2020年1月9日木曜日

【書籍紹介】最後の診断

 病理医が主人公の不朽の名作、残念ながら邦訳本は絶版ですが、これはおすすめ、という一冊です。




【書名】最後の診断 (新潮文庫 ヘ 4-3)
【著者】アーサー・ヘイリー
【訳者】永井 淳


 原著は kindle で読めます:
   ▶ The Final Diagnosis




内容説明より引用


すべての治療の基礎になる病理部門を牛耳る頑迷な老医師ピアスンの存在は、スリー・カウンテイズ病院の機能を著しく停滞させていた。やがて、Rhマイナスの妊婦と骨肉腫の疑いがある看護学生に対する彼の診断をめぐり重大事態がもちあがった。「ホテル」「大空港」「自動車」など、現代の巨大組織の内面に視線を向ける著者が、総合病院に展開される生と死の迫真ドラマを描写する。


病理医が主人公の名作小説



 この小説は、病理医が主人公の名作小説です。

 舞台はアメリカの病院で、様々な医療についての出来事が展開していくのですが、中心にいるのは一人のベテラン病理医ジョー・ピアスン。

 このジョー・ピアスン様々な面で問題を抱えており、病院の機能を停滞させていることが描かれます。そして若手との確執なども。
 そしてアーサー・ヘイリーのすばらしさ、人物のセリフが本当によく練られていて、人間がよく描かれています。

 病院の中でのさまざまな力関係、診断の難しさ、人間関係、そして恋愛などなど、本当によく観察検討されて描かれていきます。時代は下れどいまでもこれはどこでも通じるなぁという描写がとても多く、うならせられます。

 そして、メインとなるストーリーにおいて、症例についてピアスンは骨肉腫と診断、一方の若手コールマンは良性であると診断。紆余曲折あってピアスンが責任を取る形で骨肉腫の診断となるのですが…この展開にも病理診断の実際が反映されていて息を飲む展開です。

 1959年に書かれたとは思えない、今でもビビットに通じるテーマ。本書は病理医を主人公に据えた小説として一番の名作であると思います。

 古い本なので活字が小さく細かくちょっと読みづらいかと思います。翻訳もやや古い。原著で読むのもおすすめですし、できれば復刊してほしいですね。
 
 おすすめ度: ★★★★★



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1 件のコメント:

  1. 古本を手に入れたが老眼で読めず。
    とほほ。

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