新型コロナウイルスに関する簡単な解説とまとめ記事
※ 本記事は更新していきます。最終更新 2020.5.10
※ COVID-19 についての情報集として、新たなサイトを立ち上げました。
昨年(2019年)12月31日に武漢市が発表した原因不明の肺炎の起因ウイルスは、新しいコロナウイルスであることが中国当局によって確認され(2020年1月9日)、世界保健機関(WHO) は新型コロナウイルスに 2019-nCoV という暫定的な名前を付けました(1月10日)。2月11日には 、WHOは引き起こされる疾患の正式名称を COVID-19 とし、 ウイルスについては International Committee on Taxonomy of Viruses は、severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) を正式名称としました。
日本では1月28日には新型コロナウイルスは、感染症法に基づく「指定感染症」・検疫法の「検疫感染症」に指定する政令が閣議決定されています。
(指定感染症はここに詳しい ▶ 指定感染症とは|感染症法の解説)
ワクチンは現時点でなく、基本的には手洗いなどの一般的な感染対策(飛沫感染対策+接触感染対策)が予防策として重要です。特効薬も現時点でなく、治療はこれまでに知られているウイルス関連の肺炎に準じた治療などが行われます。
これまでの経過と、一般的なコロナウイルスに関する話をまじえての、このウイルスに関する情報をこの記事に簡単にまとめていきたいと思います。
▶ 厚労省の特設ページに様々な対策や現状 がまとまっています。
▶ 国立感染症研究所の特設ページには情報、
同じく国立感染症研究所の特設ページには情報 が豊富です。
▶ 内閣官房の特設ページ に政府施策などは載っています。
▶ WHO シチュエーションレポート、
WHOシチュエーションダッシュボード
▶ 日本感染症学会・環境感染学会 理事長名で出された文書
こういった新たな病原体による感染症の流行に対しては、正しい情報(特に公的な情報を複数)を入手し、決してパニックにならず(デマなどにあおられず)、国であっても個人であっても、できることを粛々と行うことが重要です。煽られたり焦ったり、過剰に不安に思ったりせず、デマ・流言飛語に騙されないようにし、情報に注意しつつ、できる感染対策をして、日常を過ごすことが肝要ですね。
コロナウイルスとは
コロナウイルスはウイルスゲノムとして(+)鎖の1本鎖 RNAをもつウイルスで、ヒトに感染するものが今までに 6種類 知られており、今回発見された 新型コロナウイルス SARS-CoV-2 は 7種類目ということになります。
既知の 6種類のコロナウイルスのうち、4種類は主にヒトに感染するコロナウイルスでヒトコロナウイルス(Human Coronavirus(HCoV)) と分類されており、名前はそれぞれ、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1 というものです。
これらの4種類は、いわゆる「風邪」のウイルスで、風邪の10~15%程度、流行期で35%はこれらによるものとも言われています。
▶ 国立感染症研究所のページ
これらのコロナウイルスによる感染症は、多くは軽症ですみますが、時にはインフルエンザ様の高熱などの症状がでることもありえます。ただ、基本は、風邪のウイルス、というものです。
▶ 総説としてはこれが非常に良い
Origin and evolution of pathogenic coronaviruses.
Nat Rev Microbiol, 17 (3), 181-192
SARS
さて、残りの 2種類が大きなものです。一つは、コウモリ由来と考えられる、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV、サーズと発音)です。これは 2002年に広東省で発生して、かなりの流行になったので覚えておられる方もいると思います。
▶ 国立感染症研究所のページ
▶ CDCのページ
SARS は飛沫によりヒトーヒト感染が起こること、致死率も9.6%と高かったこと(775/8,069人)などから感染すると大変であったわけです。これはその後2003年には収束しています。
▶ WHOのページ
MERS
もう一つは中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV、マーズと発音)です。
これはヒトコブラクダ(フタコブではない!)に風邪を起こすウイルスですが、ヒトにも感染します。2012年にサウジアラビアで発見され、致死率は 34.4% と報告されています。
▶ CDCのページ
MERS は韓国の病院で起こった感染がありましたが、この際に話題になったのは、非常に大量のウイルスを排出して感染を拡大させるスーパースプレッダーというヒトがいることで、1人から186人に感染が広がっています(スーパースプレッダーについては Wiki にも詳しい)。
ちなみに、この MERS-CoV は細胞に入り込むときに DPP-4 という分子を使います。そう、糖尿病治療薬のターゲットの DPP-4 ですね。なので、実験上、DPP-4 阻害薬をかませるとウイルスの感染が抑えられたりします。
ウイルス学的にコロナウイルスとは
