2016年9月6日火曜日

病理医がらみの有名なジョーク

 病理医がらみの有名なジョークを二つ。


まず一つ


Internists are doctors who know everything and do nothing.
 Surgeons are doctors who know nothing and do everything.
 Psychiatrists are doctors who know nothing and do nothing.
 And pathologists are doctors who know everything and do everything,
   … but too late.

 内科医はなんでも知ってるがなにもしない。
 外科医はなにも知らないがなんでもする。
 精神科医は何も知らず何もしない。
 病理医はなんでも知っててなんでもできるが、遅すぎる。

 病理医=解剖をする医者、というところですね。

もう一つ


 医者が連れ立って鴨撃ちに行った。

 最初に内科医が銃を構えたが、
 「私にはアレは鴨に見えるが本当に鴨だろうか。
  セカンドオピオニオンを求めたい」と撃たなかった。

 次に小児科医も銃を構えたが、
 「あの鴨は撃つには小さすぎる。
  成長するまで待とう」と撃たなかった。

 精神科医は「あの鴨は自分が鴨だと認識しているのだろうか?」
  と撃たなかった。

 そのとき藪の向こうで何かが動いた。
 外科医は迷わず撃った後で病理医に言った。
 「鴨かどうか見てきてくれ」

 外科医の単純さと、病理医が確認するという現実を表している??

2016年8月22日月曜日

医師国家試験の病理の問題

 毎年行われている医師国家試験ですが、 病理組織の写真を見せての問題も必ず何題か出題されています。

 医師国家試験の「病理」対策というのはなかなか難しいと個人的には思っています。 そもそも。病理だけに絞られた問題はほぼなく、基本的には臨床問題に「画」が組み込まれた形で出題されています。

 予備校TECOMの第110回医師国家試験総評 には「病理診断が多い。ヒントの乏しい病理診断・画像診断も多い。」 という講評があります。

  どのような問題が出るのかというと、 医師国家試験データベースさんでみてみると、 108A30109A44109D24109D41109D52のような例があります。

  これらの問題は病理の問題としてしっかりしていると思います。 画像だけであれば病理専門医試験に出て良いレベル。 ただ、臨床情報がしっかりありますので、病理の画像診断は あくまでも確認、の目的で出題されているのがわかります。
 
 しかし、110I21となってくると、かなり困難。 病理専門医レベルといってよいのではないでしょうか。

 知識問題も奮っています。108G13など、皮膚科との融合とはいえ、 なかなか難しい。 

 なんと、病理解剖関連の法規も出ます。 同上、108B52110G5など。 これも病理専門医試験にでても良いレベル。 さらには技術的な問題もでる場合があります(108B16など)。

 対策としてはどうなんでしょう。
 ●イヤーノートアトラス などの国家試験向けのアトラスなどで国家試験にでるような病理組織を押さえておくこと、
 病理アトラスである  
 ●組織病理アトラス  
 ●カラーアトラス病理組織の見方と鑑別診断 などを見ておくこと、(学部生時代の病理実習も重要ですね…) 各科の教科書にのっているような典型画像を見ておくことが重要かと思います。
 ●病理学会の公開している病理コア画像も役に立ちます。
 最近は国家試験対策になるような本も出ているようですね。  
 ●病理画像診断 これでスッキリ!   
 ●正常画像と比べてわかる 病理アトラス など しかし、いずれにせよ結構対策をたてにくく大変なようにも思います。
 
 そもそも医師国家試験を受験する段階で組織像を読む能力を問うのは ちょっとナンセンスなような気もしますが、実際には少し読めないと どうしようもない、という問題がここ数年出ているように思います。

 病理の重要さを知っておいてもらうのには効果的なのかも知れませんが、 最近の医学部生は大変ですね…。 病理の面白さを感じるというのは試験対策では厳しいですかね…。

 ちょっと、このブログでも医学部生むけの記事を考えたいなと思います。

2016年8月21日日曜日

病理医の3つのお友達

 まだ学部生だったとき、病理医には3つのお友達がある、という話を病理医の先生から聞いたことがあります。

3つのお友達とは、「顕微鏡」「書籍」「電話」。

 病理医が仕事するに当たってとても大事にする3つのことです。



まず、顕微鏡。
これは必須の道具です。

標本を顕微鏡を用いて検索し、診断する。
これが仕事である以上、顕微鏡は絶対に必要。

学生の実習につかうようなものから、
研究に使うようなものまで顕微鏡も種々ありますが、
病理診断に使う顕微鏡は光学顕微鏡では高級なレベルの
ものであることが多いです。

