2018年10月23日火曜日

【情報】東京の病院で結核に24人が集団感染、2人死亡

 ニュースより。

東京の病院で結核に24人が集団感染、2人死亡


 東京都大田区の牧田総合病院で搬送された60代男性が結核を発症し、2017年11月~2018年7月にかけて、入院患者と病院職員24人が結核に集団感染していたと、東京都が発表した (病院んぼ保健所への届出は昨年12月5日)。
 搬送された男性と、感染した60代の女性入院患者の、2人が死亡した。

 男性は入院6日後に肺結核と診断されて都内の別の病院に転院していたがその後に死亡したとのこと。男性の発症を受けて、入院患者・職員・男性の親族などの接触者 109 人を検査したところ、24人が感染しており、20~80代までの10人が発症していた。

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 結核は空気感染する感染症です。原因菌はマイコバクテリウム属の結核菌 (Mycobacterium tuberculosis) 。

Fig.1 抗酸菌染色 (チール・ネルゼン)

 上図は実際に診断した結核の標本ですが、赤い細い物体が結核菌です。

 結核は、「労咳」「肺病み」であり、時代劇でもよく出てきますね。長く「国民病」「亡国病」と恐れられていましたが、有効な抗結核薬 (抗生物質ですが、とくに結核菌は特殊であるため、特殊な組み合わせで治療します)の開発、栄養状態を含む公衆衛生的アプローチとしての予防の発達、治療の発達などによって、死亡率は100分の1以下にまで激減しました。

 しかし近年では、多剤耐性結核菌などの新しいタイプ結核などがあり、結核感染者数の減少は鈍化し、1999年には「結核緊急事態宣言」も出ています。

 2017年には日本国内では新たに16789人の結核患者の届け出があり、人口10万対の結核登録率は13.3。WHO (世界保健機関) が定義する「結核中蔓延国」に相当する状況です。
 都内だけで約 2200 人が新たに感染しており、241 人が死亡しています。

 数年間減少傾向ではあるものの、欧米諸国と比較すると感染率は高い状況にあります。結核患者の高齢化は著しく、70歳以上の新結核患者が 59.0% を占めます。

 世界規模でもまだまだ問題の感染症で、現在では、従来の治療薬が効かない「超多剤耐性」(XDR) 結核菌も蔓延しています。
 世界的には HIV 感染も問題で、HIV 感染は結核感染の危険因子です。
 
 予防方法はいろいろありますが、まずは健康診断をしっかり受けること、長く続く咳などの呼吸器症状があれば、適切に医療機関を受診することが重要です。


● 結核の情報のあるページ

 ▶ 公益財団法人 結核予防会
 ▶ 結核予防会結核研究所 疫学情報センター 
 ▶ IASR WHO Global Tuberculosis Report 2017
 ▶ 結核 - 古くて新しい病気 大塚製薬

● 関連ニュース記事
 
 ▶ 時事コム: 結核で入院患者2人死亡=24人が集団感染-東京都大田区
 ▶ 日本経済新聞: 結核の集団感染で2人死亡 東京・大田の病院 
 ▶ NHK 首都圏NEWS WEB: 大田区の病院で結核感染2人死亡

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