2019年1月31日木曜日

医学部生にお勧めの病理の教科書

 さて、ちょっと質問をいただきました。
 医学部生にお勧めの病理の教科書はなんでしょうとのお題。

 病理学の勉強の仕方はまたじっくりとまとめて行きたいと思っていますが、今日は医学部の学部生、コメディカルの方が使う教科書としておすすめのものを挙げてみたいと思います。

 さて、医学部生が医学部で学ぶ「科目としての病理学」は、病態病理を中心とする総論を学んだ後に臓器ごとの病気をまなんでいく座学の部分と、顕微鏡でみられる組織像を学ぶ病理組織診断学の各論(座学+プレパラートやバーチャルスライドでの実習)の部分に分かれますね。

 この二つの部分+初期研修医ぐらいまでに読んだらいいかなぁというような本についていくつか教科書を紹介しますが、その前に、とっかかりになるような初学者向けの読みやすいものも紹介してみたいと思います。



まずは病理の全体像をつかむ入門・読み物・概要書から


 医学部生やコメディカルやその学生さん向けに、病理学がどんなものであるか簡単に示してくれている本をまず4冊紹介いたします。


Dr.レイの病理学講義第3版




 【書名】Dr.レイの病理学講義第3版
 【著者】高橋玲/北澤荘平
 【出版社】金芳堂
 【リンク】楽天ブックス Amazon 7net honto
      e-hon 紀伊國屋書店 図書館

 新しい一冊。とても図版がきれいで、解説文もシンプルでわかりやすい。対話形式で、病理学がどのようなものかについて解説してくれています。
 読みながら学んでいけるという本のなかでもこれはかなり良い本です。
 第1版から持っていますが、第3版でさらに読みやすくなっていました。

 医学生・薬学生・コメディカル(看護師・臨床検査技師)とその学生さんにもおすすめできる一冊です。
 

なるほどなっとく!病理学




 【書名】なるほどなっとく!病理学
 【著者】小林正伸
 【出版社】南山堂
 【リンク】楽天ブックス Amazon Kindle 7net honto 
      e-hon 紀伊國屋書店 図書館


 難解な記載はなく、かなり誠実に病態や病理について解説されている一冊。体系的とまでは言えないの物の、基本から忠実に病理総論をまずは俯瞰していく姿勢には恐れ入ります。
 内容も必要十分量であり、医学生・薬学生・コメディカル(看護師・臨床検査技師)とその学生さんにお勧めでき、次の本格的な教科書に進む前に読んでおくと大変理解の助けになると思われる一冊です。


はじめの一歩の病態・疾患学




 【書名】はじめの一歩の病態・疾患学
 【著者】林洋
 【出版社】羊土社
 【リンク】楽天ブックス Amazon 7net honto
      e-hon 紀伊國屋書店 図書館

 医学生・薬学生・コメディカル(看護師・臨床検査技師)とその学生さんにお勧めの一冊の中で、病態・疾患、ここにフォーカスしている一冊です。
 第一章の「病態・疾患学とは?」がとてもよく、そこをもとに全体をみていくと非常にわかりやすく書かれています。
 おすすめ。 


図解入門よくわかる病理診断学の基本としくみ




 【書名】図解入門よくわかる病理診断学の基本としくみ
 【著者】田村浩一
 【出版社】秀和システム
 【リンク】楽天ブックス Amazon 7net honto
      e-hon 紀伊國屋書店 図書館
 
 この本は学生さんだけでなく、一般の方にもおすすめしたい一冊。
 病理診断学とはどういうものであるか、病理診断はどうやってやっているのか、といったことがよくわかります。
 学部でならう病理学総論などの勉強まではカバーできませんが、どのように考えて組織を見ているか、正常とはなにか、異常とはなにかなどもわかりやすく書かれています。
 読み物として、入門書としておすすめの一冊。



試験対策などと講義などの理解を助けてくれる本


 試験対策というと、教科書を理解するだけではなかなかむずかしく、概念やポイント、事項を説明できるようにしないといけませんよね。そういったことに特におすすめできる一冊があります。

新病理学フルカラー新装版




 【書名】新病理学フルカラー新装版
 【著者】山本雅博/坂田一美
 【出版社】日本医事新報社
 【リンク】楽天ブックス Amazon 7net honto
      e-hon 紀伊國屋書店 図書館

 このQシリーズはいわゆる試験対策本にちかい位置づけでしたし、また、前版までは総論と各論に分かれていましたが、この版からは統合された上に、説明もわかりやすく、ポイントごとにまとまっているため、非常によい一冊となっています。

 読み通す教科書ではないものの、トピックごとにキーワード付きで解説されており、写真や図もきれいで非常にわかりやすい。
 
 成書といわれる、この記事で後に紹介する教科書と合わせて持って置き、試験対策やトピックの確認に用いると効果的であろうと考えられます。


読みやすい病理総論の教科書を


 病理総論は、病気の仕組みや概念をまなぶところなので、丁寧に説明してくれている本が良いですね。とてもよい教科書がありますので紹介いたします。

皮膚科医のための病理学講義”目からウロコ”の病理学総論




 【書名】皮膚科医のための病理学講義”目からウロコ”の病理学総論
 【著者】真鍋俊明
 【出版社】金芳堂
 【リンク】楽天ブックス Amazon 7net honto
      e-hon 紀伊國屋書店 図書館

 何人かの病理医の先生にお勧めいただき早速購入して確認しました。
 真鍋先生は元、川崎医大、京都大学で病理の教鞭を長くとられており、皮膚科領域の診断・研究だけでなく、病理学全般についても素晴らしい著作のある先生です。