このように、これらヒトコロナウイルス、ヒトに感染する6種類と、今回の新型コロナウイルス の他にもコロナウイルスはあり、それらは動物に感染しているため動物コロナウイルスと言います。動物に様々な疾患を起こすのです(▶ 英語版 Wikipedia が詳しい)。
コロナウイルスはいずれもウイルス学的にはプラス鎖の一本鎖RNAをゲノムとするウイルスで、大きさは 100-120nm ぐらいの球形、表面の突起(スパイクタンパクという成分)が王冠や太陽のフレアのように見えることから corona と名付けられたようです。
このスパイクタンパク質はインフルエンザの突起であるHA、NAなどとは別物です。
ウイルスの表面はエンベロープと呼ばれる脂質が覆っています。このエンベロープがあるということは、一般にアルコール消毒や界面活性剤(石鹸など)に弱いということになります。よって、コロナウイルスはアルコール消毒が可能で、石鹸などに弱いといえます。
分類学上は、コロナウイルス科オルソコロナウイルス亜科の中で、4つの属、すなわち α、β、γ、δ の 4グループに分かれ、SARS、MERS は ベータコロナウイルスということになります。今回の 新型コロナウイルスもβコロナウイルスです。
新型コロナウイルス関連の事項を時系列で
情報はWHOのサイトに詳しい
昨年(2019年)の12月31日に武漢市で原因不明の肺炎27人を発表したのが今回の流行の端緒情報でした(武漢市の衛生健康委員会の発表情報)。その後、本年1月5日には患者が59人に増加したと当局が発表し、7日には香港ではこの肺炎を疾病予防制御法の指定にしています。
9日になり、中国武漢当局によって、新型の肺炎から、新型コロナウイルスが検出されてSARS や MERS は否定されたことが明らかになりました。同日、WHOは新型コロナウイルスについて声明を発表(WHO Statement)、翌日には新型コロナウイルスの名称を 2019-nCoV と命名しています(Surveillance case definitions)。2月11日には 、WHOは引き起こされる疾患の正式名称を COVID-19 とし、 ウイルスについては International Committee on Taxonomy of Viruses は、severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) と名付けています。
このウイルスの発生源は中国武漢の水産市場との報道がなされ、1月26日には水産市場から得られたサンプルからウイルスが検出されていました。1月28日には新型コロナウイルスは、感染症法に基づく「指定感染症」・検疫法の「検疫感染症」に指定する政令が閣議決定されています。
▶ 【新型肺炎】指定感染症になるとどうなる?
Yahoo!ニュース個人 忽那賢志 医師
その後、感染は拡大し、2月13日にはタイで、16日には武漢から帰国した日本での症例が確認され(国立感染症研究所による検索)、20日には韓国、21日には台湾と米国でもそれぞれ1名の症例が確認され、その後もアメリカ、フランス、オーストラリアなどでも患者が発生し、さらに欧米諸国にも広がり、流行の中心は欧米に移っています。
WHOは 2月22日に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」(PHEIC)にあたるかどうかを専門家委員会で検討した結果、22日、23日ともにあたらないとしましたが、現地時間30日に開かれた緊急委員会で、PHEIC を宣言、そして3月11日には、WHOはパンデミックを宣言しています。
5月10日現在、全世界で 3,917,366 症例、死亡は 274,361 例であることが明らかになっています(WHOシチュエーションレポート、JHUのページとChina CDC より)。WHOのリスクアセスメントは2月28日より、世界レベルで Very High となっています。WHOのモデリングによる暫定指標も公表されており、潜伏期間中央値は5-6日、シリアルインターバルは4.8日、感染者の推定致死率は 0.3-1% とのことです。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の特徴
新型コロナウイルスについてわかっていることを簡単にまとめておきます。
このウイルスは SARS-CoV 近縁で、コウモリに感染する βコロナウイルス近縁の ベータコロナウイルス属に属するウイルスであることが分かっています(The Lancet January 24, 2020 https://doi.org/10.1016/ S0140-6736(20)30154-9)
▶ Phylogenetic Analysis Shows Novel Wuhan Coronavirus Clusters with SARS
Genbank リファレンスシークエンスを図示 |
ゲノム情報は1月には、中国当局や各国の衛生当局からWHOに提供され、GenBank(Genbank には一覧のページも)GISAIDにも公開されています(同定の過程については NEJM 論文に詳細な記述があり、Illumina と nanopore による sequencing で全配列を決定したとのこと)。
Genbank
宿主である動物は現時点では不明で、武漢の水産市場からひろがった可能性が考えられています。
