2018年11月19日月曜日

【書籍紹介】ニッチなディジーズ


 臨床医・レジデント・初期研修医に特におすすめの一冊です。




 【書名】ニッチなディジーズ
 【著者】國松淳和
 【出版社】金原出版
 【リンク】Amazon 楽天ブックス 7net honto e-hon
      紀伊國屋書店 図書館


内容紹介より引用


「ニッチなディジーズ」とは頻度的にレアな疾患、またスキマ領域にあってどの科にも属さない認知上の死角にある疾患の総称である。「診たことのない病気でも、その備えと考え方のスキルがあれば診断できる!」をテーマに10講のレクチャーを講義形式で掲載。授業を聴いているような臨場感で楽しく学べる。真の臨床医は“ひづめの音が聞こえたら、馬も探すし、シマウマも探す”。今日、出会うかもしれないレア疾患をつかまえろ!


総合診療医による稀少疾患を考える一冊


 稀少疾患というのは、もちろん診断も治療も困難ですが、時に知識として持っていると、目の前の患者さんが罹患しているのではないかと考えてしまうことも時にあると思います。

 しかし、一般的にはそういったことはめったになく、こだわりすぎてもダメであり、臨床医はより普遍的な疾患、重大で命に関わる疾患をまず鑑別診断にあげる、という訓練を受けることが多いように思います。

 しかし、ではいざ、稀少疾患と考えられる症例が目の前に現れたとき、または、稀少疾患と想起されなくとも、普遍的でいつもみているのとはちょっと違う、何かおかしい、そういう患者が現れたとき、どうやって診断すればよいのか、習ったことはあるでしょうか。体系的にそういったことを教えられることはあまりないように思います。

 本書は、総合診療医で、もともとは膠原病のプロでもある國松淳和先生による一冊で、稀少疾患、珍しいものばかりを集めた非常にオタッキーでマニアックではあるものの、実務に役立つ書籍です。


とり上げられている疾患は…そしてアプローチ法は 



 アイザックス症候群、シトルリン血症…あぁ、もうね、これは稀少です。書籍での知識しかないですよ。國松先生が非常にマニアックで、そこに情熱を注げる先生だということが伝わるでしょう。
 
 そういう稀少疾患オタクで、実際にたくさん診療されている國松先生によると、こういう稀少であって初めて出会う疾患を疑うには、なによりも「症例報告」を読んでおくことが大事と、そういうお話が出てきます。
 なるほど。確かに、症例報告には不思議な点、特徴、悩んだところなどすべて現れますよね。

 そのうえで、診療家としてはイメージトレーニングが大事と…心構えの大切さです。


症例報告が役に立つ


 症例報告は宝庫です。なにより一例一例、しっかり資料した証拠であり、症例報告の上にすべては成り立っていると言っても過言ではないでしょう。
 特に珍しい疾患については、症例報告にしか情報はないこともありますしね。

 國松先生いわく、
症例報告は臨床医であるその著者らが、親切にも自分たちの苦労や経験値をわかりやすくポイントをまとめてくれているわけですからこんな便利なものはありません

ではこの本はどんな感じか…


 とても読みやすい講義録風。稀少疾患がたくさん紹介されています。

 本ブログ著者の専門である CAEBV の項目では声優の松来未祐さんについても。そして何を隠そう、私、國松先生とはCAEBV にもともに診療にあたったことがあるのですけれど…。

 巻末の一覧は特記すべき出来で、価値があります。そして読めば伝わってくる、「作者の個性にまみれた経験値」こそ、臨床家の本質なんだろうと私は感じます。

 みなさんもゼブラ探しのための準備を日頃からしてみませんか?
 総合診療科だけでなく、外来を持たれている先生方、レジデント・初期研修医にもおすすめです!病理医としても楽しめましたよ!

 おすすめ。★★★★★ (5/5)。
 なお、國松淳和先生は私の恩師であり、同志であり、共同演者をしたこともあり、がっつりCOI関係にございます。


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