大変なんですねぇ…いまさらそんなことに気づいたりもしています。


 さて、日本人仲間も多くが一時帰国してしまい、寂しい感じです。
 職場にも人はいないし…うーん。年末は休みをしっかりとるべきでしたねぇ…。
 
 

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2018年12月26日水曜日

【転載記事】若手研究者のためのシステマティックレビューの書き方指南

 エディテージ・インサイトさんに良い記事があったので、ちょっと布石として CC に基づいて転載をさせていただきます。

 システマティックレビュー(Wikipedia)というのはあるテーマについて、文献を網羅的に調査して、ランダム化比較試験(RCT)のような質の高い研究のデータを、出版バイアスのようなデータの偏りを限りなく除き、分析を行うこと、です。

 偏ったデータなどを引き合いに出して論陣をはるというか、いろいろ主張する際の誤謬をすこしインスタグラムに図としてまとめて投稿しました(▶ これ)。

 この中に、チェリーピッキングなどの項目がありますが、偏った文献の選択というのはとても問題になります。これは科学的な検討を真摯な態度で行っているとは言えない状況を容易に作り出します。

 そこで、まずはその分野の情報をえるにはシステマティックレビューがあるのであれば、そこからあたるのがかなり無難なのは事実です。
 そしてまた、レビューを書きたい場合にはシステマティックに行うことが望ましいとも言えます。

 今回はシステマティックレビューの書き方を紹介してくれている記事を、CCに基づき転載いたします。
 以下は転載記事です。

若手研究者のためのシステマティックレビューの書き方指南


システマティックレビューとは?
 システマティックレビュー(系統的レビュー)とは、現存する文献の徹底的なレビューを行い、定式化した課題について論じるものです。このレビューでは、明瞭で再現性があり、バイアスを最小限に抑えた方法を用いて、課題に関連する研究のエビデンス(科学的根拠)について、系統的な検索、特定、選択、評価、統合を行います。システマティックレビューは、研究成果の情報源として最良のものと考えられています。システマティックレビューは、エビデンスに基づいて研究が行われる医学分野では紛れもなく重要ですが、その他の分野でも、非常に価値があるものとみなされています。
システマティックレビューは、リテラチャーレビューよりも徹底的に行われます。出版済みの論文に加え、「灰色文献」と呼ばれる未出版の文献も対象となります。灰色文献はシステマティックレビューの重要な部分を占め、レビューの価値を高めるものです。これは、出版済みの文献と比べ、灰色文献には新しい情報が含まれることが多く、出版バイアスが少ないと考えられるためです。灰色文献には、未出版の研究、報告書、学位論文、学会で発表された論文や抄録(アブストラクト)、政府による調査研究、実施中の臨床試験などが含まれます。
システマティックレビューを行う過程は、複雑です。本記事では、システマティックレビューの種類と、標準的な手順や執筆方法に関するアドバイスをご紹介します。

システマティックレビューの種類
  • 質的(Qualitative):このタイプのシステマティックレビューでは、関連研究の結果を要約するが、統計的な統合を行わない。
  • 量的(Quantitative):このタイプのシステマティックレビューでは、統計的手法を利用して、複数の研究結果を統合する。
  • メタ分析(Meta-analysis):メタ分析では、統計的手法を用いて、互いに独立していながらも類似している関連研究の結果の評価を統合し、要約する。

プロトコルを書く
 優れたシステマティックレビューは、プロトコルから始まります。国立衛生研究所(National Institutes of Health, NIH)によると、プロトコルはレビューの道筋を示す地図であり、そのレビューの目的、方法、そして一番関心を寄せた点に関する結果を示すものです。プロトコルの目的は、方法の透明性(transparency)を高めることです。
プロトコルでは、検索用語や取捨選択の基準、分析されるデータなどの定義を行います。プロトコルは、原稿と共にジャーナルに提出しなければなりません。ほとんどのジャーナルは、システマティックレビューの著者に、PRISMA声明あるいはそれに類似したガイドラインを利用することを求めています。

