まず何よりもこの記事については、記者の岩永氏もインタビューを受けた正林さんも忌憚なく言いたいことを述べており、これだけの記事が出せたことは素晴らしいと評価できるように思います。
内容は読んでいただくとして、所感を。
まず、メディアと行政で責任を押し付けあうことは基本的に建設的ではありませんが、両者に言いたいことがあるのは非常によくわかります。
時にどちらがインタビューしているのかわからなくなるようなこの記事は、緊張感がありながらも聞きたいこと言いたいことをストレートに出しており、隠すところ、ふくむところがないという意味で、非常に好感がもてると思いました。
行政としては、民意に背くことを決断するのは困難な場合もあり(それが適切かどうかは今は置いておいて現実的な日本の行政としては、という意味合いで)、民意を操ることもあるメディアに対してこの問題では言いたいことがあるのはよく理解できます。
ましてや、元担当官として、偏った質問を繰り返すばかりであった(ある)メディアの相手を続けてきたのであれば、その無力感・徒労感と憤りは想像に難くありません。
一方、メディアとしても一緒くたにされ、すべての責任を押し付けられることに反発するのはわかります。また、行政の態度としては、ポピュリスティックではなく、正しい科学的内容に基づいて、断固とした方針を打ち出さない行政へまっすぐ突っ込み、責任回避や責任転嫁をするなと言いたくなるのも物言いとしても理解可能です。
話は HPVV にとどまらず MMR とそれに絡むワクチン行政の変遷、ゼロリスク信仰の国民性にも触れていますが、責任回避や役人のこざかしい物言いというのが前面にでているというよりは、確かに要因として無視できない事項に触れようとしているというふうにもとらえられると感じます。
肝の部分、
ーーHPVワクチンはどうやったら積極的勧奨を再開できると思いますか?
わかりません。ただ、国民の理解は重要です。
ここに本当にすべてが凝集されてしまっているように思います。
国民に理解させるにはどうすればいいのか、本当に理解を得たというのはどうやって評価するのか、そもそも、理解を得るまで再開しないことが多くの国民の益や国益にかなっているやり方なのか…。
ーーこの先もこう着状態が続くことをよしとするのでしょうか?
いずれにしても、このワクチンに不安を感じている多くの国民の気持ちに変化がない限り、例え積極的勧奨を再開したとしても接種する人は増えないのではないでしょうか?
このワクチンへの不信感を払拭するために役所も新しい情報をリーフレットなどで国民に伝えるようにしていますが、世論を動かすためにはマスコミなどの報道も考え直してもらわなくてはならないと思います。
マスコミや行政だけでなく、草の根でもSNSでも、各自治体なども情報をどんどん出していかないとかわらないだろうな、と改めて思うところではあります。
しかし、いずれにしても行政、メディア、そして国民、いずれも責任の所在や問題点を押し付けあい罵り合うばかりではなく、実際に HPVV の積極的勧奨接種の再開ができるように現実的に行動していくことを優先しないといけないとつくづく感じました。
非常に読みごたえがありますのでぜひご一読を。
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