私が今まで使ってきた、見てきたような施設では
オリンパスのBXシリーズNIKONのエクリプスCiシリーズなどが
よく使われていました。

基本的には明視野観察といって、標本をそのまま拡大して観察する方法で
診断をすることがほとんどです。

病理医の日常のうち、半分ぐらいの時間は(日によってはもっと)
顕微鏡を用いて標本を見ているといってもいいかもしれません。

顕微鏡というと1人でのぞき込むタイプのものが一般的ですが、
病理診断をしている部署では、たいてい、ディスカッション顕微鏡という
装置が置かれています。

この装置は数人で同時にみることができるタイプの
顕微鏡なのですが、1つの標本を複数の病理医でみながら
議論(ディスカッション)ができます。

1人だけで診断できないものはたくさんありますので、
皆で見てみて診断していくのも重要ですし、
教育のためにもとても重要な装置です。
これも重要な顕微鏡。



2つ目の「書籍」。
これは病理の専門書を主に指しています。

標本をみて、病気があるかないか、病気であれば何であるか、
を診断する、さらに最近ではどのような薬が効くタイプかなんてことも
診断するのが病理医の仕事です。

診断するには、顕微鏡を用いて標本をみて、
観察したその形から病気はなにかを決めていくという作業をします。
この作業は、経験によって行われる部分も多いのですが
(ときには複数の病理医でディスカッションしながら)、

経験を積むまでも、さることながら、
経験を積んでいても専門書にあたって診断をつけていく
という作業は病理医の日常で非常に重要なことなのです。

病理医以外の医者でも、文献にあたること、
とても重要なのですが、ちょっと考えると臨床医の外来とは
違うイメージになるのかもしれません。

外来で、目の前の医者が書籍を調べだしたらどう感じる
患者さんが多いでしょうか…「ちゃんと調べてくれているんだ」、
と感じる方もおられるでしょうが、「大丈夫だろうか(この医者)」
と思うこともあるかもしれません。

十分な診断と治療が経験だけでできることもありますが、
医者も人間、その経験も限られるわけですから、
専門書をひもとくことが必要な場面が必ずあるのです。
ところが患者の目の前で調べだすと何故か不安を生じさせてしまう…。
ちょっと不思議ではあります。