PRISMA声明
 システマテイックレビューを書くならば、PRISMA声明を熟知している必要があります。PRISMA声明は27のチェック項目フローチャートから成る文書で、システマティックレビューの執筆方法やレビューに含めるべき事柄などに関し、著者の指針とすることを目的として作られたものです。
プロトコルには、以下の内容が含まれているのが理想的とされています。
  • 検索可能なデータべースおよび情報源(特に灰色文献に関するもの)
  • 検索時に利用するキーワード
  • 検索に適用される制限
  • 取捨選択のプロセス
  • 抽出されるデータ
  • 報告されるデータの要約

システマティックレビューのプロトコルを登録する
 プロトコルを書いたら、登録することをお勧めします。登録することで、他の人が同じレビューを書き始めてしまうことを防ぎます。
システマティックレビューのプロトコル・レジストリには、以下のものがあります。
  • Campbell Collaboration: 社会的介入に特化したシステマティックレビュー
  • Cochrane Collaboration: 医療介入に特化したシステマティックレビュー
  • PROSPERO : 全てのシステマティックレビュー向けのオープン・レジストリ
レジストリには、登録されたレビューを検索できるデータベースがあります。システマティックレビューを開始する前に、自分の選んだテーマで登録されたレビューがないかどうか、データベースを検索して確認してみると良いでしょう。そうすれば、努力が無駄になることもありません。

システマティックレビューに最も適した取り組み方とは?
 システマティックレビューの本質は、システマティックである(体系化されている)ということです。システマティックレビューでは、膨大な量の文献を詳細に吟味し、分析します。効率的かつ効果的に仕事を進めるためには、プロセスを明確にして順に辿っていく必要があります。NIHは、システマティックレビューを以下のような流れで進めることを推奨しています
1.   リサーチクエスチョンを考える
2.   選択基準及び除外基準を定める。
3.   研究を特定する。
4.   研究の質を評価する。
5.   データを抽出する。
6.   分析し結果を提示する。
7.   結果の解釈を行う
8.   必要に応じてレビューをアップデートする。
このプロセスに従って進め、それぞれの段階でメモを取っておくとよいでしょう。そうすれば、レビュー論文を書き進めやすくなるはずです。

システマティックレビュー論文の構成とは?
 システマティックレビュー論文では、原著論文と同じ構成を用います。通常、題名(タイトル)、抄録(アブストラクト)、序論、方法、結果、考察、参考文献が含まれます。
題名(Title):題名は、レビューのテーマを正確に反映したものでなければなりません。「システマティックレビュー」という言葉をタイトルに含め、研究論文の性質を明確に表します。
抄録(Abstract):システマティックレビューには、構成の決まった抄録があるのが普通です。背景、方法、結果、結論の各項目に沿って、短いパラグラフ(段落)で書かれます。
序論(Introduction):序論はテーマを要約し、システマティックレビューを行なった理由を説明します。レビューを行うにあたって、現存の知識に空白がある、あるいは文献に同意できないところがあるなどの理由があったはずです。また、序論では、レビューの目的や目標を述べる必要があります。
方法(Methods):方法は、システマティックレビュー論文のもっとも重要な部分です。どのような方法に沿って行われたかを、明確かつ論理的に説明しましょう。以下の項目について、詳細な考察を行う必要があります。
  • 選択基準及び除外基準
  • 研究の特定の仕方
  • 研究の選別
  • データの抽出
  • 質の評価
  • データ分析
結果(Results):結果も論理的に説明されていなければならない部分です。最初に研究結果を書き、その後で研究の範囲と特徴、研究の質について述べ、最後に、介入が結論に与える影響を考察します。
考察(Discussion):考察では、レビューで得られた主な知見を要約し、さらに研究の限界と結果の信頼性について考察していきます。最後に、レビューの長所と短所を考察し、現在の手法に対する影響について提示します。
参考文献(References):システマティックレビュー論文の参考文献には、通常、膨大な数の文献が含まれます。細心の注意を払い、漏れのないようにしましょう。効率的に文献を扱えるよう、文献管理ソフトを使用しても良いでしょう。