感染の形態は、ヒトーヒト感染が起こるとWHOの専門家委員会は1月23日のステートメントで発表。当初その多くは家族内感染と医療従事者であったようです。感染経路は主に飛沫感染と接触感染であることがわかってきました。
また、NEJM の報告などでは、糞便中にもコロナウイルスが認められ、糞口感染もありうると考えられています。WHOやCDC、イギリスでは医療従事者は空気感染対策をとることを勧めています。
参考 ▶ 新型コロナ「エアロゾル感染を確認。要するに空気感染」は誤り。ネットで不安と誤解が拡散
基本再生産数 R0 の推定値はプレリミナリーな報告として同ステートメントでは 1.4-2.5 とのこと(Nextstrain.org によると 1.5-3.5と見積もり)。
致死率や病毒性については、報告症例の約25%が重症であるということ、死亡例はほとんどが基礎疾患を持っていたということ、致死率は2-4%程度(その後低下中(感染者数が増えているため))であること(ただし分母が重症者を主体とする報告であり、今後も流動することには注意)はWHOより発表されていますが、あらたに出たThe Lancet と NEJM の論文でその詳細が明らかになりました(次の項目でまとめます)。
感染は症状なく起こることもあり、発症者には基礎疾患がないこともあるようです。また、入院症例を検討した The Lancet のはじめの報告では、発症者は全員が肺炎を発症し、多くは熱があり、咳が75%、倦怠感・疲労が44%、一部では頭痛と下痢などが確認されています。症状は軽症から重症まであるようです。
ウイルスの生物学的特徴はまだ不明なことが多いですが、NIAID の研究者によって、ACE2 という分子がヒト細胞への感染の際の受容体となっていることが確認されています。
さらに中国科学院上海药物研究所によると、この新型コロナウイルスにコードされている Mpro 蛋白 の構造をX線解析をもちいてすでに決定したとのことです(2月5日にはPDBに公開されました)。このタンパク質の構造をもとに作用する薬をスクリーニングしたところ、30種の化合物に対してMpro蛋白の阻害活性が認められたとのことでした。12種は HIV の治療薬であるとのことであり、すでにHIV治療薬(ロピナビルとリトナビルの配合剤であるカレトラ🄬)を用いたオープンラベルの治験もスタートしており、治療にも用いられ始めています。その他、ORF1abと呼ばれるタンパクなど、いくつかのタンパクについてもすでにターゲットとなる低分子化合物の薬が検索されています。
ウイルスも分離されており、すでに改変 Vero 細胞などを用いて、薬剤のスクリーニングも行われており、抗ウイルス薬やクロロキンなどに in vitro での効果がありそうであるという論文も発表されています。
また、査読のないプレプリントという報告において、この新型コロナウイルスのスパイクタンパク質に4か所の挿入配列が見つかり、それが HIV の gp120、Gag にもみられる配列に似ているというものがありました。これについては実際に挿入部位はありますが、HIVのタンパクとの相同性のある部分はごくわずかであり、HIVと類似のタンパクがあるというわけではありません。HIVとこのウイルスは全く異なり、HIVに対する薬がここに効くということでも、HIVのような特徴、つまり免疫不全を引き起こすなどの機能、をこのウイルスが持つわけでもありません。
このプレプリントは、書き方がやや陰謀説的な部分があり著者たちが撤回しています。
ウイルスの由来については、遺伝配列は上記のようにコウモリのコロナウイルスに近縁であることがわかっています(Nextstrain.org のここにも詳しい)。一時、自然宿主はヘビではないかという意見もあったようですが、実際には、コウモリが由来である可能性が高いという論文が nature に出ました。
この ような特徴がわかってきたこともあり、さっそくワクチン開発も始まっています(新型コロナウイルスに対するワクチン開発を進めます 厚労省)。薬剤スクリーニングなども行われている状況であり、中国では抗HIV薬(SARSに効き目があった)で治験も開始、治療には実際レムデシビル、ファビピラビル、カレトラ🄬、オルベスコ🄬、クロロキンなどが投入されています。
日本でも国立国際医療研究センター病院において患者に対してHIV治療薬を使用している、と大曲医師が毎日新聞のインタビューに答えています。
新型コロナウイルスによる患者の特徴
The Lancet、NEJM、JAMA の論文などにより患者の特徴が明らかになってきています。
The Lancet 論文 Clinical features of patients infected with 2019 novel coronavirus in Wuhan, China より患者の特徴
|
・男性73%、女性27%
・年齢中央値が49.0歳 (IQR
41.0-58.0)
・基礎疾患がある人が32%
(糖尿病20%、高血圧15%、心臓血管疾患15%)
・華南海鮮市場へ曝露した人 66%
・一家族のクラスターがみられた
・肺炎は100%
・合併症としては、ARDS
29%、RNA血症15%、
急性心臓症状 12%、二次感染10%
・ICU入室は32%、死亡は15%
・血中サイトカインは IL2、IL7、IL10、GCSF、