しかし、これをほぼ日常的に、自然に行っていて、それを
不自然と思われないでいるのが病理医の1つの特徴です。

すぐに調べる。正しいことはなにであるか調べる。
その病気のことがどこまでわかっているのか、
わかっていないのかを調べる、などなど。

顕微鏡をのぞいて、おもむろに書籍に手を伸ばし調べ出す。
これはもう本当に日常的にみられる病理医の診断光景です。



 3つ目の「電話」。これは今ではメール、バーチャルスライドなども加わっています。

 重要なのは、お友達。
 病理医のお友達のことです。病理医にはいろいろな臓器、病気を専門にしている人がいます。

 日本の病理医はアメリカとはちょっとことなり、どの病理医も全身の病気を見ないといけない環境にいます。それこそ頭の先から足の先まで。

 そんな中でも、特に専門としている臓器があることが多く、それぞれの専門家の先生が多くおられるのです。

 そこで、診断するのが難しい標本が来たときには、
専門家に相談(これをコンサルトといっています、コンサルテーション)します。これが病理医には大切なことなのです。

 1人またはその施設の病理医で診断できないときは無理に診断しない。これは重要です。
誤診につながってしまいますから。

 専門家に相談するには電話するかメールするかして、その後、標本を持って行くまたは、送って見てもらうという形でコンサルトします。



 病理医の3つのお友達は、診断するときに大事な役割をもつことなのです。

 というわけで、病理医をしていますと書籍は揃えていくことがどうしても必要になりますし、病理医のお友達もちゃんと作っておくことが大事だなと思います…。


気が向きましたら応援クリックをお願いします!↓
にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ  

note に 医学・医療関係の記事をまとめています


病理の話題は別ブログにまとめています

研究関係の話題は別ブログにまとめています

 その他のブログ一覧はこちら
▶ その他の運営中のブログ
 
投げ銭・ご寄付などのリンク
もしよい情報などがありましたら
▶ リンク

2016年8月17日水曜日

平成28年度 病理専門医試験 を受験してのまとめ

 病理医の登竜門、病理専門医試験を、去る2016年8月6日(土)・7日(日)に、東京は大田区、東邦大学において受験してきました。

 試験問題は下書き用紙も含めてすべて回収されてしまい、一部を除いてはプレパラート標本を用いる実技試験が基本であるため、受験者にとっては試験情報も少なく、対策もいま一つ自信が持てず、その雰囲気も含め受験当日までナゾの多い試験であると思います。

受験をしてのまとめと試験対策について書きたいと思います。



○まずはともあれ受験情報



 そもそも、病理専門医試験の情報は公式には日本病理学会のホームページに載りますが、他の情報がとても少ないのが現状です。
 専門医部会報である「診断病理」に載る「合格体験記」は受験体験の情報源ではあり、過去問は病理学会ホームページから誰でもアクセスできる会報にIII型問題(解剖問題)問題文と他の模範解答のみが掲載されている、という状況です。

● 病理学会 病理専門医試験関連情報
 http://pathology.or.jp/senmoni/board-exam-index.html
● 病理学会 診断病理より体験記(掲載例)
 http://pathology.or.jp/senmoni/pdf/bukaiho_1110.pdf
● 病理学会 会報
 http://pathology.or.jp/side/bulletin.html
 試験報告は、333号、320号、308号、296号、284号、272号、260号、
       248号、236号、225号、212号、200号、188号、178号、167号

 その他に、ネット時代とは言え受験報告を詳細にしてくださっている方も少ない中(受験者は80人前後/年なので仕方がありませんが…)、非常によくまとまっている以下のブログ記事を参考にさせてもらいました。

● ブログ「病理内視鏡医の育つまで」
 


○平成28年度試験を受けてみてわかった試験概要



 病理専門医試験は2日間にわたって実施され、I~III型問題というセクションに分かれています。
ちなみに、使用できる言語は今年度から「日本語または英語、必要に応じてドイツ語またはラテン語」と書かれており、略語の使用は避けることとの注意もされています(昨年度までは日本語であったそうです)。

● I型問題
 写真集と問題集、解答用紙が配布され、主として病理診断、ときに関連する知識問題を答える「組織病理」問題と、染色法などの技術や、解剖・環境関連の法規知識を○×形式で問う知識問題20問からなります。
 この試験、今年度はIII型問題の後に70分間で行われました。このセクションの受験中にIII型試験問題が採点されています。

● II型問題
 プレパラート標本を実際に検鏡して解答する形式の問題。主として外科切除材料が出題されています。学生用顕微鏡を用い、実習室で行いました。配布される物はIIa、IIb問題では問題集、解答用紙、プレパラートセット(マッペ上に並べられており、1人1マッペ)。
IIc問題は2分30秒ごとに隣の受験生へ一枚ガラスののったマッペを回していく(IIc-6のみiPad Proによるバーチャルスライド問題) 形式です。
 IIcの特徴としてIIaやIIbとの違いは、端的に言うと数を用意できない標本であること(小さな生検、細胞診、迅速標本など)で、解答する側としては見直しが出来ず時間内に答えていく必要があるという点です。隣に回す10秒前に一回、回すときに一回タイマーが鳴らされます。

● III型問題+面接
 剖検問題です。配布されるものは問題用紙、写真集、解答用紙3枚、下書き用紙1枚、症例マッペ1セット(標本はすべてHEの11枚でした)。
 臨床経過を含む症例が呈示され、問いに答える形式で150分間。
 大問3題程度が出されますが、1問目は「剖検報告書の作成」、3問目は「フローチャートの作成」が定番のようです。
 面接はI型問題終了後に1人ずつ順番に呼ばれますが、他の受験生との接触や参考資料・携帯電話等から隔離された状態で呼ばれるまで待たなければなりません。面接官は2人。時間は1人10分です。剖検問題の採点を元に、どのぐらい理解できているかを確認されます。フォローによって理解を促すというスタンスとの話。