 エディテージインサイトに掲載されたものです。


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ねむねむのクリスマス出勤、昨日は新しいブログをつくってみた

 今日はクリスマスです。NIHもお休み。しかし特にすることもないので、職場にやってきてデスクワークをしています。


Fig.1 ちょっとさえない天気の本日のベセスダ



 昨日は完全にオフにしてみました。どうも調子がくるって今日はとても眠い…。

 完全に年末モードです。日本人研究者仲間もかなり日本に帰ってしまいました…。

 
 このブログはまぁあまりたくさんアクセスをいただいているわけではないんですが(それでも今のところ一月に10,000 PV ぐらいあり、とても感謝しています)、noteに作ったマガジン(https://note.mu/minesot/m/m6bdbdb5f79e3) はすでに 3500アクセス以上になっています。

 読んでもらうだけなら note がいいのかなぁと思いだしたところ…。

 しかしちょっといろいろ試してみたいので、昨日は WordPress で新しいブログを作ってみました。まだ記事も何もありませんけれども…。

 副業ブログっていうのをやってみたかったので、そういう実験場にしたいと思っています。テーマも何もまだ決めていませんけれども。

 いろいろのんびりしながら考え事もしたい、そんな年末です。


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2018年12月25日火曜日

医学部での留年が多いという記事について思うこと

 文春オンラインにこんな記事が出ていました。
 ▶ これが医学部大量留年の驚くべき実態だ

 医学部において留年が多く、国家試験合格率が振るわないというところがある、という事実について書かれています。

 医学部といえば、偏差値は最低でも60程度あるはずで、学力は低くないのではないかといういう人もいるかとは思います。

 私はちょっと面白いバイトをしていました。

 医学部生のチューターというバイトです。
 医学部生の皆さんの勉強の補助をする。国家試験のための塾などではなく、普段の勉強、定期試験前勉強などのサポートをするというお勉強補助。

 結構たくさんの医学部生さんをみました。
 みんな基本的にいい子たちでした。主に私学の子たち。

 ところが、これが驚くほど皆さん基礎学力がないのです。
 本当にこのレベルでセンター試験とかどうしたのというレベル。そもそも勉強の仕方が身についていないんですね。そしてべったりついてくれる教師がいないと、何を勉強すればいいのかわからない。過去問がないと何に取り組んでいいのかわからない。

 生化学、生理学、解剖学、組織学、病理学、だけでなく、数学、有機化学、英語、いろいろお教えしましたが、これは大変だ…という学生さんが多かったですね。
 サポートはがんばりましたが、留年してしまった子も結構いました。

 偏差値60というのはどういうことなんだろう。
 いまだにそこはよくわかっていません。しかし、別に裏口ではなさそう。
 浪人した子が多いとはいえ、高校での模試では点数も取れていたし、という子も多かった。

 ようは、大学における学び、の仕方に適合できない、という場合や、モチベーションが強くない、大学入試までで限界であったなどがあるのかなと思うこともありました。

 医学部教育は詰込みの部分も多く、職業訓練学校のようなところもありますので、画一的かつ効率的にすすめることも必要ですが、学生側も、大学なのだから自ら学ぶということをもっと意識できるようにならないといけないのだろうと思います。

 大学側のマネージメントの問題では、という方もいるでしょうが、実際に見た感じだと学生の努力が足りていないことがやはり多いように思います。

 医師の数を増やす必要はありますが、質の良い医師を増やすためにも大学学部教育は頑張ってもらいたいとは思います…。


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2018年12月24日月曜日

バレエ「くるみ割り人形」鑑賞、ホワイトハウス前校歌、レビュー仕事ぷんすか

 本日は日曜日、のんびりクリスマス休暇中日です。なんと4日連休なんです。
 アメリカの政府の一部は、メキシコに壁を作る予算が云々でお金がたりずシャットダウンしていますが、NIH は閉まってはいません。なので入れました。