IP10、MCP1、MIP1A、TNFα が比較的高値 |
上記 The Lancet の論文では、41症例の解析において、1/3は ARDS という重症の肺の状態を発症、6症例が死亡、5症例は急性の心臓症状がでており、4症例は人工呼吸器が必要であったと報告されています。
もう一方の論文では、潜伏期間は1週間程度、重症化までは2週間程度と見積もられています(下図)。
これらに先んじて、中国の武漢の医療機関からは肺炎の臨床画像やまとめについての資料がネット上に公表されています。
29日にはさらに、The Lancet に 2報の論文が、NEJM にも1報の論文がでました。
・男性68%、女性32%
・年齢中央値が55.5歳 (Range 21-82)
・基礎疾患がある人が51% (心血管疾患 40%、
消化器病 11%、内分泌疾患13%、悪性腫瘍1%等)
・華南海鮮市場へ曝露した人 49%
・一家族のクラスターがみられた
・症状としては発熱 83%、咳 82%、息切れ 31%、筋肉痛 11%など
・合併症としては、ARDS 17%、急性腎障害3% など
・ICU入室は23%、死亡は11%、退院 31%、入院継続が 58%
|
2月7日には JAMA に武漢で入院して治療を受けた138例の症例についての論文も公開されています。
▶ Clinical Characteristics of 138 Hospitalized Patients With 2019 Novel Coronavirus–Infected Pneumonia in Wuhan, China
WHO などによると、感染はどの年代にも起こりうることがわかっており、中国では生まれてすぐの新生児にも感染が確認されたとの報道がありました。日本での症例については2月6日に、国立国際量研究センター病院のグループが治療経過をまとめたものを発表しています。いずれも重症例ではなかったようです。
2月17日には 中国CDC から44,000例を超える症例を解析した報告が出ています。
▶ Vital Surveillances: The Epidemiological Characteristics of an Outbreak of 2019 Novel Coronavirus Diseases (COVID-19) — China, 2020
Chinese journal of Epidemiology Vital Surveillances: The Epidemiological Characteristics of an Outbreak of 2019 Novel Coronavirus Diseases (COVID-19) — China, 2020より患者の特徴
|
・中国の感染症情報システムを利用した解析
・総計 72,314例、確定例 44,672例、 疑い例 16,186例、臨床診断 10,567例、無症候 889例 ・男性51.4% ・重症度については 軽症 80.9%、中等度 13.8%、重症 4.7%、不明 0.6%
・併存疾患としては 高血圧 12.8%、糖尿病 5.3%、心血管疾患 4.2%など
・死亡数 1,023例、致死率 2.3%
・医療従事者の症例が 1,716例、5例は死亡
|
新型コロナウイルスの感染対策
対応と院内感染対策については、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターより「中国湖北省武漢市で報告されている新型コロナウイルス関連肺炎に対する対応と院内感染対策」が発表されています。
これによると、患者や疑い例については、サージカルマスクを着用、個室管理をすること、医療従事者については標準予防策・接触感染予防策・飛沫感染予防策を基本とする予防策とされています。
しかしこれらはあくまでも医療機関などでの対応時のものです。
一般の方には、十分な手洗い、人込みを避けること、症状のある人に接触しないこと、症状があるなら外出を控えること、などの一般的な感染対策が重要です。
インフルエンザのシーズンでもあり、接触情報なども大事になりますが、まずは情報に注意するとともに、パニックは起こさず健康管理を行うことが重要と考えられます。
公的情報源
公的な情報(少なくともソースが明確である情報)を優先して閲覧し、複数を確認・検討して評価するようにすることが大事と思います。
内閣官房
新型コロナウイルス関連肺炎の発生について(厚労省)
(国立感染症研究所)
国内のサーベイランス、医療体制整備 (国立感染症研究所)
▶ 日本医師会の特設ページ
▶ 新型コロナウイルス感染症
日本感染症学会 リンク集もよく全般的情報あり
▶ 新型コロナウイルス感染症に関するQ&A
日本小児科学会 お子さんへの感染等心配な方によい
▶ 妊娠中ならびに妊娠を希望される⽅へ
日本産科産婦人科感染症学会
妊娠中・授乳中の方などによい
▶ 新型コロナウイルス感染症
日本感染症学会 リンク集もよく全般的情報あり
▶ 新型コロナウイルス感染症に関するQ&A
日本小児科学会 お子さんへの感染等心配な方によい
▶ 妊娠中ならびに妊娠を希望される⽅へ
日本産科産婦人科感染症学会
妊娠中・授乳中の方などによい
▶ 各国の公的な新型コロナウイルス情報のページ
・UK
・US
参考になるサイト・記事
▶ 新型コロナウイルス どれぐらい警戒したらいいの?