 すべての型に共通して、配布標本は基本的にはHE標本のみが呈示されます(細胞診はPapanicolaou染色、特殊染色や免疫染色は写真集に入れられていました)。
 


○いわゆる受験体験記



 時系列に沿って受験体験記を書きたいと思います。
 かなり暑い日でした。受験の手引きには「クールビズを基調とした」格好で受験を、と書かれていましたが、面接試験もあり、どこまでラフにしてよいのかわからなかった私は、スーツ持参。実際にはスーツ姿の方は少数派で、シャツにスラックスに準じた服装の方が多い。
 受付は11時からでしたが、15分前には開始してくださっていたのでスムーズに控え室に入れました。受付時に受験番号の書かれたラベルの貼られたジップロックが一枚渡されます。これに手荷物をいれて移動するという厳密な方法。
 控え室は講義室のようなところで、ここが待機場所となり、その他にI型試験(顕微鏡を用いませんので)を受験します。受験生はもくもくと参考書で最終確認をしていました。私は同僚同期の先生と雑談し、試験に何がでるかなど予想して過ごしていました(スーツ・昼食持参のため荷物がかさばり参考書などは持ち込みませんでした)
 待機時間は11時~12時まで。その間に控え室で昼食。

 12時、まずは試験委員長の先生方からの挨拶がありました。
 厳密な試験でありながら、合格者はきちっと出したい、という少しアットホームというか気を楽にしてくださるような挨拶が実施委員長、医科・歯科それぞれの実施委員長からありました。また、試験委員会で問題は何度も推敲を重ねた、自信のあるものであると述べられていました(実際、よく練られていますし、これを作るのは大変だなと思います)。
 試験に持ち込みが許されている、筆記用具、目薬などを、配布されたジップロックに入れ、「糖分の含まれていない、炭酸ではない」お茶・水の入ったペットボトル1本と一緒に手元に残して、手荷物は荷物置き場に移動させるように指示があります。
 
 若干緊張しつつ、まずは顕微鏡のある実習室へ移動。
 III型問題から受験は始まります。
 部屋につくと、オリンパスCX30がずらっと並んでいます。装着されている対物レンズは×4、×10、×20、×40。隣の人との間には仕切り版。机の上には11枚のガラスののったマッペ一枚と、顕微鏡調整用のサンプルスライド一枚を入れたサンプルケース。
 自分の受験番号の書かれた席に着きます。試験委員の先生が結構多く、会場内を歩き回っています。複数枚のスクリーンにデジタル時計が表示されていました。
 全員揃ったところで、問題集、解答用紙3枚、下書き用紙1枚、写真集が配布されます。問題用紙の表紙には注意事項。 
 手元のサンプルスライドを用いて顕微鏡のチェックをするように指示があります。
 顕微鏡の高さ調整、席の高さ調整が許され、顕微鏡が低い人にはカタログ本による台座が提供されます。

 試験開始までしばし待ち。マッペが見えている…マクロでは、脳に転移病巣と思われる病変があること、転移巣のヘマトが目立つので、N/C比が高そう、リンパ腫か…小細胞癌の転移か…うーんなどともうすぐ始まる試験なのに少し妄想。
 時間とともに試験開始です。今年はおそらく(あまり自信なし)…

 主病変
  1. 肺小細胞癌、右S6原発、化学療法後、cT3N3M0
   a. 既往生検: 肺生検:クロモグラニンA陽性(写真)、細胞診陽性
   b. 原発巣残存
   c. 肝臓転移(び漫性, 3200g)
   d. 大脳多発転移
   e. リンパ節転移(写真)
   f. SIADH(原発巣でのRT-PCRでADH発現を証明)
   g. 血球貪食症候群
  2. 肺出血+鬱血
 副病変
  1. サイトメガロウイルス感染(副腎)
  2. 食道カンジダ症
  3. 陳旧性心筋梗塞
  4. 糖尿病
   a. 糖尿病性腎症
   b. 膵臓ランゲルハンス氏島の硝子化
  5. 動脈硬化症
   a. 大動脈粥状硬化
   b. 冠動脈の高度な硬化
   c. 良性腎硬化症
  6. 膵管内異形成(low grade PanIN)
  7. 脾鬱血(180g)
  8. 骨粗鬆症

