2019年11月18日月曜日

【書籍紹介】AI vs. 教科書が読めない子どもたち

 ちょっと買ったままになっていた書籍を読みました。とても良かったので紹介します。



 【書名】AI vs. 教科書が読めない子どもたち
 【著者】新井紀子
 【出版社】東洋経済新報社

 
 本書はたくさんの受賞もしており、ベストセラーであることから目にされた方も多いかと思います。ビジネス書大賞2019 大賞、第27回 山本七平賞などたくさん受賞されてますね。
 
 本書の著者は、国立情報学研究所教授、同社会共有知研究センター長の新井紀子氏で、東大受験を突破するロボットをつくれるかという試みである「東ロボくん」プロジェクトの責任者です。

 この本のテーマは、AIとはどういったものであり現状どういった状況にあり、将来人の仕事を代替するようになるのか、というところ、代替するようになった場合にはそれによって奪われる仕事はどういったもので、奪われない仕事はどういったものなのか、というところ、そして、仕事を奪われた人間がAIに代替されないためにつける仕事はどういったものなのだろうかというところなどを書いています。

 「教科書が読めない子どもたち」がどう関係してくるかというと、読解力というものについて、AIに人間が優る事項の一つとしてこの本では取り上げようとしていますが、実は読解力が非常に乏しい人が非常に多いという事を明らかにしたという研究もこの本で触れているのです。

 つまり、読解力が足りていない人が多く、そういった人はAIによって仕事を奪われたのちには、AIより優れた仕事が実はできないのではないか、というところにつながるわけですね。そのあたりのことが非常に丁寧に書かれています。

 と、先にネタばらしをしてしまいましたが、本書は読みやすい書き口でわかりやすく書かれています。



 この続編にあたる、AIに負けない子どもを育てる も出ています。




 【リンク】楽天ブックス 楽天kobo Amazon Kindle
      7net honto e-hon 紀伊國屋書店 図書館

 そしてまた、最近ベストセラ-になっている、ケーキの切れない非行少年たち は非行少年たちには隠れた障害や文章読解のできない人がかなり混じっているということを明らかにした本ですが、どちらも読解力などの基礎学力の問題が実は身近に非常に広く広がっており、学校教育でカバーしていると私たちが思い込んでいただけで、実際にはカバーされていないという現実を突きつけているように思います。



 そのような現在の教育の体制側を含む問題や、これまで気付いて(気づかれていなかった)潜在的に存在している多くの人が抱えている読解力などの問題をいろいろ考えさせられる一冊でした。

 





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2019年11月16日土曜日

はじめてのニューヨーク

 ここの所、更新頻度が下がっているブログです…事務仕事や原稿仕事も滞っており本当に申し訳ない限り。健康維持と時間調整に失敗しております…。

 さて、とても寒くなったベセスダです。ここ数日最低気温は-4℃ぐらいまで下がります、冬ですね。月曜日はベテランズデーといって、第一次世界大戦終戦記念日でお休みでした。

 この3連休を利用して溜まった仕事…ではなく、ポスドク仲間と連れ立ってニューヨークに行ってきました。バスで4時間の道のり。

 楽しい旅行でしたが、集団行動苦手のため、一人分離していろいろ見て回りました。

 まず、自由の女神像へフェリーで行きました。

Fig.1 自由の女神像

 外は結構寒かったですが、大きな像のまわりを散歩して、土台の部分まで中に入って登ってみました。大きな像です。
 その後、またフェリーでもどって、夕方は、9.11メモリアルへ。

Fig.2 9.11メモリアル

 元のツインタワーが立っていたところは水のモニュメントになっており、その隣には新しいタワービルが建っているんですね。メモリアル記念館もみてきました。
 一日目はこれで終わり。とても寒かったですが、なかなか充実。

 二日目はポスドク仲間と別れて、一人で散策。
 まずはメトロポリタンミュージアム。

Fig.3 メトロポリタンミュージアム

 すごくたくさん展示物があり、充実した美術館でした。のんびり一人で回り、中でコーヒーをのんでゆっくり。外は寒いですからね。その後、歩いてセントラルパーク、トランプタワー、ロックフェラーセンターを見て、さらに紀伊国屋書店へ寄りました。

 その次は、ニューヨーク公共図書館。

Fig.4 ニューヨーク公共図書館

 立派な図書館でした。中の閲覧室などもとても荘厳。 
 日本にもこんな図書館ほしいなぁ。


Fig.5 タイムズスクエア

 そして夕方はタイムズスクエアに行ってみました。人が多い!東京の繁華街同様のごった返しでしたが、きれいでした。

 というわけで、駆け足ニューヨーク旅行でしたが、初めていってみてなかなか楽しかったです。都会ですね。東京よりちょっと汚いかな。ワシントンD.C. ともまた全く雰囲気は違いました。

 またいつか行きたいなー。









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2019年11月8日金曜日

「血液クレンジング」をめぐる動きについての簡単なまとめ





 「血液クレンジング」がここ数週間ちょっとした話題になっています。

 血液クレンジングとは、「末梢静脈血を採取して容器に入れ、その血液の入った容器内に酸素・オゾン・オキシドールなどを混ぜた後に、この血液を静脈から(点滴のようにして)体内へ戻すという「行為」」(のちにリンクを張る BuzzFeed の記事より)で、まぁ簡単に言うと、自由診療で行われているトンデモ・インチキ医療です。

