2016年8月21日日曜日

病理医の3つのお友達

 まだ学部生だったとき、病理医には3つのお友達がある、という話を病理医の先生から聞いたことがあります。

3つのお友達とは、「顕微鏡」「書籍」「電話」。

 病理医が仕事するに当たってとても大事にする3つのことです。



まず、顕微鏡。
これは必須の道具です。

標本を顕微鏡を用いて検索し、診断する。
これが仕事である以上、顕微鏡は絶対に必要。

学生の実習につかうようなものから、
研究に使うようなものまで顕微鏡も種々ありますが、
病理診断に使う顕微鏡は光学顕微鏡では高級なレベルの
ものであることが多いです。

私が今まで使ってきた、見てきたような施設では
オリンパスのBXシリーズNIKONのエクリプスCiシリーズなどが
よく使われていました。

基本的には明視野観察といって、標本をそのまま拡大して観察する方法で
診断をすることがほとんどです。

病理医の日常のうち、半分ぐらいの時間は(日によってはもっと)
顕微鏡を用いて標本を見ているといってもいいかもしれません。

顕微鏡というと1人でのぞき込むタイプのものが一般的ですが、
病理診断をしている部署では、たいてい、ディスカッション顕微鏡という
装置が置かれています。

この装置は数人で同時にみることができるタイプの
顕微鏡なのですが、1つの標本を複数の病理医でみながら
議論(ディスカッション)ができます。

1人だけで診断できないものはたくさんありますので、
皆で見てみて診断していくのも重要ですし、
教育のためにもとても重要な装置です。
これも重要な顕微鏡。



2つ目の「書籍」。
これは病理の専門書を主に指しています。

標本をみて、病気があるかないか、病気であれば何であるか、
を診断する、さらに最近ではどのような薬が効くタイプかなんてことも
診断するのが病理医の仕事です。

診断するには、顕微鏡を用いて標本をみて、
観察したその形から病気はなにかを決めていくという作業をします。
この作業は、経験によって行われる部分も多いのですが
(ときには複数の病理医でディスカッションしながら)、

経験を積むまでも、さることながら、
経験を積んでいても専門書にあたって診断をつけていく
という作業は病理医の日常で非常に重要なことなのです。

病理医以外の医者でも、文献にあたること、
とても重要なのですが、ちょっと考えると臨床医の外来とは
違うイメージになるのかもしれません。

外来で、目の前の医者が書籍を調べだしたらどう感じる
患者さんが多いでしょうか…「ちゃんと調べてくれているんだ」、
と感じる方もおられるでしょうが、「大丈夫だろうか(この医者)」
と思うこともあるかもしれません。

十分な診断と治療が経験だけでできることもありますが、
医者も人間、その経験も限られるわけですから、
専門書をひもとくことが必要な場面が必ずあるのです。
ところが患者の目の前で調べだすと何故か不安を生じさせてしまう…。
ちょっと不思議ではあります。

しかし、これをほぼ日常的に、自然に行っていて、それを
不自然と思われないでいるのが病理医の1つの特徴です。

すぐに調べる。正しいことはなにであるか調べる。
その病気のことがどこまでわかっているのか、
わかっていないのかを調べる、などなど。

顕微鏡をのぞいて、おもむろに書籍に手を伸ばし調べ出す。
これはもう本当に日常的にみられる病理医の診断光景です。



 3つ目の「電話」。これは今ではメール、バーチャルスライドなども加わっています。

 重要なのは、お友達。
 病理医のお友達のことです。病理医にはいろいろな臓器、病気を専門にしている人がいます。

 日本の病理医はアメリカとはちょっとことなり、どの病理医も全身の病気を見ないといけない環境にいます。それこそ頭の先から足の先まで。

 そんな中でも、特に専門としている臓器があることが多く、それぞれの専門家の先生が多くおられるのです。

 そこで、診断するのが難しい標本が来たときには、
専門家に相談(これをコンサルトといっています、コンサルテーション)します。これが病理医には大切なことなのです。

 1人またはその施設の病理医で診断できないときは無理に診断しない。これは重要です。
誤診につながってしまいますから。

 専門家に相談するには電話するかメールするかして、その後、標本を持って行くまたは、送って見てもらうという形でコンサルトします。



 病理医の3つのお友達は、診断するときに大事な役割をもつことなのです。

 というわけで、病理医をしていますと書籍は揃えていくことがどうしても必要になりますし、病理医のお友達もちゃんと作っておくことが大事だなと思います…。

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