感染症のスペシャリストに聞きました BuzzFeed Japan
… 岡部信彦先生へのインタビュー。非常に冷静で役に立ちます。
▶ 新型コロナ治療、最前線のトップ「国内では一人も死なせたくない」
BuzzFeed Japan
… 治療にあたっている大曲貴夫先生へのインタビュー。
情報も新しく大変に良い。
▶ How Bad Will the Coronavirus Outbreak Get?
Here Are 6 Key Factors
… NYT の記事。英語ですが非常によい。図もわかりやすい。
現時点で分かっていること Yahoo!ニュース個人 忽那賢志 医師
… 時系列でわかりやすくまとまっています
Yahoo!ニュース個人 忽那賢志 医師
… 本記事でも触れている The Lancet 論文を紹介しています。
… Yahoo!ニュース個人 忽那賢志 医師
メディカルトリビューン 岩田健太郎 医師
…1月26日時点での最新情報を踏まえ論文解説されている。
… ハフィントンポスト 1月24日
… nature 時系列に沿ってよくまとまっています。
コロナウイルスについてのわかりやすい動画付き。
… 非常によくまとまっています
▶ Wikipedia 日本版 …流動的なので情報が正確かは精査が必要ですが。
流行に関する記事も。
日本医事新報にプロフェッショナルのオピニオンが掲載されています。
関連する論文
The Lancet には臨床的な特徴についての論文も出ています |
▶ The Lancet 誌の特設ページから複数の論文にもとべます。1月24日付のLancetに論文は二報。一報は41症例の報告、もう一報は家族内での感染の解析の報告。
またNEJM、エルゼビア、Cell press も特設ページを開設しています。
Int J Infect Dis, 91, 264-266 2020 Jan 14.
J Med Virol 2020 Jan 16.
J Med Virol 2020 Jan 15
J Med Virol 2020 Jan 22
bioRχive 2020 Jan 23
JAMA Network Viewpoint January 23, 2020
2019 novel coronavirus in Wuhan, China The Lancet Jan 24
The Lancet
J. Clin. Med. 2020, 9(2), 330
NEJM January 24, 2020
NEJM January 24, 2020
NEJM January 24, 2020
Eurosurveillance January 22 2020
▶ First Case of 2019 Novel Coronavirus in the United States
NEJM January 31 2020
▶ Remdesivir and chloroquine effectively inhibit
the recently emerged novel coronavirus (2019-nCoV) in vitro
Cell Research February 4 2020
▶ Clinical characteristics and intrauterine vertical transmission
potential of COVID-19 infection in nine pregnant women:
a retrospective review of medical records
The Lancet February 12 2020
NEJM January 31 2020
▶ Remdesivir and chloroquine effectively inhibit
the recently emerged novel coronavirus (2019-nCoV) in vitro
Cell Research February 4 2020
▶ Clinical characteristics and intrauterine vertical transmission
potential of COVID-19 infection in nine pregnant women:
a retrospective review of medical records
The Lancet February 12 2020
参考になる書籍等
▶ Fields Virology (Knipe, Fields Virology)
… ウイルス学の定番書。825-858ページがコロナウイルスについて。
… ウイルスとはなにかを知る入門書として
▶ ウイルスは悪者か
… 読みやすくわかりやすいウイルス学の読み物入門書。
… 本ブログ著者の note、ウイルスについてのごく基本的な話。
新型肺炎関連の報道など
ロイター 1月20日
NHK NEWS WEB
ウォールストリートジャーナル 1月21日
読売新聞 社説 1月22日
日本経済新聞 1月22日
TBSニュース 1月22日
朝日新聞 1月22日
朝日新聞 1月22日
朝日新聞 1月22日
産経デジタル 1月22日
産経デジタル 1月22日
時事ドットコム 1月23日
時事ドットコム 1月23日
時事ドットコム 1月23日
NHK NEWS WEB 1月23日
毎日新聞 1月23日
ナショナルジオグラフィック 1月23日
ブルームバーグ 1月23日
ウォールストリート・ジャーナル 1月23日
CNN 1月23日
BBC NEWS Japan 1月23日
ロイター 1月23日
NHK NEWS WEB 1月24日
日テレ NEWS24 1月24日
AFP 1月24日
NHK NEWS WEB 1月25日
ロイター 1月25日
時事通信 1月26日
ブルームバーグ 1月26日
サイエンスポータル 1月27日
ビジネスインサイダー 1月27日
