「血液クレンジング」がここ数週間ちょっとした話題になっています。
血液クレンジングとは、「末梢静脈血を採取して容器に入れ、その血液の入った容器内に酸素・オゾン・オキシドールなどを混ぜた後に、この血液を静脈から(点滴のようにして)体内へ戻すという「行為」」(のちにリンクを張る BuzzFeed の記事より)で、まぁ簡単に言うと、自由診療で行われているトンデモ・インチキ医療です。
この「治療」の何が問題か、ということは以下にリンクする記事などを読んでいただきたいと思いますが、根拠のないトンデモ医療であって効果は見込めないこと、健康被害も懸念されること、これらが自由診療というかたちでなされており規制されていないこと、広告規制もうまくいっていなさそうな(ステマなどが横行している)こと、などですね。
トンデモ医療の問題についてはまた分けて継続的に徹底的にまとめながら書いてみたいと思いますが、今回は「血液クレンジング」が唐突に話題になったということの紹介記事です。
今回のトレンド・炎上の発端はインスタグラムなどの SNS で芸能人などが「血液クレンジング」を受けたことをアップしたことに対し、ツイッターなどのSNSで多くの方が突っ込んだことであったと思われます。実は、血液クレンジングについては7年ほど前にも一度大炎上したことがあったのが、しぶとく生き残っていたのですね…。
今回の SNS 上での炎上を拾って BuzzFeed Japan Medical から連続で記事が出ました。
▶ 芸能人が拡散する「血液クレンジング」に批判殺到
「ニセ医学」「誇大宣伝」指摘も 2019.10.18
▶ 市川海老蔵、血液クレンジング報道に反論
「やめれー」「勧めた事はない」 2019.10.19
▶ 「トンデモ医療であると、断言します」血液クレンジング、
医学的に徹底検証してみた 2019.10.20
▶ 拡散や宣伝に協力すれば加害者
トンデモ医療にだまされないためにできること 2019.10.20
▶ 「再発したら...」不安につけいる血液クレンジング
「主治医になんでも相談できる関係を」 2019.10.21
実は、見ていただければわかるように、このうちの2本についてインタビューに答えています。私のところにお問い合わせをいただいたのは、ツイッター上で炎上が始まった翌日ぐらいであったと思いますが、実は以前よりトンデモ医療情報を集めている過程で、早い段階で「血液クレンジング」にも目を付けて調査を少ししていたので、インタビューには比較的すぐに答えることができました。
(参考 ▶ トンデモな健康・医療情報をもとめています
…トンデモ医療情報を集めていますが、すでに1,000件を超える情報を得ています。)
そしてその後、日本時間の昨日に国会でも尾辻議員より質問がなされ、BuzzFeed Japan Medical に詳報が載っています。
▶ 「血液クレンジング」厚労省が実態調査
「有効性・安全性を確認され薬事承認された製品はない」
SNS が発端となり、一気に国会質問まで行ったわけですが、実効性のある取り締まりをしていただき、広告規制にかぎらず、自由診療で行われているトンデモ医療に規制のメスが入り、とんでもない商売をしている医療者にしっかりと引導を渡す必要があると思います。
さて、今回のネットでの炎上、盛り上がりについて一連の流れはこの記事に詳しいですね。ネット上でどうなるか、メディアがどう追うかがわかり、ちょっと面白い。
▶ 血液クレンジング炎上騒動で考えるネットとメディアの話題のスパイラル
今回は BuzzFeed Japan の独り勝ちで、たまたま取材もしていただけましたが、その後、他の媒体も後追いをしています。
文春も二回にわたって記事を掲載しています
▶ 「血液クレンジング」なるニセ医療をめぐる
健康情報の修羅を追って 2019.10.31
▶ 大炎上の「血液クレンジング療法」を日本の医療界は笑えるか?
現役内科医が明かす“衝撃の事実” 2019.11.7
また現代も
▶ 大炎上した「血液クレンジング」について
医者が真剣に考えてみた 2019.10.30
女性自身も
▶ 「血液クレンジングはニセ医学!」医師が論文と照合し検証
2019.10.31
エキサイトニュースにも
▶ 見城徹と秋元康が問題の「血液クレンジング」
PRをこっそり削除していた! 幻冬舎メディアで
“2人で一緒にやってる”と宣伝 2019.11.2
東洋経済にも
▶ 血液クレンジング騒動で見えた広告規制の限界
Business insiderにも
▶ 血液クレンジングに健康食品。
飛びつく前に確かめたいこれだけの情報 2019.11.5
国会質問については JCASTニュースも
▶ 「血液クレンジング」について国会で質問 厚労省が回答した内容
その他にも記事も情報も結構でていますね。
なかでもこの記事は是非読んでいただきたい一本です。特に、医療従事者をめざす学生さんや、医療従事者に既になっている人に…。
▶ 「血液クレンジング」はなぜ倫理に反しているか、医師の私の考え
さてさて、今後どのような動きがあるか、具体的には厚労省などが広告規制で動いていくかといったことに注目しており、また、自由診療というものでの人体実験まがいの行為や商売優先の一部医療機関への規制などについても議論の端緒になってくれればと願っています。
継続的にトンデモ医療についても取り組んでいきたいと思っています。
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