…といった感じの症例からの問題でした。
 模範解答が公開されたら全然違う、とか書き方がいかんとかいろいろあるとは思いますが…もっと考えれば良かったのかも知れませんが、この程度を書くぐらいしか時間がありません。下書き用紙には読みながら所見を並べるだけで、推敲して清書するという余裕がありませんでした。フローチャートは書く練習をしておいてよかった、あと、定規を持ち込んでおいてよかった。
 まず臨床情報を読んでいきますが、これは現病歴、治療歴、ときて最後に検査値一覧。写真集は、肉眼写真と最後にRT-PCRのバンド写真。写真集はB5版の横綴じ、1頁に4枚または2枚の写真があり、組織病理アトラスより画像は大きいです。非常に画質が良くちょっとうっとり。
 それらを読み終わってからガラスを見出しました。音から判断するに、はじめにガラスを一通り見る派の人も結構いたように思います。すべてHE。
 解答用紙は罫線付きが問題1と2用、フローチャート用は白紙のものです。
 時間配分が難しいですが、ぎりぎり終わるぐらいでありました。人によっては余ったり、間に合わなかったりしたかもしれません(アタリマエか)。

 結構ぐったりした状態でIII型試験終了、再び待機室へ移動。この後も帰る直前まで私物をとることは出来ません。参考書も見られません。
 I型問題に入ります。こちらは問題用紙、解答用紙と写真集が配布されます。写真集はIII型問題と同様で、写真はとても綺麗。問題用紙の最後のページは○×問20題です。
 問題文は2行(実質1行)程度。「問1 ●●代男性。胃切除術。病理診断。」のようなシンプルな設問が並んでいます(写真集と合体させてしまっても良いぐらいです)。
 試験内容は標準的で良心的であったと思います。時間も適正、十分に解ける時間です。
 ただ、○×問題に新作問題がたくさん出ていて戸惑う。過去問対策だけではここはアウトでした…。
 
 さて、今年はこの後面接試験でしたが…待ち時間があります。早い順番の人はすぐに帰れるのですが…私は残念ながらかなり後ろの方。1時間以上、何もすることなく、何もできず待つだけ、ここが一番苦しいところでした。
 面接では解剖例についてその採点答案のコピーをもった2人の面接官に質問をされます。私は結構突っ込まれてしまいましたのでおたおた…。
 これで1日目が終わり。お腹が減って泣きそうでした。

 2日目はII型問題だけです。IIaとIIbは解剖例同様にマッペがおいてあり、配布されるものは問題集と解答用紙。標本は綺麗でした。内容は、結構難しく感じました。
 IIcは2分30秒ごとに隣へ標本を回していきます。iPad Proと「おやすみ」カード二枚もあります(「おやすみ」カードにイラストが描かれており、唯一の癒やしでした)。
IIcの細胞診については、見るべきところにマーカーで印がつけられており、消さないようにとの注意がありました。iPad Pro問題は胆管断端の迅速検体の陽性陰性の確認という問題でした。
 II型試験はグループ分けがされており、IIa~IIcの3セット受験した時点で試験は終了です。グループによっては待ち時間やアンケート記入時間があります。
 試験の最後にアンケートを記入して終了。2日目はお昼に終了します。結構ぐったりと疲れる試験でした…。


○試験対策



 さて、試験対策はどうすれば良いのかということですが…。
 I型の写真問題とII型はアトラスなどで勉強すること、各施設にある標本をみること、が主たる対策になるように思います。
受験当日、試験会場を見渡すと多くの人が手に取っていた参考書といえば…

 ●病理診断クイックリファレンス
… 「病理と臨床」増刊号。完全に、病理専門医試験の過去問集になっています。写真はとても綺麗です。解説もよくまとまっています。受験生の半数以上が持っていたように思います。付箋だらけにした猛者が多い多い…それだけ愛用されているという事でしょう。
 ●組織病理アトラス
…定番のアトラス。やはりこのアトラスを一通り見ておくことは重要だなと思いました。
写真も綺麗ですし、疾患のカバー範囲も専門医までならほぼ十分だと思います。が、いかんせん高価。この版から値段が非常に高くなっています。

