2019年2月6日水曜日

朝日新聞配信の子宮頸癌の記事、Yahoo!ニュース配信では一部を削除

 朝日新聞デジタル配信で Yahoo! ニュースにこのようなニュースがでました。


子宮頸癌は増えている…





 ▶ 子宮頸がんの患者増加 治りにくいタイプ、若者に広がる

 記事は、大阪大学の産婦人科学講師、上田豊先生達のグループが大阪府がん登録データを使い手分析したものを紹介し、コメントを得ている。

 この Yahoo! ニュースの記事の中では、子宮頸癌の増加がみられ、理由ははっきりとしないということと、

子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)が原因となることが多く、性交渉によって感染する。なかでも「18型」というタイプのウイルスが主な原因となる「腺がん」は見つかりにくく、治りにくいとされるが、30代以下の若年層で増えていた。

と、子宮頸癌において最もリスクの高いハイリスクタイプ(特に 16型と18型)のうちの18型が引き起こす腺癌についても触れている。
 ここまで書いているのに、予防法であるワクチンについてはなぜか触れられず、最後は治療に関する短い一文でしめている。

 ところが、この元になった記事を朝日新聞のサイトで検索すると、

後藤一也記者の署名記事となっており、以下の文が最後にある。

 上田さんは「全国的にも同じ傾向だと考えている。検診のほか、ワクチンを打てる環境になったら接種するなどして、早期に発見、予防することが重要」と話す。ワクチンは接種後の健康被害の訴えが相次ぎ、厚生労働省は13年から積極的な接種の勧奨を中止している。
 国立がん研究センターの統計によると、子宮頸がんは毎年約1万人が新たに診断され、2500人以上が亡くなっている。論文は(http://cancerres.aacrjournals.org/content/early/2019/01/11/0008-5472.CAN-18-3109別ウインドウで開きます)で読める。

 ここでは、「ワクチン」をうてば「予防」できることが書かれており、「早期に発見」しかできない検診だけではなく総合的な推奨が述べられている。
 また、ワクチンの接種後の経緯も簡単に書いてある。

 さらに、がんセンター統計からの死者数もあり、原典へのリンクも示されている。

 これはどうしたことなのか。
 Yahoo! に配信して多数の目に見える場合になにか都合がわるいと考えたのか。自分のサイトにももちろん訪問者はいるだろうし…。

 同時に有料記事も配信されている。
 
 こちらはどうなっているのだろうか…。


最近のワクチンの報道は


 朝日新聞は昨年(2018年)8月に、次のような記事も配信している。

 この中で、北里生命科学研究所特任教授 中山哲夫先生の発言として、

子宮頸(けい)がん予防の効果と副反応をめぐり論争になったHPVワクチンは、今となってみると導入を急ぎすぎたと思います。最初に「強い痛みが出ることがある」といった事前説明が不十分なまま効果を強調しすぎました

 を紹介している。しかし、地の文に解説はない。

 そもそもメディアとして報じた副反応は「強い痛みが出ることがある」であったか
 違うでしょう、麻痺、寝たきり、不随、そういったことを散々センセーショナルに取り上げ、その後、さまざまな検討、名古屋スタディなどで、これらの因果関係は明確ではないとされた、そういう「症状」やその後の経過のことに触れていませんね。

 こういうものは、過去に報道したものをどう解説するのかも重要でしょう。
 言い換えて逃げていると言われても仕方がない扱いです。

 その後、この記事では国際医療福祉大学教授 矢野晴美先生の言葉として、

HPVワクチンは世界保健機関(WHO)からも勧告されていますし、早く勧奨を再開すべきです。ただ、子宮頸がん検診の重要性や性感染症の予防法も同時に教える必要があるでしょう。

 を取り上げている。これ自体はとても普通のことですね。
 ぜひ、報道検証という形で、今までに報じた HPVV の副反応、そしてそれらが後にどう検証され、今はどういう扱いになっているのか、社会の木鐸・公器として検証してみられることをお勧めしたいと考えますが、いかがでしょうかね。

 ちょっと不思議な削られたニュースを発見しました。

 報道しない自由も、編集権も大いに行使されればいいと思いますが、読む側にも検証する自由があり、メディアが政権を監視するがごとく、国民はメディアを監視しますよ

 とにかく、公平公正に近づけるよう、客観的報道ができるよう、人々の幸せに資する報道ができるよう、変わっていかれることを期待しています。


関連する記事を書いています
 ▶ ごく簡単な「ヒトパピローマウイルスワクチン」(HPVV) の話 その1
 ▶ HPVV についての WHO 研究所の声明


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