ハフィントンポスト 1月28日
時事通信 1月29日
▶ 新型コロナウイルス、多様なワクチン開発へ世界中で参入企業相次ぐ
日経バイオテク 1月29日
▶ 「どんどん亡くなる印象ない」「一見、無症状でも症状ある可能性」
新型肺炎専門医語る
毎日新聞 2月5日
▶ 新型肺炎は「COVID―19」
共同通信 2月12日
▶ There’s no evidence the new coronavirus spreads
through the air – but it’s still possible
The Conversation 2月13日
▶ ロイターのインフォグラフィックスページ
▶ 新型コロナウイルス、多様なワクチン開発へ世界中で参入企業相次ぐ
日経バイオテク 1月29日
▶ 「どんどん亡くなる印象ない」「一見、無症状でも症状ある可能性」
新型肺炎専門医語る
毎日新聞 2月5日
▶ 新型肺炎は「COVID―19」
共同通信 2月12日
▶ There’s no evidence the new coronavirus spreads
through the air – but it’s still possible
The Conversation 2月13日
▶ ロイターのインフォグラフィックスページ
デマにご注意を
SNS などを中心にデマも非常にたくさん飛び交っています。
SNS 各社も対策に乗り出したという報道もあります。
ワシントンポスト 1月27日
典型的なデマはいくつかあります。
● 新型コロナウイルスは生物兵器/人工的に作られたウイルス
● 新型コロナウイルスは急激に変異する/人がその場で倒れて死ぬ
● 中国政府の発表する数字は実際の 1/10 である
● WHO と中国は結託して状況を隠している
● 新型コロナウイルスは飛沫で感染するHIVである
● アルコールでは消毒できない
● 新型コロナウイルスは二回感染し、二回目にすぐ死ぬ
● 新型コロナウイルスの突起はインフルエンザのHA・NAと同じ
● 新型コロナウイルスは飛沫で感染するHIVである
● アルコールでは消毒できない
● 新型コロナウイルスは二回感染し、二回目にすぐ死ぬ
● 新型コロナウイルスの突起はインフルエンザのHA・NAと同じ
時事通信 1月29日
▶ その情報、信じますか? 広がる新型肺炎
▶ その情報、信じますか? 広がる新型肺炎
BuzzFeed にも一連のファクトチェック記事がでています。
“悪乗り”するために押し寄せる」は不正確。まとめサイトが拡散
▶ 「新型コロナウイルスは人類史上最凶、致死率15%」は誤り。
ネットで拡散、実際は…
▶ 「武漢から帰国した議員が検査拒否→コロナウイルスに感染」
は誤り。「殺しに行こう」の書き込みも
▶ 新型コロナウイルスは「飛沫感染するエイズウイルス」は誤り。
専門家「多くの生物から同じような配列は見つかる」
▶ 新型コロナ「エアロゾル感染を確認。要するに空気感染」は誤り。
ネットで不安と誤解が拡散
▶ 「歌舞伎町の病院で…」「成田のイオンで…」
相次ぐコロナ感染のうわさは事実無根
▶ 「新型コロナウイルスは人類史上最凶、致死率15%」は誤り。
ネットで拡散、実際は…
▶ 「武漢から帰国した議員が検査拒否→コロナウイルスに感染」
は誤り。「殺しに行こう」の書き込みも
▶ 新型コロナウイルスは「飛沫感染するエイズウイルス」は誤り。
専門家「多くの生物から同じような配列は見つかる」
▶ 新型コロナ「エアロゾル感染を確認。要するに空気感染」は誤り。
ネットで不安と誤解が拡散
▶ 「歌舞伎町の病院で…」「成田のイオンで…」
相次ぐコロナ感染のうわさは事実無根
また、感染対策の方法に関する不正確な情報も出回っています。
● 空間除菌グッズやアロマオイルがきく
→ 効きません
(大手企業の売り出しているクレ●リンなどが
売り切れているそうですが効果の実証なしです)
● 紅茶や緑茶を飲む/紅茶・緑茶うがいが効く
→ 証拠は一切ありません
● ある漢方薬がウイルスに効く
→ そういう実証データはありません
● 血液クレンジング、ビタミンCやビタミンDが効く
→ 効きません
● 空気清浄機で完全に防げる
→ 防げません
● 体温をあげれば「免疫力」があがり防げる
→ 「免疫力」も意味不明ですが、
そういう単純なことはありません。
以前にもこういった事項について記事を書いていますが、標準的な接触・飛沫感染対策が重要であり、こういった嘘に騙されないようにしてください。
情報の精査は重要です。まずは複数の公的情報をソースとして用い、根拠や発信元・発信者の詳細が不明な情報を信じないようにしましょう。SNS にも嘘が大量に流れています。真偽の確認は困難です。またセンセーショナルな動画などに飛びつかないようにしましょう。
まとめ
中国武漢から広がっている新型コロナウイルス SARS-CoV-2 による肺炎を主症状とする感染症 COVID-19 はパンデミックを引き起こしています。
感染力は麻疹などよりは低いものの、ヒトーヒト感染があり、重症例中心ではあるが報告をまとめると死亡率は0.3-1%程度と見積もられています。基礎疾患(糖尿病や高血圧)があるとリスクが高いようですが、詳細は不明です。
ウイルス学的特徴は次々に判明していますが、ワクチン・特効薬はありません。
中国をはじめ各国で対応が進んできてはいます。WHOも情報を頻繁に出しています
繰り返しになりますが、こういった新たな病原体による感染症の流行に対しては、正しい情報を入手し、決してパニックにならず、国であっても個人であっても、できることを粛々と行うことが重要です。煽られたり焦ったり、過剰に不安に思ったりせず、デマ・流言飛語に騙されないようにし、情報に注意しつつ、できる感染対策をして、日常を過ごすことが肝要ですね。
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武漢肺炎ウイルスは中国軍から来ていますか?