この2つが多かったように思います。私もこの2冊を中心に勉強しました。
その他、私が使ってみた教材としては、

 ●病理診断アトラス(vol.1. 、 vol2.、vol.3. )
…彩の国さいたま病理診断セミナーからの病理アトラス。ほぼ専門医の過去問と予想問題です。解説はちょっとルー大柴のように横文字が混ざりまくって読みにくいところがあることと、写真が決して綺麗ではないところがありますが、組織病理アトラスでカバーされていない疾患概念や組織像を提供してくれているので勉強になります。免疫染色の原理や細胞診についてもまとまっており、一読の価値はあります。
 ●病理組織マップ&ガイド
…写真が綺麗なのと、疾患のポイントのまとめがなかなかに秀逸で、一通り目を通しましたがよかったです。
 ●各種癌取扱い規約
…アトラスの部分を眺めていっただけですが、結構勉強になりました。普段の診断で何度もみているはずですが、改めてすべての図版を見ていくと勉強になるものです。消化管でも特殊型の腫瘍やなんかはよい写真もありますし、稀少疾患も意外に多く写真があります。
 こういう機会を設けないとアトラスをすべて見ることはないかもしれませんし…。

細胞診対策としては、
 ●細胞診セルフアセスメント
…細胞診の対策はやはりしないとどうしようもありませんので、この本を一通り読みました。基本的なものはすべて押さえられているので病理専門医試験までなら十分であると思いました。
 ●必携細胞診カラー図鑑
…細胞診に特に自信がなかったので、セルフアセスメントに加えて、この1冊も一通りやりました。内容はセルフアセスメント同様で、どちらも写真は綺麗なのでどちらか1冊をしっかり読んでおけばよいようにも思いますが、やって損はなかったと思っています。このシリーズの「実践細胞診カラー図鑑」は難易度が高く(また、ちょっと旧い)、病理専門医より細胞診専門医向けかと思います(ほとんど読んでいませんが…)。

III型問題(解剖)試験対策
 ●病理と臨床 Vol.30 2012年臨時増刊号 「病理解剖マニュアル」
…この本に専門医試験2題分の問題と解説が載っています。実際の写真が載っているのはおそらくこの本だけなので雰囲気をつかむにはとてもよいように思います。
 また、関連法規や関連する社会的事項もまとまっているため一度手にとってみて損はないように思います。
 ただし、在庫が書店になさそうなので…各施設で探すとよいかもしれません。

 ●徹底攻略! 病理解剖カラー図解
…病理解剖の実務にも使える非常によくまとまった本です。特にはじめの部分の病理解剖に関する法規についてはわかりやすいです。後ろの組織像のところは彩の国さいたまの病理診断アトラスシリーズ同様にわかりやすい症例が載っており、これも役に立ちます。

 その他には、前記の病理学会会報の過去問を読み、模範解答を写し書くということをしました。試験対策と割り切って、試験に適応した剖検報告書を書けるようになっておくためです。また、フローチャートは結構点数も高いと聞いていましたので、これも書く練習をしました。複数年分やっておくと雰囲気がつかめるように思います。

…というような感じで、主としてペーパーワーキングで勉強しました。
 実際にストック症例などをみせていただく機会があるのであれば、是非見るべきだと思います。あとは日常診断をしっかりしておくこと、典型例は自分でストックしておくことも有用だろうと思います(直前の対策ではなく日常業務が大切ということですね…)。II型問題の過去問や、研修要綱にでている疾患で、見たことがないものは確認をしておくべきであると思います。超稀少症例でも、典型的なものは出題されることがありますし。
 全体として知識問題ではなく実践的な診断、が主体の試験であることはわかるように思いますが、II型問題に入ってくる知識問題については、過去問を見ていると主として「免疫染色」と「組み替え遺伝子」であることがわかります。今年はバーキットリンパ腫の写真とFISHをみせて「cMyc」を答えさせる問題や、胸腺腫瘍の鑑別診断に必要なマーカーなどが出題されました。
 I型問題は法令をチェックしたり技術論のところをさらったりするのがいいとは思いますが、実際には私はあまり対策しないで痛い目にあいました…。過去問だけではなくて、ホルマリンなどの安全衛生や解剖の法規については学習しておくのがよいと思われます。