 この本は、皮膚科医のためのとなっていますが、これは明らかな間違いで、すべての医療関係者のためのと書くべき、というほど素晴らしい本でした。
 非常にわかりやすく、病理学総論とはどういった分野でどういった考え方をするのかが書かれています。読みやすくお勧めです。


王道の教科書を2冊紹介


 いわゆる王道の教科書を二冊紹介したいと思います。
 これらの本はどちらを使ってもいいですが、できればどちらかは持っておいて、通読まで行かなくてもしっかり読んでみてほしいと思います。
 

標準病理学第5版




 【書名】標準病理学第5版
 【著者】北川昌伸/仁木利郎
 【出版社】医学書院
 【リンク】楽天ブックス Amazon 7net honto
      e-hon 紀伊國屋書店 図書館

 日本語教科書、日本製の一番標準はこれでしょう。読みやすいです。
 そして概念もしっかりしていますし、内容説明も十分と思います。章ごとに考え方を習得できるようにされているので、大変によい。

 ただし、どちらかというと、項目ごとにお堅い教科書である感は否めず、この一冊っだけで全部理解しようとするのは難しい可能性があります。
 上記Qシリーズや、入門本を読んでからの方が頭に入りやすいかもしれません。


ロビンス基礎病理学



 【書名】ロビンス基礎病理学
 【著者】Vinay Kumar/Abul K. Abbas
 【出版社】丸善出版
 【リンク】楽天ブックス Amazon 7net honto
      e-hon 紀伊國屋書店 図書館

 医学部学部生までに進める最高の教科書といえば、これです。

 この一冊をしっかり読めば、研修医までは十分でしょうし、概念もよく理解できると思います。この上の、同じロビンス・コトランの名前の一冊もありますが、そちらは診断学よりになりつつ記載量が非常に増えますので、むしろこの一冊の方が学生さんにはよいように思います。
 
 これ一冊を通読してまなべば、医学部生レベルの病理学は完ぺきでしょうし、次のステップに行くための基礎は構築できると思われます。


病理学「実習」向けの診断、組織像の各論には


 病理学のメインパートは総論と診断各論に分かれますが、診断の方にあたる、組織病理学についての本です。こちらはアトラスが中心になりますので、この本を紹介いたします。

病理組織の見方と鑑別診断第6版




 【書名】病理組織の見方と鑑別診断第6版
 【著者】吉野正/小田義直
 【出版社】医歯薬出版
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      e-hon 紀伊國屋書店 図書館

 病理「組織」診断学の実習・学習むけの一冊です。アトラスになります。
 総論が病態などの仕組みを学ぶものであったのに対し、こちらは顕微鏡をつかって各臓器別に病気を診断していくための各論かつ組織診断のためのアトラス。

 章ごとにまずは解説がしっかり描いてあり、そして組織像を提示するアトラスがあります。四枚の写真が一ページにありますが、とても見やすくきれいなものばかり。
 解説もわかりやすく、医学部生~病理専門医受験まで使える一冊です。
 
 この一冊をアトラスとしてはまずお勧めしています。学部生も持っているとよいと思いますね。


医学部生~研修医むけの読み物病理入門


 ここでまた読み物ですが、実務がわかる一冊を紹介してみたいと思います。

臨床に役立つ!病理診断のキホン教えます




 【書名】臨床に役立つ!病理診断のキホン教えます
 【著者】伊藤智雄
 【出版社】羊土社
 【リンク】楽天ブックス Amazon 7net honto
      e-hon 紀伊國屋書店 図書館

 この一冊は、医学部生~初期研修医、コメディカルが病理診断の実際について知るにあたって読み物としてよいかなという本です。
 伊藤先生は、北大出身で、病理医の教育にも熱心かつ、免疫染色についてもエキスパートである熱心な先生で、いまは神戸大学の教授です。

 さすがの書きっぷりで、非常にわかりやすく基本的な病理医の業務に関わることを書かれています。この本はすぐに読めますし、非常に難解なわけでもない。
 実際に用いられる免疫染色などについても触れられており、臨床医が読んでも、あぁ病理医ってこんなことしてるのね、と分かってもらえるところが多いように思います。
 
 気軽に読めるお勧めの一冊です。


研修医~若手病理医向けの病理診断学のおすすめ本


 本格的な本を一冊だけ紹介しておきます。
 ジェネラルなことと各論を含む本です。

外科病理診断学




 【書名】外科病理診断学
 【著者】真鍋俊明/三上芳喜
 【出版社】金芳堂
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      e-hon 紀伊國屋書店 図書館

 病理志望の研修医・医学部生から病理専門医取得程度までの若手病理医にはぜひおすすめしたい一冊。
 病理診断実務に重要な原理と考え方、実務的なことがよく書かれています。
 ピットフォールも、広く考え方もよく書かれています。

 著者の三上先生は熊本大学教授で婦人科病理を中心に博識博学な先生で、真鍋先生のお弟子さんですね。

 多少の誤植があることと、間違いもあるんですが、非常に新しい情報まで組み込まれており、専門医にとってもとても勉強になります。
 労作であり、読む価値ありです。


というわけで、ラフではありますが


 医学部生、コメディカルの方にお勧めできる入門的な病理の書籍を紹介してみました。追記や更新をこの記事は随時していきたいと考えています。

 まぁ私も友達と組んで、病理学の教科書を書きたいという野望がありますが…。

 ぜひ楽しい病理学勉強ライフをお過ごしいただきたいと思います!






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