返信削除https://www.bannedbook.org/forum64/topic19695.html?mobile=on
細菌兵器を疑うなら、せめて実際に兵器研究された天然痘や炭疽菌の毒性を調べてから口を開け。
削除すごくよくできています。少なくともここにある情報の出処がしっかりしているし、素人でもわかりやすいです。
返信削除質問ですが自宅に入る時に着衣の埃を払ってから自宅に入るのは効果はありますか?今は頭と服の埃を玄関から離れた場所で払ってから入っていますが、気にしすぎですか?あ、マスクはもちろんつけたままで、頭から埃を落とすイメージで払っています。
very informative article about types of coronavirus
返信削除yes it is true
詳しい説明、ありがとうございます。
返信削除そして、こまめな更新、とてもうれしいです。
ただ、どこが更新されている部分なのか、わかりにくい気がします。
その辺り、記載していただけますと、ありがたいです。
情報ありがとうございます。
返信削除何度か読み返して理解に努めたいと思います。
本記事を転載したいのですが、構いませんでしょうか?
削除転載した場合、正確な情報を皆さんが知ることができますが、批判コメントを書く人も現れると思います。。。
基本再生算数については、下記の論文があります。
返信削除Analysis of the epidemic growth of the early 2019-nCoV outbreak using internationally confirmed cases
Using previously reported serial interval for 2019-nCoV, the estimated basic reproduction number is 5.7 (95% CrI, 3.4–9.2).
→感染力が今まで推定された数値の倍!
https://www.medrxiv.org/content/medrxiv/early/2020/02/09/2020.02.06.20020941.full.pdf
The Novel Coronavirus, 2019-nCoV, is Highly Contagious and More Infectious Than Initially Estimated
individuals during early epidemic double every 2.4 days, and the R0 value is likely to be between 4.7 and 6.6. We further show that quarantine and contact tracing of symptomatic individuals alone may not be effective and early, strong control measures are needed to stop transmission of the virus.
https://arxiv.org/abs/2002.03268
ご存知かと思うが、ニューロドクター乱夢随想録に最新情報を提供している。
返信削除なお、ワクチン信頼プロジェクトリーダーのLarson教授が、侮蔑的な反ワクチンという言葉を無くすことが最大の挑戦であると、去年12月のWHO主催のGlobal Vaccine Safety Summitで主張しました。
ワクチンの安全性に問題があり、ワクチン慎重派の主張は虚偽ではないと。
国際医療研究センターより
11症例
【2020.2.21「NCGM COVID-19入院患者の背景・症状・診断・治療の概要」を公開しました】
http://dcc.ncgm.go.jp/core/pdf/20200221_2.pdf?fbclid=IwAR38wcnZWiTLwpa-WQVnFl0RTOfTr9fGXKTRdbYOeBIdtE9otfq0G7sGlHE
最新情報です。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19) ―水際対策から感染蔓延期に向けて―
(2020 年 2 月 21 日現在)
一般社団法人日本感染症学会 理事長 舘田 一博 一般社団法人日本環境感染学会 理事長 吉田 正樹
http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_mizugiwa_200221.pdf?fbclid=IwAR2uJ2_IrzwlVb9ldKEsYs2mITrkayy0OlT-1UX-QnWPA6h90kgCiwfJG78
The Novel Coronavirus, 2019-nCoV, is Highly Contagious and More Infectious Than Initially Estimated
https://arxiv.org/abs/2002.03268
epidemic was doubling in size every 2.9 days interval
Analysis of the epidemic growth of the early 2019-nCoV outbreak using internationally confirmed cases
https://www.medrxiv.org/content/medrxiv/early/2020/02/09/2020.02.06.20020941.full.pdf
→各地の発生数は2-3日で倍増する!