 さて、昨晩はD.C. でバレエ「くるみ割り人形」を鑑賞してきました。
 セキュリティが厳しくて、持ち歩いていた水などすべて捨てられてしまいましたが、たくさん子どももいて人も多く、これは大変だという感じ。

 
Fig.1 くるみ割り人形

 研究者仲間の皆さんでディナーした後に行きました。とても道が混んでいました。動物園でイルミネーションがあったり、街もクリスマスモードで混んでいるんですね。


Fig.2 くるみ割り人形!

 かわいらしいくるみ割り人形も置かれていて、雰囲気よし。
 オケの生演奏ではありませんが、音響も悪くはない。

 バレエは素敵でかわいかったです。あれは体力もいるなぁ…。
 観客も素直に素晴らしいと思ったところでは拍手喝采。たくさんいる子ども達も楽しんでみているようでした。
 久々のくるみ割り人形、よかった。


Fig.3 ホワイトハウス前、クリスマスツリー

 その後、ナショナルモールのクリスマスツリーを観に行こうと、皆さんで散歩。21時を過ぎていたので残念ながらイルミネーションは切れていました…。しかしホワイトハウスを眺める…。

 と、どこかで見た顔が!なんと…高校の先輩がいらっしゃいました。
 うわーい。

 というわけで、二人で湘南高校校歌をホワイトハウス前で歌い、イヤー歌いました!そして今晩のイベントは終了。
 研究者仲間に送ってもらい帰りました。

 楽しかった。

 さて、今日はレビュー仕事の仕上げに日曜日ですが出勤。ようやく読み終わって、一通りコメントを書き、送ろう、としたところ、すでに expire していて送れないよと。
 え?締め切りはメールを確認したら24日。今はまだ23日。
 
 うーんと見ていたら、22日のメールに、もう24日までの締め切りなので、今回の仕事はキャンセルします、と書いてありました。

 意味が分からない。22日が締め切り?違う。明らかに先方の仕事の都合?システムの都合?なんだかちょっとむかつきました。こっちは締め切りぎりぎりで悪いけど、締め切り内には送ろうとして用意しているのに…なんでそうなるの。

 というわけで、今日は午後から軽く不機嫌に。
 正確には朝から不機嫌なのですが、それは反ワクチンモデル崩れの人がこんなことを論拠にワクチン接種を拒否して自分の子どもに受けさせていないという投稿をみてしまったから。

Fig.4 妄言

 陰謀論というか、もう頭が●●れちゃってるレベルなんですが、子どもがかわいそうすぎる上に、公衆衛生の観点からいってもこれは害毒としか言いようがありません。
 しかも、インスタグラムなどでも影響力がそこそこある模様。

 はぁ…困りますね。
 
 反ワクチンなどを叫ぶ人が陥りがちな思考法や誤謬、詭弁などを少しだけ図にしてまとめてみて、インスタグラムに投稿してみました(https://www.instagram.com/p/Brvp-SqnTkI/)。

 リテラシーの話、情報の入手と検討・読み解きの仕方、デマゴーグの見分け方、デマゴーグと対峙する方法なども今後考察し、まとめ、書き、提供していきたいと思います。
 そのために、カルトと戦ってきた人のものや、反知性の人とのいろいろなまともな人のやり取りを見て収集していますが、これは結構大変なことです。

 頭のおかしくなった人は変えるのは難しいので、害悪を減らす方法を考えないといけないということと、正しい情報で溢れ返させる必要がありそうです。
 さて、ちょっと考えましょう。本腰をいれて、年末年始は。


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