●順番は前後しますが…受験申請と受験資格について…



 書類を揃えるのはとても大変です。受験予定の方は、早め早めに準備されることを心よりおすすめ申し上げます。
 論文や学会発表は一朝一夕には行きませんので早めに済ませておくべきです。また、講習会類も早めに受けておくことが大事です。直前でどたばたになる方がやはり結構多いようなので。
 解剖例と迅速症例についてもファイリングをしっかりし、報告書ができあがる度に、上級医のサインをもらっておくこと。まとめてもらいに行くような事をすると、私のように迷惑この上ないうえに、エラーが生じてどたばたになることがあります。

 解剖例の注意事項。初期研修2年間に行った解剖はカウントできません。初期研修が終わってからの解剖だけが使えますので注意してください。

 解剖報告書・迅速報告書は、原案作成またはfirst が自分であることが明示できるような書式であることを確認し、もしそれが難しいなら、firstが自分であることを一緒にサインしてもらいましょう。私の所属施設では、サインアウト者、原案者の順番で名前が表示されてしまう形式であったため、受験資格審査で差し戻しの上、確認を要しました。結構大変なので、あらかじめ注意しておくのがよいと思います。

 そして何よりも、日常業務をしっかり行い、施設ででてきた典型例や稀少例はしっかり見させてもらうことが重要です。
 自分でみたことがあるものと、書籍で勉強するのとでは、全く違います。見たことがあるものは自分の実になりやすいですから…。



●合格通知…



 正式な合格通知は8月16日(試験9日後)に書留で届けられました。
 いろいろ反省点はあるものの(点数が戻ってくるため自分の弱い分野が丸わかり)、まぁまぁの得点で、合格できて一安心。ここから病理医として改めてスタートです。

 試験勉強はやはりやってみるものですね。こういう機会がないと積極的にかつ網羅的なブラッシュアップというのはなかなか出来ません。試験も意外に面白いものでした。まだまだまだまだだなぁと痛感しましたが、世の中には見たことのない疾患がまだまだあるんだと思うと、向学心も湧くというものです。

 簡単ではありますが専門医試験についてまとめてみました。今後病理専門医試験を受ける方に少しでもお役に立てば幸いです。 

2016年8月16日火曜日

病理医のブログ

 病理医というのは、病理診断をする医者です。

 おいおい病理医とはなんぞやなど病理医の紹介を書いていこうと思いますが、
 一般の方の前に現れる人種ではないためあまり知られていないと思います。

 この記事では、病理医の先生の書かれている面白いブログをいくつか紹介したいと思います。




● どどたん JK のWAKWAK 病理診断
  お友達病理医のブログ。病理医むけ情報が中心。
  やっつけ方・三流病理医シリーズなど、実務に迷う若い人向けの
  記事が特に秀逸、とてもよい。

● 病理医ぱそ太郎の病理と日常
  病理医ぱそ太郎さんのブログ。病理医に関する記事が豊富。
  書籍紹介がとてもよい。資産運用の話もあり。

感染症の病理学的考え方
 感染症と病理の話題が多くていつもお世話になっています。
 先生の勉強されたこと、考えられたことなどがまとめられています。

ヤンデル先生の白熱病理検査室
 のりのりのヤンデル先生のブログ、ツイッターものりのりで、
 読み応え抜群。楽しませていただいています。

やんばる病理医ブログ
 勉強になることを書いてくださっているのでとても助かっています。

病理内視鏡医の育つまで
 病理専門医の話題、人生についてなど楽しく読ませていただいています。

胃生検の小部屋
 とても勉強になるブログです。

こんな気持ちでいられたら
 病理医について、人生についてなど楽しく読ませていただいています。

 羅列しただけになってしまいましたが、病理の先生のブログ、結構面白いのです。病理医には個性的、才能豊かな方も多く、いつも感心しきりです。

 私もがんばらないとなー。

気が向きましたらクリックをお願いします!↓
にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ  

病理の話題は別ブログにまとめています
▶ 病理医研究者のぼちぼち日記

投げ銭サービス Ofuse
もし投げ銭してもよければ!