朗報としては、
簡易検査キット「数週間で完成」 愛知医大客員教授が見通し
https://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2020021702000065.html
ロックロフ教授によると、12本の研究論文の中に感染拡大の初期に行われた研究がある。初期の研究から得た新型肺炎のR0数値は低かった。時間の推移に連れ、R0数値が2人から3人までの間に上昇した。「R0数値が6.47人や6.49人と示す論文もある」と述べた。
返信削除教授は、新型コロナウイルスの感染力はSARS(重症急性呼吸器症候群)より強いと指摘した。
→ニュースによると、クルーズ船では、R0 基本再生算数は5.5人!
スウェーデン専門家「WHOが新型コロナウイルスの感染力を過小評価
https://www.excite.co.jp/news/article/EpochTimes_51872/
新型コロナウイルスに感染した患者を調査した中国の研究者の報告で、新型ウイルスには重症急性呼吸器症候群(SARS)など類似のウイルスよりも、インフルエンザに近い特徴があることが分かった。当初の想定より容易に感染が広がる可能性があることを示唆する結果となった。
返信削除研究者らは患者18人のウイルスの量を調べた。1人は鼻と喉に中程度の量のウイルスが確認されたが、症状は全くなかった。
<ウイルスの量、無症状の患者と症状のある患者は同じ程度>
症状があった残りの17人については、症状が最初に出てから間もなくウイルスが増加し、喉より鼻に多く存在することが分かった。これはSARSよりインフルエンザに近い特徴という。
また、無症状の患者のウイルスの量は、熱などの症状のある患者と同様だったという。
米メイヨー・クリニックのウイルス・ワクチン研究者グレゴリー・ポーランド氏は、研究結果について「新型ウイルスが上気道から飛散する可能性があり、無症状の人から飛散していることを示すものだ」と述べた。
https://search.yahoo.co.jp/amp/s/jp.mobile.reuters.com/article/amp/idJPKBN20E04D%3Fusqp%3Dmq331AQNKAGYAa78qJC18MmKeQ%253D%253D
下記の情報も公開すべき。
返信削除現場からの概況:ダイアモンドプリンセス号におけるCOVID-19症例
(2020年2月19日掲載)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9410-covid-dp-01.html
私共、日本産婦人科感染症学会のコメントを引用していただきありがとうございます。ただ、リンクが2月1日の第1版ですので最新のもの(2月27日 第6版)にお差し替えをお願いします。近日中に更新予定ですが、学会事務局にご連絡の上、当学会ホームページに直接リンクを貼っていただけると助かります。
返信削除>ある漢方薬がウイルスに効く
返信削除インフルエンザの発生率減少とか、ウイルス肝炎を改善させたとか、肝炎のウイルス量を減少させたとかの研究ならありますよ。ここはコロナウイルスに効くというのがガセだという表記にした方が正確だと思います。
コロナウィルスに感染し!回復された方達には何%の方達が抗体できているのですか?
返信削除● 体温をあげれば「免疫力」があがり防げる
返信削除→ 「免疫力」も意味不明ですが、
そういう単純なことはありません。
の記述についてですが、無知蒙昧で申し訳ありませんが、
この文章からは医学的には「免疫力」(細菌・ウイルスに対する抵抗力、あるいは体内での増殖抑制・駆逐力)という概念が存在しないように受け取れるのですが、そういった解釈で問題ないのでしょうか?
あるいは(特定の商品や食品をとって)体温を上げたところで免疫力が上昇するというエビデンスはないのでわからない、ということをちょっと過剰に言っただけのことなのでしょうか?
また、体温により『免疫力』の変化がないようにも取れますが、別に冬場に薄着でいようが、時々寒くなる春の日に窓全開で裸で寝ようとも、 病気の予防という観点からいえば何の影響もないのでしょうか?
あるいは、熱帯性のインフルエンザなんかもありますが、寒さを好むウィルスなどに対しては体温保持が一般に有効でも、コロナウィルスなどの、夏にも流行るウィルスなどに対しては、体温保持や上昇の影響はない(あるいはエビデンスがないので効果不明である)ということなのでしょうか?
色々な情報に踊らされる中、「病気の時は温かくして寝ろ」「寒いときに薄着でいると風邪をひくぞ」ということを今まで常識としていた一般人としては、
医学的に本当に正しい免疫に関する知識がとても気になったので、ご質問させていただきました。
お手数ですが、できれば教えていただけると幸いです。