 この「治療」の何が問題か、ということは以下にリンクする記事などを読んでいただきたいと思いますが、根拠のないトンデモ医療であって効果は見込めないこと、健康被害も懸念されること、これらが自由診療というかたちでなされており規制されていないこと、広告規制もうまくいっていなさそうな(ステマなどが横行している)こと、などですね。

 トンデモ医療の問題についてはまた分けて継続的に徹底的にまとめながら書いてみたいと思いますが、今回は「血液クレンジング」が唐突に話題になったということの紹介記事です。

 今回のトレンド・炎上の発端はインスタグラムなどの SNS で芸能人などが「血液クレンジング」を受けたことをアップしたことに対し、ツイッターなどのSNSで多くの方が突っ込んだことであったと思われます。実は、血液クレンジングについては7年ほど前にも一度大炎上したことがあったのが、しぶとく生き残っていたのですね…。

 今回の SNS 上での炎上を拾って BuzzFeed Japan Medical から連続で記事が出ました。

 ▶ 芸能人が拡散する「血液クレンジング」に批判殺到 
  「ニセ医学」「誇大宣伝」指摘も 2019.10.18
 ▶ 市川海老蔵、血液クレンジング報道に反論
  「やめれー」「勧めた事はない」 2019.10.19
 ▶ 「トンデモ医療であると、断言します」血液クレンジング、
  医学的に徹底検証してみた 2019.10.20
 ▶ 拡散や宣伝に協力すれば加害者
  トンデモ医療にだまされないためにできること 2019.10.20
 ▶ 「再発したら...」不安につけいる血液クレンジング 
  「主治医になんでも相談できる関係を」 2019.10.21

 実は、見ていただければわかるように、このうちの2本についてインタビューに答えています。私のところにお問い合わせをいただいたのは、ツイッター上で炎上が始まった翌日ぐらいであったと思いますが、実は以前よりトンデモ医療情報を集めている過程で、早い段階で「血液クレンジング」にも目を付けて調査を少ししていたので、インタビューには比較的すぐに答えることができました。
(参考 ▶ トンデモな健康・医療情報をもとめています
  …トンデモ医療情報を集めていますが、すでに1,000件を超える情報を得ています。)

 そしてその後、日本時間の昨日に国会でも尾辻議員より質問がなされ、BuzzFeed Japan Medical に詳報が載っています。
 ▶ 「血液クレンジング」厚労省が実態調査 
  「有効性・安全性を確認され薬事承認された製品はない」

 SNS が発端となり、一気に国会質問まで行ったわけですが、実効性のある取り締まりをしていただき、広告規制にかぎらず、自由診療で行われているトンデモ医療に規制のメスが入り、とんでもない商売をしている医療者にしっかりと引導を渡す必要があると思います。

 さて、今回のネットでの炎上、盛り上がりについて一連の流れはこの記事に詳しいですね。ネット上でどうなるか、メディアがどう追うかがわかり、ちょっと面白い。
 ▶ 血液クレンジング炎上騒動で考えるネットとメディアの話題のスパイラル

 今回は BuzzFeed Japan の独り勝ちで、たまたま取材もしていただけましたが、その後、他の媒体も後追いをしています。
 文春も二回にわたって記事を掲載しています
 ▶ 「血液クレンジング」なるニセ医療をめぐる
  健康情報の修羅を追って 2019.10.31
 ▶ 大炎上の「血液クレンジング療法」を日本の医療界は笑えるか?
  現役内科医が明かす“衝撃の事実”  2019.11.7
 また現代も
 ▶ 大炎上した「血液クレンジング」について
  医者が真剣に考えてみた 2019.10.30
 女性自身も
 ▶ 「血液クレンジングはニセ医学!」医師が論文と照合し検証
  2019.10.31
 エキサイトニュースにも
 ▶ 見城徹と秋元康が問題の「血液クレンジング」
  PRをこっそり削除していた! 幻冬舎メディアで
  “2人で一緒にやってる”と宣伝 2019.11.2
 東洋経済にも
 ▶ 血液クレンジング騒動で見えた広告規制の限界
 Business insiderにも
 ▶ 血液クレンジングに健康食品。
  飛びつく前に確かめたいこれだけの情報 2019.11.5
 国会質問については JCASTニュースも
 ▶ 「血液クレンジング」について国会で質問 厚労省が回答した内容

 その他にも記事も情報も結構でていますね。

 なかでもこの記事は是非読んでいただきたい一本です。特に、医療従事者をめざす学生さんや、医療従事者に既になっている人に…。
 ▶ 「血液クレンジング」はなぜ倫理に反しているか、医師の私の考え

 さてさて、今後どのような動きがあるか、具体的には厚労省などが広告規制で動いていくかといったことに注目しており、また、自由診療というものでの人体実験まがいの行為や商売優先の一部医療機関への規制などについても議論の端緒になってくれればと願っています。

 継続的にトンデモ医療についても取り組んでいきたいと思っています。
 
 







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今年も紅茶でインフルエンザが防げるというプロモーションがはじまりましたね

 今年も紅茶でインフルエンザが防げるというプロモーションがはじまったようです。

以前、検証した記事はこちらですが
 ▶  紅茶でインフルエンザの感染や感染拡大を防げるとのプロモーションについて

紅茶会社のプロモーションはしつこい上に、今回もテレビで例の研究員がインタビューでにこたえたりしているようです。どうしようもない…。
 本当にモラルハザードですし、リテラシーを疑いますね。

 さて、ここ数週間ブログの更新をサボっていたのですが、またぼちぼちと再開したいと思います。




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